※本ページは、”Announcing Exadata System Software 26ai Release 26.2” の翻訳です。
Exadata 製品管理およびエンジニアリングチームは、Exadata System Software 26ai リリース 26.2 の提供開始を発表できることを大変うれしく思います。本リリースは、Exadata 向けに最新かつ高いセキュリティを備えたソフトウェア基盤を提供し、お客様が変化し続けるコンプライアンスおよびセキュリティ要件に対応できるよう支援します。同時に、お客様が Exadata に期待するパフォーマンス、可用性、データ保護、運用管理の最適化も継続します。本リリースのイノベーションにより、Exadata はセキュアかつ高性能なエンタープライズ・アプリケーションおよびデータの基盤として、さらに強化されます。
Exadata System Software 26ai リリース 26.2 の新機能
本記事では、Exadata のお客様にとって特に重要なリリースの主な機能とアップグレード時の考慮事項について説明します。
- Java 25、FIPS 140-3、耐量子暗号アルゴリズムを備えた Oracle Linux 9
- RoCE スイッチ向け Exadata Live Update
- Autonomous Kernel Update
- Smart Flash Cache Advisor
- 最小要件とアップグレード準備
また、本発表では、メンテナンス後のストレージ冗長性の復旧を高速化する関連 ASM 機能である ASM Mirror Resync Log についても説明します。
Exadata ワークロード向けの最新セキュリティ基盤
Oracle Linux 9 と Java 25
Exadata System Software 26.2 では Exadata が Oracle Linux 9 に移行し、最新のセキュリティ・ライブラリとアルゴリズム、およびシステム全体のセキュリティ・ポリシーが提供されます。
また、Exadata System Software 26.2 では、システム・デフォルトの Java が長期サポート・リリースである Java 25 に更新されます。Java 25 は、そのセキュリティ API を通じて、鍵カプセル化用の ML-KEM やデジタル署名用の ML-DSA など、標準化された耐量子アルゴリズムを提供します。Java アプリケーションは、暗号構成、プロトコル、証明書、エンドポイントが対応している場合、これらのアルゴリズムを使用できます。
Oracle Linux 9 と Java 25 は、Exadata のセキュリティ基盤を強化し、現在のコンプライアンス要件への対応を支援するとともに、耐量子暗号に向けたプラットフォームの準備を進めます。
最新のコンプライアンスに対応する暗号基盤
FIPS 140-3 は、暗号モジュールに対するセキュリティ要件を定義し、その検証の基盤を提供します。Exadata System Software 26.2 では Oracle Linux 9 を使用しており、TLS、SSH、証明書処理、鍵管理、および関連する暗号サービスを利用するプラットフォーム機能やアプリケーションを支える、FIPS 140-3 検証済みの暗号モジュールが提供されます。これらの機能は、規制対象組織による機密情報の保護や、コンプライアンス、リスク管理、調達、監査活動への対応を支援します。
耐量子暗号への対応準備
Exadata System Software 26.2 は、更新された Oracle Linux 9 の暗号ライブラリ、システム全体のポリシー、およびプラットフォーム・インタフェースにより、お客様に耐量子暗号(PQC)への実用的な基盤を提供します。更新された OpenSSL 3.5 ライブラリには、NIST が標準化した PQC アルゴリズムの実装が含まれています。対応する TLS 1.3 構成では、ハイブリッド鍵交換も利用できます。これは従来型暗号と耐量子暗号を組み合わせるものであり、実用的な移行パスを提供します。お客様は、対応するサービスやアプリケーションで PQC を有効化し、クライアント、サーバー、証明書、プロトコル間の互換性を検証しながら、段階的に PQC を導入できます。
FIPS 140-3 と PQC は、暗号セキュリティの異なる側面を相互補完的にカバーします。FIPS 140-3 は、定義された構成における特定の暗号モジュールを検証する一方、PQC は将来の量子コンピュータによる攻撃への耐性に対応します。この組み合わせにより、組織は現在のコンプライアンス要件に対応しながら、既存の Exadata プラットフォームを将来の量子脅威に備えることができます。
プラットフォーム更新によりアップグレード速度を向上し、セキュリティを最新化
