圧倒的なコストパフォーマンスと強固なセキュリティ機能を備えたクラウド基盤と、自律型データベース・サービスであるAutonomous Databaseをはじめとした、先進的なプラットフォーム・サービスを提供するOracle Cloud Infrastructure(OCI)は、2021年も多くのお客様に活用をはじめていただきました。
今回は、2021年にプレス発表させていただいたお客様事例とその傾向をご紹介いたします。ここでは、日本企業の事例をご紹介しますが、2021年はドイツ銀行のような金融機関や各国政府(オーストラリア政府、英国政府)といった、クラウド利用に慎重な姿勢を見せていた業種・業界におけるOCI活用も進みました。
はじめてのOracle Cloud Infrastructure1. 基幹システム移行
最も多かったキーワードは「基幹システム移行」でした。OCIは、”基幹システムのクラウド移行に必要な要件を満たすパブリック・クラウド基盤”として展開をはじめたサービスですので、順当といったところでしょうか。家電量販店大手であるエディオン様は、全国約1,200店舗を支える大規模基幹システムをOCIに全面移行されました。東京および大阪リージョンの2拠点で合計200以上のコンピュート・インスタンス、2つのExadata Cloud Service(ExaCS)で構成し、OCIへの全面移行に合わせて、災害復旧環境も構築し、事業継続性を強化されています。本プロジェクトは、「スピード経営を支えるシステム変革」を推進する一環として、エディオン様主導で行われており、システム構築・運用の内製化促進事例としても参考にしていただけると思います。
2021年の基幹システム移行では、上記エディオン様のように、非常に大規模なシステムのクラウド移行が多かったことも特徴です。パーソルキャリア様は、転職サービス「doda」を支える基幹業務データベースをExadata Cloud@CustomerとExaCSのハイブリッド・クラウド構成へ移行されています。また、ぴあ様は、チケッティング・ビジネスを支える基幹システムのデータベース環境にExaCSを選定いただいています。
そして、サービス提供基盤としてOCIを採用いただく事例も数多くありました。金融機関向けミッション・クリティカルSaaSを提供されている野村総合研究所様では、大手銀行や信託銀行、生損保など110社以上が利用する投資信託窓販向けソリューション「BESTWAY」をOCIで稼働いただいています。他にも、自治体、教育機関、地域企業向けの情報集積プラットフォームである「地域創生クラウド」を提供されているNTT西日本様、大企業向け人事クラウドサービスを提供されているラクラス様、小売業向けクラウド型本部&店舗システム「storeGATE2」を提供されているNECネクサソリューションズ様などのサービス基盤にご採用いただきました。
2. データ活用とAutonomous Database、コンバージド・データベース
次のキーワードは「データ活用とAutonomous Database」です。オンプレミスにおいても、オラクルはデータベースを中心として、お客様のデータ活用を支えてきました。クラウド時代における革新はAutonomous Databaseです。
自律型データベース・サービスであるAutonomous Databaseは、業界唯一の完全なマネージド・データベース・サービスです。バックアップやパッチ適用の自動化にとどまらず、負荷に応じた完全無停止のスケーリング(オートスケーリング機能)や自動チューニングなど高度なデータベース管理も自動化されています。そして、調査会社における各種レポートにおいても高い評価をいただいています。
OCIにおけるデータ活用事例には2つのケースがあります。1つ目は、オンプレミスのデータウェアハウス(DWH)をクラウドへ移行するケースです。オンプレミスDWHには、拡張性や柔軟性、コストの面で課題を抱えられていることが多くあり、そうした課題をクラウドDWHで解決するというケースになります。オフィス家具大手であるオカムラ様は、オンプレミスのアプライアンス製品で構築していた、約1,000名の従業員が利用する大規模なデータ分析基盤をAutonomous Data Warehouseと分析サービスであるOracle Analytics Cloudに移行されました。オンプレミスでは、繁忙期に合わせたサイジングを行っていたため、リソースの余剰が生じてたことが課題でした。クラウド移行により、BIのレスポンスタイムを最大60分の1に短縮しつつ、年額費用を36%削減されています。
もう一つは、新しいデータ活用基盤をクラウドで構築するケースです。完全なマネージド・データベース・サービスであるAutonomous Databaseを利用することで、分析業務や新規サービス・ビジネスに注力してデータ活用を進めることができます。京王百貨店様は、基幹システム刷新に合わせて、全社員が利用する顧客情報および商品情報などの様々なデータをシームレスに取り込める統合情報基盤「Keio Department Store Data Lake」をOCI上に構築されました。
他にも、オムロン阿蘇様は生産情報の迅速な集計および生産ラインの見える化に、小田急電鉄様は小田急沿線の店舗と住民向けローカル・コミュニティ活性化アプリ「KYOUDOKO」の利用ログ解析にOCIをご活用いただいています。
また、Autonomous Databaseはもちろん、Oracle Databaseとしての製品戦略が「コンバージド・データベース」です。あらゆるトランザクションやデータ・タイプをひとつのデータベースで、最適に取り扱うことができるという特徴になります。他のクラウドでは、個別データベース・サービスを組み合わせて実現する必要があるような場合にも、OCIではシンプルなデータ活用基盤を構築することが可能です。
多様なトランザクションという観点では、先にあげたNECネクサソリューションズ様だけでなく、東映様は販売管理システム・データベースとして、通常のトランザクション処理とデータ分析処理、バッチ処理等が混在する一般的な業務システムで、Autonomous Databaseをご活用いただいています。
多様なデータ・タイプという観点では、トヨタマップマスター様は地図制作プラットフォームにOracle Database Cloudを活用いただいています。道路やランドマークの属性を管理する構造化データだけでなく、道路やランドマークの位置を示す空間データ、道路トポロジーを示すグラフデータ、ランドマーク周辺の非構造化データなど、地図制作に必要なすべてのデータをひとつのデータベースで管理されています。

