オカムラ様は、オフィスや店舗等の家具・什器の製造・販売や空間設計、物流システム機器の開発など、幅広い事業を手掛けています。同社は近年、膨大な社内ドキュメントやナレッジに効率よくアクセスできる新しい情報基盤の構築に取り組み始めました。その中核を担うのが、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)上に構築したAIを活用した社内Q&Aチャットシステムです。
従来、オカムラ様では各部門が作成したQ&A情報や技術ドキュメントなど、多様な形式のデータが存在し、それらを集約するシステムこそあったものの、検索対象の多くが非構造化データ(画像や図表を含むPDF等)のままで、検索精度が十分でない、あるいはそもそも検索対象にできないといった課題が顕在化していました。
この課題に対し、同社はOracle Autonomous DatabaseのAI Vector Search機能を活用。キーワード検索やファイルのメタ情報を組み合わせた高度な検索ロジックを実装することで、“ユーザーの質問に関連するドキュメント”を高精度に検索できるようにしました。その結果、社内での評価では、約82%のテストケースで関連ドキュメントを上位1桁(Top 10)に提示し、応答時間も概ね1秒以下を実現しています。従来の検索システムでは正解ファイルの取得率が約55%程度であったため、AI Vector Search機能を活用した高度な検索ロジックにより、約1.5倍の精度向上を実現しています。
さらに本システムでは、構造化データ(Q&A表のテキストなど)だけでなく、非構造化データ(PDF等)からもAIで情報を自動抽出し、自然言語検索に適したデータ構造へ変換するデータパイプラインを実装。AIエージェントが検索結果に基づいて高精度な回答を生成することで、ユーザーは自然な操作感でAIとともに働く業務環境を体感できるようになりました。
データ取り込み・管理用のユーザーインターフェースには、ローコード開発環境のOracle APEXを採用し、スピーディかつ手間なく開発を行いました。Q&A情報のみならず、画像や製品仕様書、図面等あらゆるデータ形式に対応しています。また、さらなる検索精度向上を目的に、今後はグラフデータベース機能の活用・拡張も検討しています。
プロジェクト全体を支えるのが、データとAIに精通したOracle Consulting Serviceによる伴走型支援。提案から実装、運用まで一貫して協働することで、本プロジェクトをサポートしています。
オカムラ様は、AI技術とデータ基盤の強化により社内ナレッジ活用を飛躍的に向上。引き続き「社員がごく自然にAIと一緒に働く環境」を実現する取り組みを推進していく予定です。

- [参考資料] Oracle Autonomous AI Database:サービス概要のご紹介
- [参考資料] Oracle Database 23ai Developer Tech Day : AI Vector Search 最新のエンタープライズシステムの強化
- [参考資料] Oracle Database 23ai Developer Tech Day : Oracle APEX 生成AIを活用したローコード・アプリケーション開発