※ 本記事は、Mark Hornickによる”Announcing the Oracle Autonomous AI Database MCP Server“を翻訳したものです。
2026年5月19日
Oracle Autonomous AI Database MCP Serverは、Autonomous AI Database Serverlessに組み込まれたマルチテナント対応の機能で、Model Context Protocol (MCP)のエンドポイントを公開します。これにより、Claude DesktopやOCI AI AgentのようなAI エージェントやクライアントが、 Select AI Agentで定義したツールを呼び出せるようになります。今回、Oracle は、データベースのバージョン 19c および 26aiをサポートするAutonomous AI Database向けのOracle Autonomous AI Database MCP Serverが一般提供(GA)になったことを発表します。
Autonomous AI Databaseは、アクセス認証と権限認可のためにOracle Database Identityとネイティブに統合されています。そのため、Autonomous AI Database MCP Serverを使うことで、組織はAI エージェントやクライアントアプリケーションに対して、アクセスが許可されたスキーマの検出、SQLの実行、データベース機能の利用を管理できます。これらはすべて、データベースのセキュリティ・ポリシーによって強制されるよう設計されています。MCPサーバーは完全マネージド型で、MCPのセットアップは不要です。また、AIからデータへのワークフローに対して、エンタープライズ水準の監査機能とパフォーマンス制御を提供します。
なぜMCPが必要なのか、そしてなぜ今なのか
MCPは、AIシステムが外部ツールやデータへ接続する方法を標準化する仕組みです。これまでは個別のカスタム・アダプターが必要でしたが、MCPは、ツールの発見、リソースの読み取り、アクションの実行を行うための、オープンで共通のインタフェースを提供します。今回、データベース内で利用可能になったOracle Autonomous AI Database MCP Serverにより、企業は、広く採用されているベンダー中立の標準規格を使って、Autonomous AI Databaseと安全かつ信頼性高く連携するAIエージェントを管理できるようになります。
Autonomous AI Database MCP Serverの特長
Autonomous AI Database MCP Serverは、Oracleがサポートするマネージド・サービスとして、データベース・インスタンス内に完全に組み込まれています。そのため、別途MCP用のインフラやサーバーを構築・運用する必要がなく、運用負荷の軽減につながります。
また、サードパーティ製のデータベース向けMCPサーバーとは異なり、Autonomous AI Database MCP Serverは、データベースのネイティブなセキュリティ機能と深く統合されています。既存のロール、アクセス制御リスト (ACL)、監査機能、暗号化、ロールベース・アクセス制御 (RBAC)、仮想プライベート・データベース (VPD)ポリシーを尊重し、それらを強制適用するよう設計されています。その結果、外部実装のMCPでは実現が難しいレベルの保護を提供することを目指しています。
さらに、Select AI Agentを使って作成したツールは、MCP Serverを通じてすぐに利用できます。これには、自然言語からSQLを生成するSelect AIのNL2SQL機能や、RAG (Retrieval Augmented Generation: 検索拡張生成)を活用するツールも含まれます。たとえば、自然言語による問い合わせを処理する場合、一般的なMCPサーバーでは、LLMがSQLを生成・実行する前に、データベース・スキーマへのアクセス、利用可能なオブジェクトの列挙、メタデータ取得などの処理が必要になります。一方、Autonomous AI Database MCP Server内のNL2SQL対応Select AIツールでは、AIプロファイルを利用することで、こうした探索プロセスを省略できます。そのため、SQL生成品質に優れた別のLLMを利用しながら、より効率的でスムーズなNL2SQLクエリ生成・実行を行うことが可能になります。
また、エンタープライズ向け機能として、DoS (サービス拒否)攻撃対策やレート制限は、利用する ECPU割り当て数で管理できます。さらに、マルチテナント・アーキテクチャによって、ガバナンスを一元化しながらも、各テナントごとのポリシー、データ、パフォーマンス分離は維持されるよう設計されています。
Autonomous AI Database MCP Serverは、Oracleの高度なAI、セキュリティ、データベース技術を1つにまとめた、統合されたソリューションです。主な利点は次のとおりです:
運用、アーキテクチャ、統合
