この記事はKelly SmithDileep Thiagarajanによる’Introducing enhanced backup capabilities with Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure and Oracle Base Database Service‘を日本語翻訳したものです。

2023年6月22日


 Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (ExaDB-D)とOracle Base Database Service (BaseDB) がOracle Zero Data Loss Autonomous Recovery Service (ZRCV、以下リカバリ・サービス)に対応しました。これにより、データ損失ゼロでのバックアップ運用や永久増分バックアップ、継続的なバックアップ統合、そしてバックアップの検証など重要な機能をご利用いただけます。

リカバリ・サービスはOCIコンソールから簡単に設定が可能です。既存のExaDB-DやBaseDBに対して特別な構成を組む必要はありません。

リカバリ・サービスのメリット

  • データ損失ゼロを実現 – リアルタイムデータ保護機能により、システムの停止・ランサムウェア攻撃から1秒以内までリカバリ可能
  • データの変更・削除を防止 – バックアップの最小保持期間は14日間。全てのバックアップ・データはライフサイクル全体を通して自動的に暗号化
  • 運用の効率化 – 週次フルバックアップが不要なため、バックアップ実行時のCPUやメモリ、I/Oのオーバーヘッドを削減。運用コストの最適化を実現
  • バックアップ・ウィンドウの短縮 – 永久増分バックアップにより、保護されたデータベースとリカバリ・サービス間で移動するバックアップ・データを縮小
  • リカバリ能力の向上 – 各バックアップに対する回復力の検証を本番データベースに影響なく自動で実施
  • 高速なリカバリ – バックアップ処理をオフロードすることで、複数の増分バックアップをリカバリに使用する必要なし
  • 保護されたデータベースに対する高度なインサイトを取得 – リカバリ・ヘルス・ダッシュボードでインサイトを取得

カスタマ・エクスペリエンス

次の項目からは、リカバリ・サービスで自動バックアップを構成する手順について触れていき、自動化によって実行されるタスクとOCIコンソールで利用できるようになったバックアップの詳細について説明します。

データベース作成時に自動バックアップを有効化

「Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure」→「Exadata VMクラスタ」→「Exadata VMクラスタの詳細」を選択してOCIコンソールから「VMクラスタ」ページに移動し、「データベースの作成」オプションをクリックして新しいデータベースを作成します。作成手順の一環として「自動バックアップの有効化」を選択し、バックアップの保存先として「自律型リカバリ・サービス」を選択します。

リカバリ・サービスがバックアップの保存先として選択されている場合に使用できるオプション:

  • 保護ポリシー –  保護されたデータベースのバックアップを保持する時間を指定します。デフォルトの保護ポリシーのいずれかを選択するか、カスタム・ポリシーを作成して目的のバックアップ・リカバリ・ウィンドウを指定できます。
  • リアルタイム・データ保護 – データ損失の可能性を最小限に抑え、データベースの保護を強化する保護を実現します。これは追加コストでデータベースをさらに高度に保護するオプションで、停止またはランサムウェア攻撃が発生した場合、1秒以内までデータベースをリカバリできます。
  • データベース終了後の削除オプション:
    • 保護ポリシーの保持期間に従ってバックアップを保持。データベースの終了後、バックアップはリカバリ・サービスにより設定された保護ポリシーで定義された期間に従って保持されます。
    • バックアップを72時間保持してから削除。データベースの終了後、バックアップはリカバリ・サービスにより72時間(3日間)保持されます。
  • 日次バックアップのスケジュール時間 – 日次バックアップが実行される開始時間ウィンドウを指定します。「」にチェックをいれると、データベース・プロビジョニング中にバックアップが作成され、その後のバックアップはスケジュールに従い実行されます。

RCV1

クラウドの機能で構成作業を自動化

自動バックアップが有効になっている場合、リカバリ・サービスとデータベースの自動化は連携して動作し、セキュアな通信が確立され、RMANにスケジュール済ジョブが構成されていることを確認します。