小型化されたオペレーティング・システム・イメージによるセキュリティ強化
Exadata System Software 26.2 では、より小さく用途に最適化されたオペレーティング・システム・イメージにより、Exadata のセキュリティを最新化します。リリース 26.2 では、データベース・サーバーおよびストレージ・サーバーのイメージに含まれるパッケージやソフトウェア・コンポーネントの数が削減され、攻撃対象領域の縮小とライフサイクル管理の簡素化に役立ちます。データベース・サーバー・イメージは従来比で約 2 分の 1 のサイズとなり、ストレージ・サーバー・イメージは 10% 小型化されています。
Exadata と Oracle Database 向けに厳選、設計された最適なオペレーティング・システム・イメージを提供することで、未使用または不要なパッケージを保護・保守する負担がなくなります。小型化されたイメージはアップグレード処理の高速化にも寄与し、Exadata Release 26.2 における Oracle Linux 8 から Oracle Linux 9 へのシームレスなメジャー OS アップグレードを補完します。
サーバー・アップグレードの高速化
Exadata System Software 26.2 では、Exadata データベース・サーバー上で再イメージングを行わずにオペレーティング・システムをアップグレードでき、Oracle Linux 7 から Oracle Linux 8 への従来のメジャー OS アップグレードと比較して、最大 1.5 倍高速化できます。データベース・サーバーのアップグレードはローリング方式で実行できるため、お客様のデータベースをオンラインに保ったまま、メンテナンス時間を短縮できます。小型化されたオペレーティング・システム・イメージと再イメージング不要のアップグレード機能を組み合わせることで、既存のデータベース・サーバー環境を維持しながら、より高速で効率的なアップグレードを実現します。
Exadata System Software 26.2 によりデータベース・サーバー更新パッケージを簡素化
Exadata System Software 26.2 では、データベース・サーバー更新パッケージ内に patchmgr (更新ユーティリティ)が含まれるようになり、更新手順が削減されます。管理者は更新ユーティリティとリリース・ソフトウェアの両方を 1 つのパッケージから利用できるため、更新の準備をより迅速かつ容易に行えます。
Exadata System Software 25.2 および 26.1 のメンテナンス・リリースでは、引き続き個別の patchmgr ダウンロード・パッケージを使用します。
ISO を更新リポジトリとして使用する場合、--repo および --target_version オプションを指定する必要がなくなりました。
この統合パッケージ方式により、データベース・サーバーの更新方法がストレージ・サーバーおよびスイッチの更新方法と統一され、手順が最小化され、Exadata 全体でより一貫した更新エクスペリエンスが実現します。詳細については、My Oracle Support Note KB153930 を参照してください。
継続的な Linux カーネル保護によるセキュリティ向上
Exadata System Software 26.2 では、自動化されたオンライン Linux カーネル・セキュリティ・パッチ適用機能である Exadata Autonomous Kernel Update が導入されます。Oracle Ksplice を基盤とし、対象となるセキュリティ修正を自動的にダウンロードして適用します。その間もデータベース・サーバーはオンラインのまま維持されるため、データベース・ワークロードを中断したり、データベース・サーバーを再起動したりすることなく、重大なカーネル脆弱性に対応できます。

Exadata では、システムを最新状態に保つための複数の方法をお客様に提供しています。Oracle では、Exadata Live Update for Database Servers と従来型アップデートを推奨しています。Exadata Live Update はデータベース・サーバーに対するオンラインのセキュリティ更新およびオンラインの完全な更新をサポートし、従来型アップデートはデータベース・サーバーとストレージ・サーバーの両方に対してローリング更新を提供します。利用可能な最新のカーネル Ksplice 更新を自動的に適用したいお客様は、Autonomous Kernel Update をオプトインで有効化することで、システムを最新状態に維持するための作業負担を軽減できます。