- ネイティブかつ一体化されたデプロイ: Oracle Autonomous AI Databaseインスタンス内でMCP Serverをネイティブに実行できます (データベースのバージョンは19c/26ai)。独立したサーバーやクラスタ管理は不要で、OCIコンソールから直接管理できます。
- シームレスな利用体験とサポート: Oracleが完全に管理するサービスとして、Oracle AI Databaseの自動アップデートとパッチ適用の仕組みがそのまま適用されます。さらに、Premier SupportとSLAも適用されます。MCP対応クライアント (たとえばClaudeやOCI AI Agent)を接続し、Select AI Agentで定義したツールを使用できます。
コンプライアンス、セキュリティ、パフォーマンス
- エンタープライズ水準のセキュリティとコンプライアンス: Oracleに組み込まれている監査機能、データ・レジデンシ、業界標準への対応機能を活用して、コンプライアンス要件に対応できます。また、ロール、アクセス制御リスト (ACL)、仮想プライベート・データベース (VPD)を利用することで、最小権限の原則に基づいた細かなアクセス制御を実現できます。
- データベース内で最適化されたパフォーマンス: AI処理やクエリをデータベース内で実行することで、遅延やデータ移動を最小限に抑えられます。また、統合されたリソース管理機能によって、安定したスループットを実現できます。
コスト最適化と監視
- 柔軟なスケーリングと自動制御: Autonomous AI Databaseの自動スケーリング機能を活用することで、高い耐障害性とスループットを実現できます。また、自動スループット制御 (ECPU 割り当て)によって、コスト効率とパフォーマンス効率の両立を図ることができます。
- 包括的な監視機能: OCI Monitoringやエンタープライズ向けツールを通じて、リアルタイムの利用状況メトリクスや監査情報を確認できます。また、ストリーミングによる段階的レスポンス (SSE: Server-Sent Events)にも対応しています。
利用をはじめる
Autonomous AI Database MCP Serverの利用開始は簡単です。以下の4つの手順に従うだけです:
- MCPサーバーを有効化する
- Select AI Agent ツールを作成する
- MCPクライアント / AI エージェント・アプリケーションを選択して設定する
- AIアプリケーションを再起動する
1. MCPサーバーを有効化する
MCPサーバーは、データベースの更新の権限を持つOCIユーザーとしてOCI Consoleにログインし、OCI のフリーフォーム・タグを追加することで有効化できます。利用前には、組織のAIおよびデータ・セキュリティ・ポリシーに準拠していることを確認してください。MCP Serverを有効化すると、データベースOCIDに紐づいたMCPエンドポイントが作成されます。有効化後、データベースはMCPエンドポイントを公開し、認証済みのMCPクライアントが登録済みツールを実行できるようになります:
まず、データベース更新権限を持つユーザーとしてOCI Consoleにサインインし、OCIフリーフォーム・タグ adb$featureに対して、次のタグ値を設定します:
Tag Name: adb$feature
Tag Value: {"name":"mcp_server","enable":true}
MCP Serverを有効にすると、データベースのOCIDに紐づいたMCPエンドポイントが作成されます:
https://dataaccess.adb.<region-identifier>.oraclecloudapps.com/adb/mcp/v1/databases/<database-ocid>
Private Endpointを使ってネットワーク・アクセスを設定している場合、MCP Serverのエンドポイントにアクセスできるのは、プライベート・エンドポイント設定時に指定したVirtual Cloud Network (VCN)内からのみです。許可されたVCNの外にあるクライアントは、MCP Serverに接続できません。
Private Endpointで構成されたデータベースでは、MCP ServerのURLは次のプライベート・ホスト名形式を使用します:
https://<hostname_prefix>.adb.<region-identifier>.oraclecloudapps.com/adb/mcp/v1/databases/<database-ocid>
2. Select AI Agent ツールを作成する
DBMS_CLOUD_AI_AGENT.CREATE_TOOL PL/SQL APIを使用して、カスタム・ツールを作成します。たとえば、SQLクエリを実行するためのツールを作成できます。以下の例では、「MY_RUN_SQL_TOOL」という名前のカスタム・ツールを作成し、呼び出し可能なMCPツールとして登録しています。(スキーマ一覧の取得、オブジェクト一覧の取得、オブジェクト詳細取得など、さらに多くの例についてはドキュメントを参照してください。)
BEGIN
DBMS_CLOUD_AI_AGENT.CREATE_TOOL (
tool_name => 'MY_RUN_SQL_TOOL',
