※ 本記事は、Mike Matthewsによる”Announcing Open Enterprise Data Access with the Oracle Autonomous AI Database Catalog“を翻訳したものです。
2025年11月5日
現在、組織には選択肢となるクラウド・データ・プラットフォームが数多く存在します。Oracle Autonomous AI Databaseは、完全に自動化された管理、強力なコンバージド・データ・アーキテクチャ、複雑な分析の簡素化に役立つ高度なSQLなどの強力な機能から、好まれる場合もあるでしょう。一方、分析エンジンやデータ形式の面でオープン性が高いという点から、Icebergベースのデータプラットフォームを好む場合もあるでしょう。
朗報です。どちらか一方を選ぶ必要はありません。Oracleは、両方の長所を単一のデータ・プラットフォームとして組み合わせることができるAutonomous AI Databaseの新機能を発表しました。このブログでは、Autonomous AI Database Catalogで利用可能になった強力な新機能についてご紹介します。データをデータベースにロードするかどうかに関係なく、データ・プラットフォーム全体でデータの検索、理解、クエリを行うことができます。
Autonomous AI Database Catalogによるエンタープライズ接続
Autonomous AI Database Catalogは、SQLクライアントを使用して、エンタープライズ・データ・アセットへの接続とそれらのソースに対する問合せを簡素化します。データを現在の保存先から移動しないフェデレーション型のデータアクセスを用いることも、シンプルなオプションでデータベースへロードまたは継続的に取り込むこともできます。カタログはすでに、クラウドとオンプレミスの両方の多くのデータベース、クラウド・ストレージ・システム、AWS Glueなどのデータ・カタログ、Delta Sharingを使用して共有されるデータに接続できます。
今回、異種データの接続と統合をさらに容易にするため、カタログに2つの重要な新機能を追加しました:
1. Icebergカタログへのアクセス
2. すべてのカタログ・データへのプラグアンドプレイのSQL問合せアクセス
Icebergカタログへのアクセス
Icebergは、データサイエンスやAIコミュニティの中で最も人気のあるオープン・テーブル形式の1つです。Autonomous AI Database Catalogは、Icebergカタログをサポートするようになり、Oracleデータベース・アプリケーション、ツール、分析がIceberg表にシームレスにアクセスできるようになりました。どのクラウド上のどのIcebergカタログ内でも、あらゆるIceberg表を検索、検出、プレビューおよび問合せできます。
当初、AWS Glue、Snowflake Open Catalog、Databricks Unity、Apache GravitinoのIcebergカタログによるカタログアクセスを認定していますが、実際には、数ステップの簡単な手順でほぼ任意のIcebergカタログを追加できます。
追加後は、それらのカタログを検索して、分析に必要な表を見つけることができます。
すべてのカタログ内データへのプラグアンドプレイのSQL問合せアクセス
あらゆるSQLクライアントからカタログ・データにさらに簡単にアクセスできるように、Autonomous AI DatabaseのSQL構文に重要な追加を加えました。これにより、接続済みの任意のカタログ内にある任意の表を、次のような構文で問合せできます
select * from owner.table@catalog;
内部的には、この単純なSQLは、カタログのメタデータを使用して、関連データの適切なタイプの問合せに変換されます。問合せで参照される表が別の接続データベースにある場合、問合せでは既存のデータベース・リンク構文が使用されます。参照される表が別のタイプのカタログ(Icebergカタログなど)内にある場合、問合せはデータを問い合せるためのインライン外部表を生成します。
これは、アナリティクスにとって真のゲームチェンジャーです。 というのもSQLに精通しているユーザーや、Autonomous AI DatabaseのSelect AIなどのAIベースの自然言語クエリを使用しているユーザーが、Autonomous AI Databaseにデータを移動またはコピーすることなく、企業全体のデータ・エコシステムに対して分析を実行できるようになるからです。次の図1をご覧ください。

さらに、この新機能により、ユーザーはSQLからカタログ・メタデータを問い合せることが非常に容易になるため、使用可能なカタログとそのカタログの内容を判断できます。Autonomous AI Databaseインスタンスで使用可能なすべての追加カタログのリストを表示するには、次のシンプルな問合せを使用します:
SELECT
CATALOG_NAME,
CATALOG_TYPE,
IS_ENABLED
FROM
USER_MOUNTED_CATALOGS;
たとえば、Autonomous AI Database上に2つのカタログが設定されている場合、これらは問合せの応答には次のように一覧表示されます:

次に、有効化された任意のカタログから、利用可能なテーブルとそれを所有する「スキーマ」を一覧表示するクエリを実行できます。たとえば、上記の「GLUE」カタログで使用可能な表を確認するには、次の問合せを使用します:
SELECT
OWNER,
TABLE_NAME
FROM
ALL_TABLES@GLUE;

使用すべきスキーマ名と表名がわかったので、あとはシンプルな構文SELECT * FROM OWNER.TABLE@CATALOGを使用して、データを問い合せることができます:

もちろん、 Autonomous AI Databaseにすでにあるデータと、この外部データに対するクエリを組み合わせることもできます。次のクエリの例(図5)は、18歳から25歳で「ハッピー・カスタマー」(架空の映画サービスに好意的な評価を付けたユーザー)に該当する映画視聴者の上位10名を検索します。データは複数のカタログに分散している点に注意してください:
- 主要な顧客データはAutonomous AI Databaseにロード済み
- デモグラフィック・データはDatabricksにあり、
- 映画の視聴時間を測定するユーザーセッションデータは、AWS Glue Data Catalogを用いたIceberg表に保存
同左の様子はクイック・デモでご覧ください: https://www.youtube.com/watch?v=XubFc-QHgsc

カタログ・データに対する自然言語問合せ
この記事では、 SQLを用いてカタログがどのようにデータアクセスを簡素化できるかを示しましたが、SQLの知識が まったくない状態で同じデータにアクセスしたい場合はどうでしょうか? 答えはYesです。接続された任意のカタログのデータ・セットには、Autonomous AI DatabaseのSelect AIの自然言語問合せ機能など、データベースのすべてのSQLアクセス・パスを使用してアクセスできます。必要なカタログ・ソースに対するビューをSelect AIのプロファイルに追加するだけで、自然言語プロンプトからSQL問合せを生成するときにAutonomous AI Databaseでそれらが考慮されるようになります。適切に命名されたビューを追加することで、Select AIがデータ・セマンティクスを理解しやすくなり、自然言語問合せを有効な SQL 問合せへと変換する精度も向上します。
まとめ
このカタログは、Icebergのオープン性とAutonomous AI Databaseの強力な機能を組み合わせたい組織を支援する上で重要な役割を果たします。さらに、これをAutonomous AI Database内の他のデータ・ツールと併用することで、分析ワークフロー全体を簡素化できます。カタログでデータを探索し、必要に応じてロード、準備およびモデリングする、という流れです。
このカタログは、新たな統合やエンタープライズ・メタデータの強化オプションをサポートし、データ探索、AI、アナリティクスにおける生産性を高めるべく、機能強化を継続しています。今後の発表にご注目ください!
はじめに
開始にあたっての詳細は、次のリソースをご覧ください:
- Oracle Autonomous AI Database for freeを試す
- Oracle Autonomous AI Databaseの詳細
- Data Studioの詳細
- Autonomous AI Database Catalogドキュメント
- Live Lab: Data Studio: Autonomous AI Databaseを使用するすべての人のためのセルフサービス・ツール
- Live Lab: Data Engineering: Autonomous AI Database自律型AIデータベース
- Live Lab: Autonomous AI Lakehouseによるデータレイクの構築
