この記事はSuraj Rameshによる”Faster Disaster Recovery Troubleshooting: Generative AI Log Summarization in OCI Full Stack DR“の日本語翻訳版記事です。
DRのスイッチオーバー、フェイルオーバー、または訓練を実施している最中は、一分一秒が重要です。計画内のステップが失敗した場合、チームは何が起きたのかをすばやく把握し、問題を解決して、実行を継続する必要があります。
OCI Full Stack Disaster Recovery(Full Stack DR)の実行ログには、DR Protection Group(DRPG)内のすべての計画グループにわたるAPIコール、事前チェック結果、エラーが記録されます。しかし、根本原因を見つけるために詳細なログ出力を読み解くには時間がかかりますし、その時間は、本来であれば問題の解決に使うべきものです。
今回の新機能追加でOCI Full Stack Disaster Recovery(Full Stack DR)は、OCI Generative AIとの連携により、ステップ単位で実行ログを要約できるようになりました。Failed、Failed Ignored、またはSucceeded with Warningの状態で終了した計画ステップに対して、View Summaryアクションを使用すると、実行ログの内容を平易な文章で要約できます。この要約では、そのステップで何を実行しようとしたのか、失敗または警告の原因は何か、次にどこを重点的に確認すべきかを示します。
この機能でできること
Full Stack DRでは、以下のいずれかの状態で終了した個別の計画ステップに対して、View Summaryオプションが追加されます。
FailedFailed IgnoredSucceeded with Warning
対象となるステップの計画実行ログでView Summaryをクリックすると、Full Stack DRはそのステップの実行ログを、お客様のテナンシ内のOCI Generative AIに送信します。生成された要約はOCI Console上に直接表示され、以下の3つのセクションで構成されます。
Problems
そのステップで何を実行しようとしたのか、また失敗または警告の原因となった内容を、わかりやすい言葉で説明します。
Solutions
問題を解決するための調査手順や修正アクションの候補を提示します。
Reference IDs
ログから抽出された主要な識別子を一覧表示します。これには、OCID、テナンシ名、バケット名、ワーク・リクエストIDなどが含まれます。追加調査やサポート・チケットの作成時に参照しやすくなります。

要約のタイトルにはステップ名が含まれるため、どのステップに関する要約を見ているのかを常に把握できます。
この要約は、ステップ実行ログとFull Stack DRの製品知識を組み合わせて、OCI Generative AIによって生成されます。そのため、提示される解決策は、Full Stack DRの実際の動作に基づいたものになります。たとえば、元の記事のスクリーンショットでは、データベース・ノードがSTOPPED状態だったためにステップが失敗していました。Full Stack DRはログからその情報を特定し、問題を平易な言葉で説明したうえで、解決に向けた推奨手順を提示しています。
なお、この要約はAIによって生成されるものです。最終的な診断結果としてではなく、調査の出発点として利用してください。修正作業を行う前に、提案された解決策を必ず実際のログ・エントリと照合してください。
対象となるステップと対象外のステップ
| ステップの種類 | View Summaryの利用可否 |
|---|---|
| 組込み計画グループ・ステップ(組込み事前チェック・ステップを含む) | 利用可能 |
| ユーザー定義の計画グループ・ステップ | 利用不可 |
View Summaryは、組込みステップおよび組込み事前チェック・ステップに限定されています。今回のリリースでは、ユーザー定義の計画グループ・ステップは要約の対象外です。
仕組み
Full Stack DRは、お客様のテナンシ内で稼働するOCI Generative AIサービスに接続します。対象となるステップでView Summaryを選択すると、Full Stack DRがそのステップのログをOCI Generative AIに送信します。生成された要約は、OCI Console上に直接表示されます。

お客様側でモデルをデプロイしたり、エンドポイントを構成したり、連携コードを作成したりする必要はありません。必要な前提条件は、Full Stack DRがテナンシ内のOCI Generative AIへアクセスできるようにするIAMポリシーのみです。
必要なIAMポリシー
Full Stack DRの動的グループがOCI Generative AIを呼び出せるようにするには、以下のポリシーを追加します。
Allow dynamic-group {dynamic_group_name} to use generative-ai-family in compartment {compartment_name}
すでにFull Stack DR用の動的グループを構成済みの場合は、IAMポリシーに関するブログを参照してください。追加が必要なのは、この1つのポリシー文のみです。動的グループのルール自体を変更する必要はありません。
機能の提供範囲
View Summaryは、OCIパブリック・クラウド・リージョンのOCI Full Stack DRで利用できます。政府機関向けリージョン、ソブリン・クラウド・リージョン、専用クラウド・リージョンでは利用できません。
OCI Generative AIは、すべてのOCIパブリック・クラウド・リージョンで提供されているわけではありません。Full Stack DRは、この点を自動的に処理するためにクロスリージョン呼び出しを使用します。お客様のテナンシ・リージョンでOCI Generative AIが直接提供されていない場合、Full Stack DRは最も近い対応済みの宛先リージョンへ呼び出しをルーティングします。お客様側での構成は不要です。
ただし、お客様のテナンシ・リージョンにOCI Generative AIの呼び出しルートがない場合、View Summary機能は利用できません。この機能の利用を前提とする前に、OCI Generative AIのリージョン・ページを確認し、対象リージョンがクロスリージョン呼び出し表に記載されていることを確認してください。
課金
View Summaryを使用すると、お客様のテナンシ内でGenerative AIの推論呼び出しが実行されます。標準のOCI Generative AI価格が適用され、この使用量はOCI請求書上で別明細として表示されます。Full Stack DR自体がこの機能に対して追加料金を請求することはありません。追加費用として発生するのは、Generative AIの推論コストのみです。
利用開始手順
- お客様のテナンシ・リージョンがOCI Generative AIの対応呼び出しリージョンであることを確認します。OCI Generative AIのリージョン・ページとクロスリージョン呼び出し表を確認してください。
- Full Stack DRの動的グループが
generative-ai-familyを使用できるようにするIAMポリシーを追加します。 Failed、Failed Ignored、またはSucceeded with Warning状態のステップが1つ以上含まれるDR計画実行を開きます。- 対象となる組込みステップに移動し、
View Summaryを選択します。 - 生成された要約を確認します。修正作業を行う前に、必ず完全な実行ログと照合してください。
最後に
DR計画の実行ログは、全体像を把握するために存在します。しかし、実際のスイッチオーバー、フェイルオーバー、または訓練の最中に、何百行ものログを読み解いて1つの根本原因を探す時間は、チームにとって大きな負担になります。
OCI Full Stack DRにおける生成AIによるログ要約は、この状況を変えます。対象となる組込みステップであれば、ワンクリックで構造化された要約を確認できます。要約では、そのステップが何を実行しようとしたのか、何が問題だったのか、次にどこを確認すべきかが示されます。また、この要約は単なる生ログの解析ではなく、Full Stack DRの製品知識に基づいて生成されます。
必要な追加設定は、1つのIAMポリシーのみです。この機能はOCIパブリック・クラウド・リージョン全体で動作し、クロスリージョンでのGenerative AI呼び出しも自動的に処理されます。
要約は、調査の出発点として利用してください。実際に対応を行う前に、提案された解決策を必ず実際のログと照合してください。これは、AIが生成した出力を利用するうえで適切な使い方です。
詳細情報
OCI Full Stack Disaster Recoveryをまだご覧になったことがない場合は、Oracle Cloud Infrastructureの担当営業チームにデモの設定をご依頼ください。
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