attributes => '{"instruction": "このツールは、指定された読み取り専用 (SELECT)の SQLクエリを実行します。",
"function": "RUN_SQL",
"tool_inputs": [{"name":"QUERY","description" : "末尾にセミコロンを付けないSELECT SQL文。"},
{"name":"OFFSET","description": "ページ区切り用のパラメータ。ページ分割されたデータを取得するときに、1ページあたりの件数を設定するために使います。"},
{"name":"LIMIT","description" : "ページ区切り用のパラメータ。取得件数の上限を適用する前に、先に何件分のレコードを飛ばすかを指定するときに使います。"}
]}'
);
END;
対応するPL/SQL関数 run_sqlを定義します。この関数はSELECT文を受け取り、ページ分割されたJSON結果を返します。これにより、大きな結果セットにも対応でき、VPDなどのデータベース・セキュリティ・ポリシーを遵守する設計になっています。
CREATE OR REPLACE FUNCTION run_sql(
query IN CLOB,
offset IN NUMBER,
limit IN NUMBER
) RETURN CLOB
AS
v_sql CLOB;
v_json CLOB;
BEGIN
v_sql := 'SELECT NVL(JSON_ARRAYAGG(JSON_OBJECT(*) RETURNING CLOB), ''[]'') AS json_output ' ||
'FROM ( ' ||
' SELECT * FROM ( ' || query || ' ) sub_q ' ||
' OFFSET :off ROWS FETCH NEXT :lim ROWS ONLY ' ||
')';
EXECUTE IMMEDIATE v_sql
INTO v_json
USING offset, limit;
RETURN v_json;
END;
3. MCPクライアント / AI エージェント・アプリケーションを選択して設定する
Autonomous AI Database MCP Serverは標準的なMCPに対応しているため、あらゆるMCPクライアントから接続できます。たとえば、Clineを利用したVS Code、Claude Desktop、OCI AI Agent、カスタム・アプリケーションなどが利用可能です。MCPクライアントには、手順 1で作成したMCP Serverのエンドポイントを設定します。
たとえば、以下はClaude Desktop用の設定例です。まず、claude.ai/downloadからClaude Desktopをダウンロードしてインストールします。その後、File → Settings → Developerの手順で進み「Edit Config」をクリックします。するとclaude_desktop_config.jsonファイルが開くので、そこに以下のような設定を追加します:
{
"mcpServers": {
"autonomous-database-mcp-server": { <- Customer-provided MCP server name
"command": "/opt/homebrew/bin/npx", <- Executable/command invokes MCP server
"args": [ <- Arguments to the command to connect to MCP server
"-y",
"mcp-remote",
"https://dataaccess.adb.../databases/OCID1...OC1...7H", <- MCP Server URL
"--allow-http"
],
"transport": "streamable-http"
}
}
}
4. AIアプリケーションを再起動する
MCPクライアント・アプリケーションを再起動します。たとえばClaude Desktopの場合は、アプリケーション・プロセスを終了して再度起動してください。その後、データベースのユーザー名と認証情報を使ってサインインします。アプリケーションには、認証されたユーザーがアクセス権を持つSelect AI Agentツールだけが表示されます。また、ツールは自然言語のプロンプト内容に応じて自動的に選択されます。
ぜひ試してみてください
準備はできましたか? Oracle Autonomous AI Database MCP Serverを実際に試してみてください。統合の簡素化、セキュリティ強化、そして AI を活用したデータ・アクセスの高速化を体験できます。
標準化されたMCPツール群、エンタープライズ水準の制御機能、そして組み込みの可観測性機能により、MCP ServerはAutonomous AI Database上でのエージェントベース・アプリケーションの構築とスケーリングを安心して進められるよう支援します。また、不要な接続用コード (glue code)や複雑な実装を減らすことにも役立ちます。
リソース
詳細については、以下をご参照ください…