これらの選択肢により、お客様は Exadata のカーネル・ソフトウェアを最新状態に保ち、継続的にセキュリティを強化しながら、ミッション・クリティカルなワークロードに必要な可用性を維持できます。
メンテナンス中の可用性を向上
RoCE スイッチ向け Exadata Live Update によりメンテナンス時の可用性を向上

Exadata System Software 26.2 では、Exadata Live Update for RoCE Switches が追加されます。スイッチ・ソフトウェアのメンテナンス中もデータベースおよびストレージのトラフィックはフル帯域幅で流れ続け、さらに高い可用性を実現します。コントロール・プレーンの更新中もデータ・プレーンは稼働し続けるため、スイッチのメンテナンスによって RoCE トラフィックやデータベース処理が中断されることはありません。
Exadata Live Update は自動的に有効化され、ユーザーによる実装作業は不要です。過去 12 か月以内の対応する Exadata System Software リリースを実行しているシステムで、すぐに利用できます。
これらの機能を組み合わせることで、スイッチ・メンテナンス中も高い可用性とフル帯域幅のネットワーク性能を提供し、お客様がミッション・クリティカルな Exadata 環境を中断なく運用できるよう支援します。
Exadata Smart Flash Cache Advisor が分析結果を容量設計の指針に変換
Oracle AI Database 26ai Release Update 23.26.4 で利用可能な Exadata Smart Flash Cache Advisor は、実際のワークロード動作を、Exadata Smart Flash Cache の容量設計に活用できる具体的な指針へと変換します。より大きなキャッシュ割当てによる影響をモデル化し、Flash Cache を追加することで I/O 効率が向上する可能性があるケースを特定します。
Automatic Workload Repository(AWR)のデータを使用し、アドバイザはさまざまな Flash Cache サイズにおけるキャッシュ・ヒット、ミス、ディスク使用率、I/O レイテンシを評価します。その上で、プラガブル・データベース(PDB)およびコンテナ・データベース(CDB)ごとに、ワークロード固有の推奨事項を提示します。これには、IORM プラン、Exascale リソース・プロファイル、または追加のストレージ・サーバーによって Flash Cache を増やすべきかどうかも含まれます。I/O がデータベース時間の大きな割合を占め、追加の Flash Cache がワークロードに有益と予測される場合、その推奨事項が AWR レポートに表示されます。AWR の推奨事項には、推奨される Flash Cache の増加量、予想されるキャッシュ・ヒット率、期待される効果が示され、分析結果から具体的なアクションへの明確な道筋が提供されます。
お客様はまず AWR の推奨事項を確認し、ワークロードと運用モデルに最も適した容量設計オプションを選択できます。これにより、複雑な I/O 分析を、具体的な Flash Cache 容量設計の判断へと変換できます。

ASM Mirror Resync Log によりストレージ・サーバー・メンテナンス後のディスク再同期を高速化
Oracle AI Database および Grid Infrastructure Release Update 23.26.3 で利用可能な ASM Mirror Resync Log は、ストレージ・サーバー・メンテナンス後に Exadata がデータ冗長性をより迅速に復旧できるよう支援します。従来、ASM は変更が発生すると 4 MB のアロケーション・ユニット全体を再同期していました。ASM Mirror Resync Log は変更箇所を正確に追跡するため、ASM は変更されたデータのみを再同期できます。

従来の動作と新しい動作の比較。従来の ASM は 4 MB のアロケーション・ユニット全体を再同期しますが、ASM Mirror Resync Log は変更された 32 KB のブロックのみを再同期
変更されたデータのみを転送することで、ASM Mirror Resync Log はデータ移動量を最大 20 分の 1 に削減し、冗長性を最大 8 倍高速に復旧します。これにより、冗長性の復旧に必要な時間が短縮され、再同期効率が向上します。
ASM Mirror Resync Log の有効化は簡単です。Grid Infrastructure および Oracle AI Database 26ai を Release Update 23.26.3 にインストールまたは更新し、データベースの COMPATIBLE パラメータを 23.0 以上に設定してデータベースを再起動した後、各 ASM ディスク・グループの compatible.asm および compatible.rdbms 属性を 23.26.3 に更新します。
