この記事はSuraj Rameshによる’OCI Full Stack Disaster Recovery – New Features for Compute “Moving Instances”‘の日本語翻訳版記事です。
OCI Full Stack Disaster Recovery (Full Stack DR)は、OCIリージョン間のコンピュートやデータベース、アプリケーションのリカバリなど、クラウド・リソースのレイヤー全体にわたって完全に自動化されたディザスタ・リカバリのオーケストレーションを提供します。DR保護グループのメンバーとしてコンピュート、Oracle Databaseおよびボリューム・グループを追加できます。詳細については「DR保護グループへのメンバーの追加」を参照してください。
FSDRではDR保護グループのメンバーとしてComputeを追加する際に、MovingインスタンスおよびNon-movingインスタンスを追加できます。
- 移動インスタンス- 仮想マシンがプライマリからスタンバイのDR保護グループに移動します。Cold VM DRやPilot LightなどのDR戦略に最適です。
- 非移動インスタンス- 仮想マシンはプライマリからスタンバイDR保護グループに移動しません。ホット・スタンバイ、アクティブ/パッシブなどのDR戦略に最適です。
今回、FSDRでは新たに移動インスタンスに関連する2つの新機能が導入されました。
- 容量予約との統合: 宛先リージョンで予約済容量を使用して、移動中のインスタンスを起動できるようになりました。容量予約を使用すると必要に応じてワークロードで容量を使用できるようにインスタンスを事前に予約できます。詳細は「容量予約」を参照してください。
- プライベートIPアドレスとホスト名の割当て: 障害時リカバリ中に再配置されたインスタンスに、特定のプライベートIPアドレスとホスト名を割り当てることができるようになりました。指定されたIPアドレスは宛先サブネットのIP範囲(CIDR)と互換性があり、IPアドレスとホスト名は宛先サブネットで使用可能である必要があります。
コンピュートをDR保護グループ内の移動中のインスタンスとして追加する際には、ターゲットCIDR範囲、VNICマッピングおよびネットワーキング・セキュリティ・グループを指定する必要があります。ソースおよびターゲットのCIDR範囲が異なる場合、FSDRによってスタンバイ・リージョンのVMがソースVMと同じホスト名で起動され、ターゲットCIDR範囲に基づいてプライベートIPが動的に割り当てられます。ソースおよびターゲットのCIDR範囲が同じ場合、FSDRは、スタンバイ・リージョンのVMをソースVMと同じホスト名で起動し、ターゲットCIDR範囲に基づいてソース(使用可能な場合)と同じプライベートIPを割り当てようとします。FSDRを使用する新しいプライベートIPアドレスおよびホスト名の割当て機能を使用すると、宛先のホスト名およびプライベートIPの詳細を指定でき、選択したホスト名およびプライベートIPを持つ柔軟性を実現できます。
OCI コンピュートの容量予約は事前にインスタンスの容量を予約し、スタンバイ・リージョンにスイッチオーバーまたはフェイルオーバーする必要がある場合に容量が使用可能であることを確認するのに役立ちますFSDRとの新しい容量予約の統合機能を使用すると、宛先容量予約を選択できます。これにより、スタンバイ・リージョンでのインスタンス起動が確実に成功するようになります。
インスタンスの移動を使用してプライマリからスタンバイへの新しいVMを起動する方法と容量予約の統合、プライベートIPアドレスおよびホスト名の割当て機能の両方を使用する方法について見ていきましょう。
1. 前提条件として、AshburnおよびPhoenixの両方のリージョンに必要なリソースを作成します。Ashburnがプライマリ・リージョンで、PhoenixはDRリージョンです。次の表には、デモの一部として使用する必要な詳細がすべて記載されています。コンピュートを移動するインスタンスとして追加する際は、IPアドレス、ホスト名の割当ておよび容量予約の新機能を使用します。Phoenixリージョンのコンピュートは、FSDRを使用してDRプランを実行中に起動されます。表の強調表示されているセクションは、スタンバイ・リージョンのVMのプライベートIPおよびホスト名に使用されるリソースです。

OCIリソース表
2.DR保護グループ(DRPG)を作成し、DRPGの役割を関連付けます。この例では、moveinstance-iadをプライマリ、moveinstance-phxをスタンバイとして持っています。


3. ボリューム・グループ- “mvinstance-iad-vg”をmoveinstance-iad DRPGのメンバーとして追加します。

4. コンピュート・インスタンス(movinginstance-iad)をmoveinstance-iad DRPGのメンバーとして追加します。コンピュート・インスタンス・タイプとして「Moving instance」を選択し、「VNICマッピングの追加」セクションで次の詳細を指定します。ここからプライベートIPアドレスとホスト名を追加する新機能を確認できます。今回は、アプリケーション要件に基づいて宛先プライベートIPアドレスに”10.0.0.99″を、宛先ホスト名に”movinginstance-phx”を指定しました。この時ステップ1の表で、ソースとターゲットのプライベートIPおよびホスト名の詳細を取得します。

5.VNICの詳細が追加された後に「詳細オプションの表示」->「宛先」を選択して、すでに作成されている宛先容量予約の詳細を追加し「追加」をクリックします。

6.VMがDR保護グループに追加されたことを確認します。これでコンピュートおよびボリューム・グループをDR保護グループに追加できました。

7.スタンバイのDRPG moveinstance-phxにスイッチオーバー計画を作成します。

8.moveinstance-iad-phxスイッチオーバー計画の事前チェックを実施し、正常に実行されたことを確認します。


9.Execute moveinstance-iad-phxスイッチオーバー計画を実行し、正常に実行されていることを確認します。


10.Phoenixリージョンで起動されたVMの容量タイプ、プライベートIPおよびホスト名を確認します。容量予約”testphx”が使用され、VNICマッピングの詳細に従ってプライベートIPアドレスとホスト名が割り当てられていることがわかります。

FSDRでは、ソースのVMとCIDR範囲に基づいてインスタンスの移動コンピュートにプライベートIPとホスト名が割り当てられます。
容量予約との新しい統合、IPアドレスおよびホスト名割当て機能により、お客様はフル・スタックDRでインスタンスの移動コンピュートを使用しながら、柔軟性を実現できます。
参考情報
フル・スタックのディザスタ・リカバリを開始する際に役立つ追加リソースをご紹介します。
