アバップ様は、システム開発企業としてのDX基盤統合プラットフォームをOracle Cloud Infrastructure(OCI)上に構築しました。

同社は、オープンソースを活用したシステム開発や、KubernetesやGitLabといったCloud Nativeテクノロジーによるコンテナ基盤の構築やCI/CDの運用を得意としています。

フルリモートで業務を行い、主要業務のシステム開発のみならず、電話対応・チャット・契約書作成・経理・総務・会計や経費精算処理の連携などの社内のあらゆる業務に関しても、
システム開発における業務・情報整理の考え方を取り入れて同様に処理し、システム開発企業として、会社としての活動そのものをデジタル・トランスフォーメーション(DX)する構想に挑戦しています。

会社としての活動の全てをDXしてゆく中で、社内に自分事として業務分析、システム企画、効果測定を繰り返し、知見をため、それをお客様の業務改善やシステム適用へのアドバイスなどに活かしています。

もともとクラウド環境としてはAWSを活用していましたが、技術的な制約ではないAWS固有の制約や、業務の規模、目的に即した課金体系が選べないことが課題になっていました。また、会社の生命線となるシステムを開発し、育てていく為に特定の環境にロックインされることを避ける選択をし、クラウドベンダーの提供するパッケージサービスを利用しない運用方針を選択しました。

この運用方針と課題を解決し、”Company as a Code” 挑戦を更に発展させてゆくために、環境の移行先としてOCIを選択しました。各業務を司るアプリケーションの稼働にOKE(OCI Kubernetes Engine)を、データ管理にOCI Database with PostgreSQLを採用しました。またオープンソース・テクノロジーも数多く活用し、業務フローにGitLab、チャットツールにMattermost、社内システムのシングル・サインオンにKeycloakを活用し、自社業務そのものをIT技術やシステム開発の哲学で常に新しい方法を模索、革新できる”DX基盤統合プラットフォーム”を実現することによって、社員18名で、年間250案件以上をこなす効率化を実現しました。

OCIは、Kubernetes、Terraform、Ansible、MySQL、PostgreSQLといったオープンなテクノロジーをそのまま利用できるサービスのため、ベンダーロックインの懸念なく使い続けられています。また、Network Load Balancer(NLB)が無料であるため、DevSecOpsやShift Leftの開発フローなどで問題になるクラウドへのアクセス環境を気軽に構築できるようになりました。さらに、OCIのクラウド環境以外の宛先も設定できるため、Dynamic Routing Gateway(DRG)経由でクラウド上のNLBから開発者端末内の開発環境へインターネット経由でアクセスさせたり、オンプレミス環境と接続して既存リソース(NAS/GPU)をハイブリッド環境やリモート環境で活用できる仕組みを構築することができました。これら2つのサービス(NLB/DRG)はいずれも利用料無料です。

結果、AWS活用時と比較し全体で約40%のコスト削減をしつつ、システム開発企業としてのDX基盤統合プラットフォームを構築しました。今後の計画としては、MySQL HeatWaveを活用し、AWS上で顧客向けに開発・運用している既存システムをOCIへ移行するプロジェクトがあり、検証作業に着手しています。また、OCIは中小規模の開発会社こそ活用するメリットがあると考え、セルフホストGitlabをOCIに展開し活用ノウハウと共に提供するサービスや、OCIへの移行支援など、自社業務を通して得られた知見を活用し還元していける事業展開を計画しています。

Oracle Cloud Infrastructure:2025年9月度サービス・アップデート

Oracle Cloud Infrastructure:参考情報