※本ページは、”Introducing Exadata X10M: Extreme Scalability and Dramatically Improved Price Performanceの翻訳です。

Oracleは、次世代のExadata Database MachineプラットフォームであるOracle Exadata X10Mを発表できることを楽しみにしています。Exadata X10Mは、高パフォーマンスのデータベース・ハードウェアおよびソフトウェアのイノベーションの10年以上にわたって構築されており、Oracle Databaseを実行するための理想的なプラットフォームに、卓越した規模と優れた価格性能を提供します。

概要

Exadata X10Mは、すべてのデータベース・ワークロードに対して比類のないパフォーマンス、可用性およびスケーラビリティを提供します。前世代と同じ価格から、Exadata X10Mは、以前の世代よりも大幅に多くの容量を提供し、大きな価値をもたらします。現在、何千もの大企業や中小企業が、最も重要で要求の厳しいワークロードをExadataで実行しています。これには、最大手の金融業界、通信業界および小売業界のお客様の大部分が含まれます。

最新のExadata世代は、第4世代のAMD EPYCTMプロセッサを備え、最大3倍のトランザクション・スループットと最大3.6倍の高速なデータベース・サーバーでの分析問合せにより、大幅なパフォーマンス向上を実現します。Exadata X10M High Capacity Storage Server では、22%の追加されたデータ容量を保持できるようになりましたが、オールフラッシュのExadata X10M Extreme Flash Storage Serverでは、以前のシステムの容量の2.4倍の容量を提供できるようになりました。データベース・サーバーは従来と比べて50%大きなメモリー容量をサポートするため、より多くのデータベースと大規模なメモリー集中型のワークロードを同じシステムで実行できるようになりました。パフォーマンスの向上とストレージ容量とメモリー容量の増加を組み合せることで、すべてのデータベース・ワークロードのコストが大幅に削減され、Exadata X10M High Capacityシステムの価格は前の世代と同じままになります。また、Exadata X10Mプラットフォームによって提供されるコンピュートおよびストレージの密度が大きいほど、ニーズを満たすために必要なシステムのサイズが削減され、電力、冷却および床面積のデータ・センターのコストが削減され、データ・センターの持続可能性が向上します。

Exadata X10M

Exadata X10M

Exadata X10Mは、最新のプロセッサ、ネットワーキングおよびストレージ・テクノロジを使用して構築されており、システム・ハードウェア、Exadata System Software およびOracle Databaseソフトウェアに対する多数の最適化が含まれており、オンライン・トランザクション処理(OLTP)、分析、機械学習(ML)および混合ワークロードに比類のないパフォーマンスと価値を提供します。Exadataのスケールアウト・アーキテクチャは、Exadata X10Mを強化する第4世代のAMD EPYCプロセッサが提供する印象的なスケールアップ機能と組み合わせることで、お客様は、パブリック・クラウド、ハイブリッド・クラウド、オンプレミス・デプロイメントで高度なデータ管理ニーズを満たすことができます。

お客様のデータ・センターへのデプロイメント用のExadata X10Mプラットフォームには、Exadata Database Machine X10MおよびExadata Cloud@Customer X10Mが提供されます。Exadata Cloud@Customerは、Exadata Database Machineと同じアーキテクチャ、ソフトウェアおよびインフラストラクチャを使用して、お客様がOracle Cloud Infrastructure (OCI)の自動化されたOracle Exadata Database Serviceおよび完全管理されたOracle Autonomous Databaseをデータ・センターで実行できるようにし、OCIの自動化と経済性からメリットを得ることができます。Exadata Database ServiceおよびAutonomous Databaseは、OCIのAMD EPYCプロセッサ・ベースのExadata Cloud Infrastructureでも実行されます。

Exadata X10M Quarter Rack は、非常に優れたOLTPおよび分析パフォーマンスと、統合機能の大幅な増加により、Exadata X9Mと同じ価格を維持しています。これは、システムにとって信じられないほどの素晴らしい価値です。Exadata X10Mの機能拡張により、Exadata X9Mプラットフォームと比較して、インフラストラクチャの支出が大幅に削減され、システムおよびデータベースの管理が削減され、エネルギー消費が削減されます。

高いパフォーマンスが要求されるOLTP、IoT、ブロックチェーン、ゲーム、財務取引、eCommerceなどの最新ワークロードには、世界最速のOLTPデータベース・マシンが必要です。このマシンはさらに高速になりました。Exadata X10M Database Server では、それぞれExadata X9M Database Server のコア数が3倍になり、メモリー帯域幅が1TB/秒近くになります。Exadata X10Mの各データベース・サーバー・コアでは、前の世代のOLTPワークロードよりも高速にOLTPワークロードを実行できるため、お客様はトータルのOLTPスループットを最大3倍にすることができます。