自動化によって実行されるタスクには以下があります。

  • バックアップ・ストレージの場所を決定します。バックアップを格納するために使用できるハードウェアの一式があり、自動化によって適切な容量と高可用性のある場所が選択されます。
  • ネットワーク・パスの確立。仮想クラウド・ネットワーク(VCN)サブネットとバックアップ・ストレージ・インフラストラクチャ間のセキュアで可用性の高いネットワーク・パスを提供するために、複数のプライベート・エンドポイントが作成されます。
  • 一意のバックアップ資格証明が作成されます。テナンシ内のの各データベースは、一意の資格証明セットを使用してRMANリカバリ・カタログおよびバックアップ・ストレージに接続し、同じテナンシおよびコンパートメントでもデータベースを分離します。
  • 暗号化通信の構成。Secure Sockets Layer (SSL)を使用した暗号化では、すべてのバックアップ・トラフィックがネットワーク・パスを介して暗号化されます。
  • RMANリカバリ・カタログへのデータベースの登録。保護されたデータベースに対してRMAN REGISTER DATABASEが発行されるため、すべてのバックアップのメタデータ説明はリカバリ・サービスに含まれているリカバリ・カタログに格納できます。
  • RMANバックアップ・ジョブの作成。RMANジョブが作成され、自動バックアップ構成時に指定した設定に基づいてスケジュールされます。
  • リアルタイム・データ保護の構成。リアルタイム・データ保護のオプションを選択すると、データベースはASYNC ALTERNATEログ宛先で構成されます。

データベースのバックアップ詳細の表示

バックアップが構成されると「データベースの詳細」ページの「バックアップ」から詳細を確認できます。

詳細には次のようなデータベース保護に関する追加の情報が表示されます。

  • 自動バックアップ: データベースで自動バックアップが使用されるかどうかを示します。
  • ヘルス: リカバリ・サービスにより保護されているータベースの保護ステータスを示します。表示される値は、「保護」、「警告」、「アラート」です。
    • 保護- データベースは、リカバリ期間全体の任意の時点までリカバリをすることが可能で、最後のバックアップ以降のデータ損失のリスクが10秒未満(リアルタイムのデータ保護が有効になっている場合)または70分未満(リアルタイムのデータ保護が無効になっている場合)の状態。
    • 警告- データベースは、リカバリ期間全体の任意の時点までリカバリをすることが可能ですが、最後のバックアップ以降のデータ損失のリスクが10秒を超えている(リアルタイムのデータ保護が有効な場合)、または70分を超える(リアルタイムのデータ保護が無効な場合)状態。
    • アラート- データベースは、現在のリカバリ・ウィンドウ内のどの時点までもリカバリすることが出来ず、最新のバックアップも失敗している状態。
  • データ損失の危険性: 最後のバックアップが作成されてからの潜在的なデータ損失の時間。
  • 最終失敗バックアップ: ポリシーに定義されている定義済保存期間内に最後に失敗したバックアップの日時。
  • 最終完了バックアップ: 最後に成功したバックアップの日時。
  • 次回のスケジュール済バックアップ: 次回のスケジュール済バックアップの時間。
  • リカバリ・ウィンドウに使用される領域: 保護されたデータベースのリカバリ・ウィンドウを満たすために現在使用されているストレージ領域の量。
  • バックアップの保存先: データベースがバックアップを取得している保存先。
  • リアルタイム・データ保護: リアルタイムデータ保護オプションが有効になっていて、オンラインREDOログが保護されたデータベースからリカバリ・サービスに送信されているかどうかを示します。
  • 保護ポリシー: 保護ポリシーは、データベースに対して作成されたバックアップを保持する最大期間を定義します。「ポリシーの編集」をクリックして「自動バックアップの構成」ペインを表示し、保護ポリシーを変更できます。

 

database details

「自律型リカバリ・サービス」リンクをクリックすると、保護されたデータベース・ページに遷移できます。このリンクによって、指定したデータベースの詳しいバックアップ取得状況を確認できます。

database details 2

 

保護されたデータベースの詳細を確認した後、「データベースの詳細」ページに戻る場合は、「保護されたデータベース」の「データベース詳細」のリンクをクリックすると「データベースの詳細」ページに戻ります。


protected database

バックアップの保存先をオブジェクト・ストレージからリカバリ・サービスへ変更

データベースの作成後、「データベースの詳細」ページで「自動バックアップの構成」をクリックし、バックアップの保存先を変更することで自動バックアップの取得先をオブジェクト・ストレージからリカバリ・サービスに変更できます。

自動バックアップの取得先が変更されると、それまで取得されていたバックアップはそれまでの保存先にそのまま保持されます。取得済みのバックアップは期限切れになると削除され、新しく作成されるバックアップは新しい宛先に保持されていきます。リカバリが必要な場合は、リカバリ・サービスにより選択したリカバリ時間に適したバックアップが適切な場所から使用されます。

automatic backup

参考事項

  • リアルタイムのデータ保護は追加のコスト・オプションです。オプションを理解するには、コスト算出ツールを参照してください。
  • Autonomous Recovery Service(RCV)はOracle Database 19.16以上、Zero Data Loss Autonomous Recovery Service(ZRCV)はOracle Database 19.17以上でサポートされています。詳しくはこちらをご確認ください。
     

高可用性

  • この機能は、すべてのOCI商用リージョンのOracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure(ExaDB-D)およびOracle Base Database Service(BaseDB)で使用できるようになりました。

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