この補完的なデータベースおよび ASM 機能により、Exadata におけるストレージの耐障害性と I/O 効率が向上します。
最小要件とアップグレード準備
Exadata System Software リリース 26.2.0 には、次の最小ハードウェア構成要件が適用されます。
- 2 ソケット・システムの場合、Oracle Exadata X8M-2
- 8 ソケット・システムの場合、Oracle Exadata X8M-8
既存システムは、リリース 26.2.0 に更新する前に、少なくとも次のいずれかの Exadata System Software バージョンを実行している必要があります。
- Exadata System Software 25.1.9(2025 年 9 月リリース)
- Exadata System Software 25.2.2(2025 年 9 月リリース)
- Exadata System Software 26.1.0(2026 年 6 月リリース)
リリースの詳細、対応構成、前提条件、ダウンロード手順については、My Oracle Support Note KB153930 および Exadata System Software ドキュメント を参照してください。
アップグレード前の作業
Exadata System Software 26.2 にアップグレードする前に、必要に応じて対応する KVM Host、KVM Guest、およびベアメタル・データベース・サーバーを準備してください。
カスタム・ソフトウェアの準備
- アップグレード後に必要となるカスタム・ソフトウェアおよびツールを特定します。Oracle Linux 8 の RPM は Oracle Linux 9 と互換性がありません。
- 必要に応じて、メジャー・オペレーティング・システム・アップグレード中に
patchmgr --force_remove_custom_rpmsを使用してカスタム RPM を削除します。 - アップグレード後、必要なカスタム・ソフトウェアおよびツールの Oracle Linux 9 対応バージョンをインストールします。
SSH 鍵の検証
- SSH 鍵が 2048 ビットの鍵長要件を満たしていることを確認します。
従来方式によるデータベース・サーバーのアップグレードを計画
- Oracle Linux 9 へのアップグレードは、従来方式のデータベース・サーバー・アップグレードとして計画してください。Exadata Live Update は、Oracle Linux のメジャー・バージョンが変わらない場合にのみ使用してください。たとえば Oracle Linux 8 から Oracle Linux 8、または Oracle Linux 9 から Oracle Linux 9 への更新です。
ストレージ・サーバーについては、ローリング方式で更新および再起動する計画を立ててください。
Oracle Database 向け Exadata のリーダーシップをさらに強化
Exadata System Software 26ai リリース 26.2 は、Oracle Database 向けの最新かつセキュアで高性能なプラットフォームとして Exadata をさらに進化させます。Oracle Linux 9、Java 25、FIPS 140-3 検証済み暗号モジュールへの対応、耐量子暗号への準備により、進化する脅威やコンプライアンス要件に対する保護が強化されます。用途に最適化されたオペレーティング・システム・イメージは攻撃対象領域を縮小し、アップグレードの高速化に寄与します。また、Autonomous Kernel Update と統合された patchmgr パッケージにより、継続的なメンテナンスが簡素化されます。
リリース 26.2 はさらに、変更作業中もミッション・クリティカルなワークロードの可用性と効率的な稼働を維持できるよう支援します。RoCE スイッチ向け Exadata Live Update は、スイッチ・メンテナンス中もネットワーク・トラフィックを継続させ、再イメージング不要のデータベース・サーバー・アップグレードでは、アップグレード時間を最大 1.5 倍短縮できます。補完的な ASM および Oracle AI Database の機能により、ストレージ冗長性の復旧が高速化され、Smart Flash Cache の分析結果を実用的な容量設計の指針へと変換できます。これらの改善により、お客様はセキュリティを最新化し、運用を簡素化しながら、Exadata を特徴づけるパフォーマンス、可用性、データ保護を維持できます。