ExadataのX10M Storage Serverは、それぞれ280万回/秒の読取りI/Oを実現しており、X9Mに比べて21%増加しています。インテリジェントなストレージ・サーバーでDDR5 DRAMを使用することで、Exadata RDMA Memory (XRMEM)の読取りレイテンシは、Exadata X10Mで19マイクロ秒から17マイクロ秒に短縮されます。すべてのExadataパフォーマンス・メトリックと同様に、これらは実際のエンドツーエンドのデータベース・ワークロードでの性能値であり、ストレージ・ベンダーが通常使用する小規模なテスト・ワークロードを使用した低レベルのI/O計測値ではありません。

分析ワークロードでも、パフォーマンスが向上します。Exadata X10Mは、各ストレージ・サーバーの処理コアの数を64に増やし、分析問合せの並列性を向上させます。Smart Scanのスループットは、SQL処理をExadataインテリジェント・ストレージ・サーバーにオフロードし、1ラックで1TB(テラバイト)/秒を上回ります。 

Exadataでのデータベース統合により、大規模データベースを運用する複雑さとオーバーヘッドが軽減されます。Exadataデータベース・サーバーのコアとメモリーの数、フラッシュとハード・ドライブの容量、およびExadataストレージ・サーバーのSQL処理コアの大幅な増加は、Exadataインフラストラクチャでかつてないほど多くのOracleデータベースを実行できることを意味します。統合密度が高いほど、資本的支出と管理費用が削減され、エネルギー効率が向上するため、Oracle Databaseをより効率的に実行できます。

このブログの残りの部分では、Exadata X10Mに関する多くの驚くべき進歩について詳しく説明します。詳細は、Exadata Cloud@Customer X10M ブログおよびOracle ExadataのWebページもお読みください。

Exadataハードウェア

Exadata X10M Database Server

Exadata X10M Database Serverでは、2つの96コア第4世代 AMD CPUが使用され、Exadata X9M世代よりもコア数が3倍と大幅に向上し、コア当たりのパフォーマンスも向上します。Exadata X10Mのメモリー・サイズは、データベース統合の増加およびCPUコアの密度の増加に対する顧客の要求を満たすために増加しています。

データベース・サーバーごとに512 GB、1.5 TB、2.25 TB、3 TBのDDR5 DRAMのメモリー構成が使用可能になりました。Exadata X10Mデータベース・サーバーのメモリー帯域幅は、Exadata X9Mの2.5倍で、メモリー帯域幅の影響を受けやすい操作が大幅に高速化されます。

データベース・サーバーのローカル・ストレージは、3.84TBのNVMe SSDドライブを2台引き続き使用し、4台の3.84TBドライブに拡張できます。これらはすべてホットスワップ可能です。

Exadata X10Mは、ネットワーク・カードをPCIe 4データ・インタフェースからPCIe 5に置き換え、最新世代のデュアル・ポートRDMA over Converged Ethernet (RoCE)ネットワーク・カードを採用して、プライベート・ネットワークのスループットを向上させます。また、X10Mは、ネットワーク接続をより柔軟にするために、最大5つのクライアントネットワークインタフェースカードをサポートしています。

Exadata X10M Database Server

Exadata X10M High Capacity Storage Server

Exadata X10M High Capacity Storage Serverでは、それぞれ2つの32コア第4世代 AMD CPUが使用され、Exadata Database Machineのストレージ・サーバー・コアの数は2倍になり、Exadata Cloud@Customer X10Mのコア数はX9Mと比較して24コアから32コアに増加します。メモリーは、Exadata RDMAメモリー(XRMEM)に対応するために、ストレージ層に1.5TBのDD5 DRAM(X9Mでは256GB)を搭載します。 

Exadata Database Serverと同様に、ストレージ・サーバーのメモリー帯域幅は最大2.5倍に増加します。各ストレージサーバーには、パフォーマンスが最適化されたフラッシュカードが4つ含まれており、それぞれが前の世代の6.4 TBからサイズが6.8 TBに増加しています。RoCE Network Fabricは、データベース・サーバーで使用されているのと同じデュアル・ポートRoCEネットワーク・カードが搭載されます。12台のハード・ディスク・ドライブの容量は18 TBから22 TBに増加し、ストレージ・サーバー当たりの合計RAW容量が216 TBから264 TBになり、X9Mから22%の容量増加になります。

