2026年3月のOracle Cloud Infrastructureのサービス・アップデートです。
マルチクラウド領域では、国内での提供範囲がさらに広がりました。Oracle Database@Google Cloudは、Google Cloud 大阪リージョンでAutonomous Database(Serverless)に対応し、東京に加えて関西圏でも低遅延なデータ活用基盤を選択しやすくなっています。また Oracle Database@Azureでは、Azure 西日本リージョンでExadata Database Service on Exascale Infrastructure(ExaDB-XS)が利用可能となり、ワークロード特性に応じて“ハイパースケーラー上でオラクルの高性能データベース基盤を使う”選択肢が日本国内でも現実的に取りやすくなりました。こうした拡充は、データレジデンシーやBCP、拠点・利用者分布(東西)を踏まえた配置最適化の自由度を高めます。
インフラ領域では、運用統合とセキュアな標準化を後押しするアップデートが中心です。Object Storageは、Amazon S3 互換APIにおいて仮想ホスト・スタイルURLをサポートし、既存のS3ツール/ライブラリを前提とした連携の選択肢が広がりました。加えてOracle Cloud VMware Solution(OCVS)では管理アプライアンスが登場し、これまでvSphere ClientとOCIコンソールの両方で行っていた作業を、vSphere Client側からOCI側リソース作成まで含めて一括で進められる方向に進化しています。結果として、日常運用の手順簡素化や権限設計の整理がしやすくなり、移行後の運用負荷(属人性・手戻り)を下げる効果が期待できます。さらにネットワークでは、Zero Trust Packet Routing(ZPR)が強化され、ピアリングされた複数VCNにまたがる通信制御(ZPR v2)を記述できるようになりました。ネットワーク構成とセキュリティポリシーを分離し、「誰がどこにアクセスできるか」をポリシーとして集中管理しやすくなるため、特に大規模・複雑なネットワークほど統制と変更容易性の面でメリットが出ます。
DB/AI領域では、“生成AI活用の実装”と“基幹DB運用の継続性”の両面で強化が進んでいます。Select AIでは、従来「Select AI Sidecar」として示されていた考え方が「AI Proxy Database(Select AI Proxy Integration)」としてドキュメント上で整理され、Autonomous AI Databaseをプロキシとして自然言語→SQL生成→クエリ実行→回答生成までをつなぐアーキテクチャが明確化されました。既存DBやDB Link/Cloud Link等でつながるデータソースを跨いだ活用も想定されており、“データは既存の場所に置いたまま、対話型の利用体験を統合する”設計を取りやすくなります。加えてExadata Database Service on Dedicated Infrastructureでは、Exascaleストレージがデータベース領域だけでなく仮想マシン(VM)向けにも利用可能となり、VMイメージやOracle管理VMバックアップをより柔軟に保存できるようになりました。ローカルディスク制約の緩和に加え、Oracle管理のフルVMバックアップを2世代保持できる点は、運用品質(バックアップ運用の余裕)とリカバリ選択肢に直結します。
事例・関連ニュースとしては、一橋大学様の事例では、業務系情報基盤をOCIへ移行し、柔軟性や拡張性の向上とコスト削減を実現した点が紹介されています。またAstemo様の事例では、グローバル22拠点を横断する基盤刷新を最小の停止時間で成し遂げたOCI移行の実例が取り上げられており、グローバル規模でも“止められない基盤の移行”を成立させる現実解として示唆の多い内容です。
過去のサービス・アップデートは、こちらをご覧ください。
各サービスの詳細なアップデート情報は、ドキュメントをご覧ください。
- Oracle Cloud Infrastructure Documentation(英語版:最新情報はこちらをご覧ください)
- Oracle Cloud Infrastructure ドキュメント(日本語版):Infrastructure|Platform
- Oracle Cloud Infrastructure > Release Notes|日本語版
Oracle Cloud Infrastructure:2026年3月度サービス・アップデート