3. MySQL Database ServiceとHeatWave
OCIで利用できるデータベースは、Oracle Databaseだけではありません。MySQL Database Serviceは、高いコストパフォーマンスと使いやすさで、既存のMySQLユーザはもちろん、他社クラウドでMySQLを利用していたユーザがOCIへ移行して利用するケースが増えています。パソナテック様は、コンテンツ管理システムをAmazon RDSから移行し、クラウド利用料を1/4に削減されています。
そして、MySQL Database Serviceを拡張する形で提供されているのが、高性能インメモリ・クエリ・アクセラレータのHeatWaveです。従来、MySQLユーザの多くは、トランザクション用にMySQLを利用し、分析用には別の製品やクラウド・サービスを利用されていました。MySQL Database Service with HeatWaveは、MySQLでの分析処理をETL不要で高速化できる、まったく新しいサービスになります。アフィリエイト・ネットワークサービスを提供されているファンコミュニケーションズ様では、他社クラウドで運用していた広告成果レポーティング用データ分析基盤をHeatWaveへ移行し、10倍の性能向上を実現しています。

4. スマートシティ
日本オラクルでは、自治体や教育機関の皆さまと、スマートシティに関する取り組みを全国で進めています。スマートシティに関連して、静岡県三島市様や北海道大学・北海道富良野市様との取り組みを発表しました。
スマートシティには、便利さや地域活性化に加えて、安全なデータの利活用が重要となります。データ利活用のノウハウと、OCIを始めとしたクラウド・サービスの提供を通じて、全国各地のスマートシティへの取り組みに貢献していきます。
5. スポーツとOracle Cloud
最後はスポーツ関連のグローバルな取り組みです。サッカープレミアリーグの放送でOracle Cloudのロゴが出てきているのを、見たことがある方もいらっしゃるかと思います。今シーズンから、試合中に発生する様々なデータ等から、ゴール確率や勝率をリアルタイム表示するサービスを提供しています。他にも、2021シーズンのF1ドライバーチャンピオンを獲得したRed Bull Racing Hondaや、ヨットレース・リーグであるSailGPのサポートも行っています。
それぞれ、OCIを始めとしたクラウド・サービスと、データ収集・分析・機械学習/AIに関するオラクルの持つテクノロジーを組み合わせることで、新しいスポーツの楽しみ方を提供しています。

今回は、2021年にプレス発表させていただいたお客様事例とその傾向をご紹介させていただきました。今後のクラウド活用検討の参考にしていただければ幸いです。
2021年に発表させていただいたお客様事例はこちらです。
- NTT西日本、「地域創生クラウド」の拡大を支えるデータベース・クラウド基盤にOracle Exadata Cloud@Customerを採用
- ラクラス、ビジネスの世界でのUXを重視した人事クラウド・サービスおよびBPOサービス基盤強化を目的にOracle Cloud Infrastructureへ全面移行
- エディオン、大規模基幹システムをOracle Cloud Infrastructureに全面移行
- オカムラ、データドリブンな業務効率向上に向けデータ分析基盤をOracle Cloud Infrastructureに移行
- オムロン阿蘇、生産情報の迅速な集計および生産ラインの見える化を目的にOracle Cloud Infrastructureを導入
- レイ、基幹システムを含む社内業務システムの標準クラウドとしてOracle Cloud Infrastructureを導入
- 明電システムソリューション、サブスクリプション方式によるVR安全体感教育コンテンツの配信基盤にOracle Cloud Infrastructureを採用
- 小田急電鉄、沿線の地域コミュニティ活性化にOracle Cloud Infrastructureを活用
- 三島市と日本オラクル、スマートシティ実現に向けた取り組みを協働で実施する協定を締結
- Oracle Cloud Infrastructure、トヨタマップマスターの地図制作業務におけるデジタル変革推進に採用
- 北海道大学、富良野市と日本オラクル、スマートシティ推進で連携
- NECネクサソリューションズ、小売業向け販売管理システム提供基盤をOracle Cloud Infrastructure で構築し、性能および信頼性を向上
- 京王百貨店、データドリブンな業務変革に向けた戦略的情報活用基盤に「Oracle Cloud Infrastructure」を導入
- 野村総合研究所、投資信託窓販向けソリューション「BESTWAY」をOracle Cloud Infrastructureで稼働開始し、デジタル・トランスフォーメーションを加速
- ファンコミュニケーションズ、Oracle Cloud InfrastructureのMySQLデータベースで高速なリアルタイム分析基盤を実現
- パーソルキャリア、転職サービス「doda」を支える基幹業務データベースをハイブリッド・クラウド構成へ移行
- 東映、パッケージ製品販売管理システムにOracle Cloud Infrastructureの自律型データベースを導入
- ぴあ、チケッティング・ビジネスを支える基幹システムのデータベース環境にOracle Cloud Infrastructureを選定
- ティ・ジョイ〜東映グループのシネコン、現場主導でデータドリブンマーケティングを実現
- トヨタ、高性能コンピューティング・ワークロードの実行環境にOracle Cloud Infrastructureを導入