 

Exadata X10M High Capacity Storage Server

Exadata X10M Extreme Flash Storage Server

Exadata X10M Extreme Flash Storage Serverは、4つのcapacity-optimized 30.72 TBフラッシュ・ドライブを含む新しいストレージ層を追加し、合計122.88 TBのRAWストレージ容量を実現し、X9Mモデルの51.2TBの容量を2.4倍に大幅に増やしました。

X10M High Capacity Storage Serverと同様に、performance-optimizedの4つのフラッシュ・カードはフラッシュ・キャッシュ専用で利用されます。Extreme Flash Storage Serverは、最新の32コアの第4世代 AMD CPU、搭載メモリーの増加およびデュアル・ポートRoCEネットワーク・カードを使用して、High Capacity Storage Serverと同じ構成になります。

Exadata X10M Extreme Flash Storage Server

Exadata X10M Extended Storage Server

Exadata X10M Extended Storage Server では、最新の32コア第4世代 AMD CPUが使用されます。搭載メモリーは96GBから128GBに増加します。データベースおよびその他のストレージ・サーバーと同様に、RoCE Network Fabricはデュアル・ポートRoCEネットワーク・カードを使用します。12台のハード・ディスク・ドライブの容量がそれぞれ22TBに増加し、ストレージ・サーバー当たり合計容量は264TBで、ストレージ・サーバー当たり最大18TBで、ストレージ・サーバー当たり216TBがX9Mに増加すると、22%増加します。

Exadata X10M Extended Storage Server

Exadata X10M Storage Expansion Rack

Exadata Storage Expansion Rack X10Mは、初期構成は最新のExadata X10M High Capacity Storage Server、Exadata X10M Extreme Flash Storage Serverがサポートされます。追加のHigh Capacity Storage Server、Extreme Flash Storage Server 、およびExtended Storage Serverを既存のX8M、X9M、およびX10M Storage Expansion Rackに追加できるため、お客様は、最も要求の厳しいデータベース・デプロイメントを満たすようにストレージ・ニーズをスケーリングさせることが可能です。

 

スケーラブルなライセンス

Capacity On Demand (CoD)は、Exadata X4以降に使用でき、Exadata X10Mにおいても引き続き、必要なデータベース・ソフトウェア・ライセンスを削減することが可能です。インストール時に、各Exadata X10M Database Serverで最小14個のコアを有効にする必要があります。Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)は、インストール・プロセス中にCoDを実装します。その後、データベース・サーバー上のコンピュート・リソースの需要が増加するにつれて、アクティブ・コア数を増加できます。

Exadata System Software 23.1

Oracleは、2023年3月にExadata System Software 23.1を発表しました。X10Mハードウェアのサポートに加えて、23.1では、Oracle Linux 7およびUEK 5からOracle Linux 8およびUEK 6へのオペレーティング・システムのアップグレードなど、複数の機能がExadataに追加されます。Exadataシステム・ソフトウェアでは、次の追加の新機能により、Exadata Database Machineが引き続き新しいレベルに移行します。

Exadata System Software 23.1

Oracle Linux 8およびUEK6

23.1 リリースの中核は、Oracle Linux 8.7およびUEK6へのアップグレードで、プラットフォームの成熟度と強力なエコシステムの互換性を確保しています。

データベース・インメモリー・カラムナー・キャッシングの新しい圧縮アルゴリズム

X10M以降、ストレージ・サーバーでDatabase In-Memory Columnar Cachingを使用するお客様は、新しい圧縮アルゴリズムによって、実効容量を最大25%増加できます。この最適化により、ストレージ・サーバー内のインメモリー・カラムナー・フォーマットの容量と有効性が向上します。

X10MにおけるKVMのアップデート

X10Mデータベース・サーバーの最大メモリーが増えたことで、仮想マシンで使用可能なメモリーが増加します。仮想マシンに割り当てることができる最大メモリー量は、3TBのデータベース・サーバーモデルでは、データベース・サーバーごとに2.73TBが利用可能です。そのため、1つの仮想マシンまたは複数の仮想マシンで、データベース・サーバーごとに最大2.73TBのフットプリントを組み合せて使用できます。物理メモリーをオーバー・プロビジョニングすることはできません。各仮想マシンのメモリの最小値は16 GBです。Exadata X10Mでは、512GBを超えるメモリーを持つ構成、およびCapacity-On-Demandが非アクティブである構成で、最大2倍の仮想CPU (vCPU)のオーバー・プロビジョニングが引き続き許可されます。Exadata X10Mで2つの96コアCPU (コア当たり2つのvCPUs)を使用すると、データベース・サーバーごとに驚くことに760 vCPUs (ホスト用に予約された4つのvCPUs)を利用するができます。 

