※ 本記事は、Alex Moffatによる”OCI Confidential Computing on E5/E6 VM and Bare Metal Shapes“を翻訳したものです。

2026年8月28日


OCI 機密コンピューティング (Confidential Computing)で、最新のE5/E6 Standardインスタンス・ファミリー(AMD EPYCベース)でのSecure Nested Paging (SNP)に対応したAMD Secure Encrypted Virtualization (SEV)がサポートされるようになりました。インスタンスの作成時にこれらの機能を簡単に有効化し、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えつつ、追加コストなしで、使用中のデータを保護することができます。

機密コンピューティングを使用する理由

さまざまな組織において、機密性の高いワークロードの保護を、静止中と転送中だけでなく、データがアクティブに処理されている間にも行う必要性が高まっています。金融、医療、公共部門などの規制の厳しい業界では、ライフサイクル全体を通してデータを保護することが重要です。機密コンピューティングの使用は、組織が地域や業界で定められた規制コンプライアンスに準拠して継続的に維持することに役立ちます。

ユース・ケースの例:

  • データの変換、スコアリングや分析ジョブの実行中のPII/PHIを保護
  • インフラストラクチャ管理者に鍵を公開してはならない機密情報を保持するサービス(トークン化、署名、決済)
  • 強力なテナント間分離の保証を要求するマルチテナントのSaaSワークロード
  • 機密性の高い入力を処理する機密ML推論パイプライン
  • 認証情報や独自のソース・コードがメモリー内に存在するCI/CDやビルドのシステムにおけるセキュアなデータ処理
  • ハードウェアベースの分離レイヤーを必要とするゼロトラスト/侵害前提 (assume breach)のアーキテクチャ。

機密コンピューティングは、使用中のデータとそのデータを処理するアプリケーションを暗号化・分離し、不正アクセスや改ざんの強力な脅威シナリオにおいてもデータの保護を支援します。機密コンピューティングはハードウェアの最下層でのセキュリティを提供して、信頼できる関係者(OS、エコシステム・パートナー、管理者)の範囲を最小限に抑えることで、データ漏洩のリスクの低減に役立ちます。OCI 機密コンピューティングを使用することで、アプリケーションのコードを変更することなく、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながら、これらのメリットを得ることができます。

機密コンピューティングとは

機密コンピューティングは、ワークロードの実行中にインメモリー・データを暗号化・分離することで、使用中のデータの保護を支援します。OCIにおいて機密VMは、AMD SEVを使用し、VMの作成時に生成されAMD Secure Processorに保持されるキーに依存します。これらのキーはアプリケーション、ゲスト、ハイパーバイザまたはOCIからアクセスできません。

以前のSEV世代では、主にハイパーバイザーにゲスト・メモリーを読み取らせないことに重点が置かれています。一方でE5/E6シェイプ向けのSecure Nested Pagingに対応したSEVでは、強力なメモリー整合性保護の機能が追加されているため、データ・リプレイやメモリーのリマッピングなどの悪意のあるハイパーバイザベースの攻撃をも防ぐことができます。Secure Nested Pagingではハードウェアベースのアテステーションも利用でき、シークレット(キー、トークン、データセット)を渡す前に、ワークロードが想定された機密環境で実行されていることを(暗号学的に)検証できます。OCI E5/E6シェイプはBring Your Own Attestation Service (BYAS)モデルをサポートしており、お客様はOCIのドキュメントのガイドに沿ってアテステーション・サーバーをデプロイできます。

主なセキュリティ機能:

  • メモリーの分離: 各VMはプロセッサのみが利用できる固有の鍵で暗号化されており、ホスト・システムが侵害された場合にもデータを保護します。
  • コード変更なし: アプリケーション・コードを変更することなく、既存のワークロードをこれらの機密環境に「リフト・アンド・シフト」できます。
  • ランタイム・アテステーション: ワークロードが保護された状態で実行されていることを確認するための監査ログとリモート・アテステーションをシステムが提供します。

価格と販売状況

機密コンピューティングを有効化することで追加コストは発生しません。機密コンピューティングはすべてのレルムとリージョンのBM.Standard.E5とBM.Standard.E6で使用できます。また、すべてのパブリック・リージョンのVM.Standard.E6.Flexと、一部リージョンを除いたほとんどのパブリック・リージョン (ZRH/SIN/ORDを除く)のVM.Standard.E5.Flexで使用できます。サポートされるOSイメージは、Oracle Linux 9 (UEK8)、Oracle Linux 10 (UEK8)と、Ubuntu 24.04です。機密コンピューティングは、初回起動時に有効化する必要があり、インスタンスの作成後に有効/無効を切り替えることはできません。保護インスタンスと機密コンピューティングは相互に排他的です(併用することはできません)。

自分で試してみる

  1. コンソールにアクセス
  2. 「コンピュート」 > 「インスタンス」に移動します。
  3. 「インスタンスの作成」を選択します。
  4. 「機密コンピューティング」セキュリティ・オプションを探して、互換性のあるイメージとシェイプを選択します。
Instance Launch: Image and Shape selection
  1. セキュリティ設定のオプションで機密コンピューティングを有効化します。
Instance Launch: Security Selection
  1. インスタンスを起動します。

ドキュメント

この機能に関連する追加の詳細は、次のリンクを参照してください:

  1. OCI 機密コンピューティングの概要: https://docs.oracle.com/iaas/Content/Compute/References/confidential_compute.htm
  2. 保護インスタンスの制限事項 (機密コンピューティングとは併用不可): https://docs.oracle.com/iaas/Content/Compute/References/shielded-instances.htm
  3. パフォーマンス・ベンチマークの参考情報: https://blogs.oracle.com/cloud-infrastructure/perf-impact-of-confidential-computing-on-oci-vms
  4. AMD Confidential Computingの概要:  https://www.amd.com/products/processors/server/epyc/confidential-computing.html
  5. AMD SEV開発者向けページ: https://www.amd.com/developer/sev.html
  6. AMD SEV – Secure Nested Pagingのアテステーション概要: https://www.amd.com/content/dam/amd/en/documents/developer/lss-snp-attestation.pdf