すべての詳細について、Exadata KVMのベスト・プラクティス・ドキュメントをお読みください。

OSユーザーの識別および認証の一元化

データベース・サーバーおよびストレージ・サーバーでは、LDAPおよびKerberos認証のサポートが追加されました。これにより、Exadataの全体的なセキュリティ状況が改善され、名前が示すように、管理者アカウントの識別および認証機能が一元化され、パスワードの複雑さ、エージングおよびリセット手順が標準化され、オン・ボーディングおよびオフ・ボーディング・エクスペリエンスが向上します。

Exadata RDMAメモリー(XRMEM)の概要

Exadata X10Mストレージ・サーバーのExadata RDMAメモリー(XRMEM)は、共有読取りアクセラレータとして利用されます。XRMEM Data Acceleratorは、フラッシュ・キャッシュの前にあるメモリー・キャッシュ層で、リモートに格納されたデータへのアクセスに一定の遅延を低減できます。RDMAを使用してリモートからメモリーにアクセスすることで、XRMEM Data AcceleratorはネットワークおよびI/Oスタックをバイパスし、コストの大きいCPU割込み処理、およびコンテキスト・スイッチを排除し、レイテンシを200マイクロ秒から17マイクロ秒未満に10倍以上削減します。また、Smart Exadata System Softwareによって、フォルト・トレランスのため、データがストレージ・サーバー間でミラー化されます。Exadataは、Oracle DatabaseとExadataストレージ・サーバー間の独自のエンドツーエンド統合によって、データベース・サーバーのバッファ・キャッシュとストレージ・サーバーのXRMEMとフラッシュ・キャッシュの間で最もホットなデータ・ブロックを自動的に効率的にキャッシュします。XRMEMは、すべてのストレージ・ノードにわたる共有記憶域層です。つまり、このキャッシュの集計パフォーマンスは、任意のデータベース・サーバー上の任意のデータベース・インスタンスで動的に使用できます。XRMEMは、データベース・インスタンス間でメモリーおよびストレージ・リソースを共有できない汎用ストレージ・アーキテクチャよりも大きなメリットがあります。

Grid Infrastructure 19c以降をサポート

Exadataシステム・ソフトウェアは、Oracle Grid Infrastructure 19.15以降およびOracle Databaseバージョン11gから19cをサポートしています。My Oracle Support note 888828.1に、すべてのソフトウェア・バージョン要件の詳細が記載されています。

Exadata X10Mハードウェアのサポート

Exadata System Software 23.1 (Oracle Linux 8およびUEK 6を含む)は、Exadata X10Mファミリの基盤であり、この世代のExadataシステムの極めて高いスケーラビリティに不可欠です。

まとめ

新しい世代のハードウェアとソフトウェアごとに、Exadataのビジョン・ステートメントの3つの柱で限界に挑むことが目標です。

  • 理想的、最適化されたなデータベース・ハードウェアを提供:データベース・ワークロードに特化したストレージ、コンピュートおよびネットワーク別にスケール・アウト可能に
  • このハードウェアを最大限に活用するデータベース対応のシステム・ソフトウェアを構築し、OLTP、分析、統合、AI/ML、IoT、ブロックチェーン、ゲーム、高速財務システムなど、あらゆる種類のデータベース・ワークロードのパフォーマンス、可用性、スケーラビリティを大幅に向上させる独自のアルゴリズムと機能を提供
  • 完全に自動化された最適化された設計をエンドツーエンドで提供し、ソフトウェア・スタック全体での管理と監視が容易に

Exadata X10Mは、前世代と同じ価格で、CPUコア、メモリーの速度と容量、フラッシュ容量とパフォーマンス、ディスク容量を大幅に増加させます。現在、お客様はこれまで以上に、より少ない時間でより少ないインフラストラクチャ・リソースを使用して、より多くのタスクを実行できます。これらすべての驚異的なイノベーションにより、Oracle Exadata X10Mはスケーラビリティとパフォーマンスを段階的に変化させ、比類のないコスト効率を顧客に提供します。

詳細は、Exadata Database MachineのWebページにアクセスし、Exadata Database Machineのシステム概要のドキュメントを参照してください。