※ 本記事は、Ravi Sharmaによる”Transforming Database Resilience with Oracle Global Data Services (GDS) – A Success Story“を翻訳したものです。

2025年5月31日

 


はじめに: シームレスなIT運用に向けたビジョン

今日のデジタル世界において、高可用性はあらゆる組織にとって不可欠ですが、特に公共機関にとっては極めて重要です。市民や政府業務が日々依存する重要なサービスを提供しているからです。イタリアの地方公共行政機関向け主要ITサービスプロバイダーのある組織は、データベースインフラの近代化に向けた取り組みを開始しました。2つの最先端データセンターで340以上のITサービスを管理する同組織は、パッチ適用時のサービス中断を解消し、災害復旧を簡素化し、手動介入の負担なしにシームレスなフェイルオーバーを実現するソリューションを必要としていました。

複数拠点にまたがるデータベース可用性の維持という複雑な課題に直面した同社はOracle Global Data Services(GDS)を採用し、ITエコシステムの基盤となる耐障害性・高可用性アーキテクチャを構築して、データベースのダウンタイムを大幅に削減することに成功しました。

 

課題: 可用性と災害復旧の複雑さの克服

GDS導入前、組織はいくつかの重大な課題に直面していました:

  • プライマリ/スタンバイ管理の複雑さ:パッチ適用、アップグレード、予期せぬ停止時にデータセンター間(イタリアの2都市に所在)でワークロードを移行する際、手動での接続文字列更新とDNS変更が必要となり、ダウンタイムが発生していました。
  • 透過的なフェイルオーバーの欠如:障害発生時、フェイルオーバーが自動化されていなかったため、サービス継続性に影響を与え、ダウンタイムが長期化していました。
  • 運用効率の低さ:57を超えるPDBと395のデータベースサービスを手動で管理していたため、管理上のオーバーヘッドが大幅に発生していました。

公共機関向けのミッションクリティカルなITサービスプロバイダーとして、地理的に分散した環境全体でシームレスなデータベース運用を確保するため、より効率的で自動化されたアプローチが必要でした。

 

解決策: 自動フェイルオーバーとサービス・オーケストレーションのためのGDS

これらの課題に対処するため、組織は地理的に分散した2つのデータセンター全体にOracle Global Data Services(GDS)を導入しました。

Diagram of GDS architecture with two regions, each with two GSMs and two pool databases connected via arrows.

図1: Oracle Global Data Services アーキテクチャ

実装には次のものが含まれます

  • 2つのリージョンに分散配置された6台のグローバルサービスマネージャー(GSM)サーバー(3×2)
  • 14のデータベースで構成される7つのデータベースプール
  • Oracle Active Data Guardによる自動フェイルオーバー
  • サイト間でのシームレスなサービス移行

GDSはワークロードを動的に管理・分散するよう構成され、災害発生時でもデータベースサービスの可用性を維持可能とました。チームはロールベース・ルーティングと自動フェイルオーバーを活用し、個々のデータベースの状態や役割変更に影響する事象が発生しても、ユーザーが常にサービスを利用できることを保証しました。

結果: 可用性、効率性およびディザスタ・リカバリの強化

GDSの実装以降、組織は次のことを達成しました。

  • 最小限のダウンタイム: 自動化されたフェイルオーバーにより、中断を排除し、顧客に対する中断のないサービスの可用性を確保
  • より効率的なデータベース管理: 395のグローバル・サービスを一元的に編成することで、管理ワークロードが大幅に削減
  • 透過的HA/DR: GDSはデータベースの場所を抽象化し、サービス・リダイレクションの手動介入を排除
  • DRサイトのアクティブ使用率: Oracle Active Data Guardでは、スタンバイ(ディザスタ・リカバリ)環境を読取り専用ワークロードおよびビジネス・インテリジェンス・レポートにアクティブに活用

さらに、組織のITチームは、GDSを使用してパッチ適用とメンテナンス・プロセスをさらに合理化し、運用アジリティをさらに強化するための新しい方法を模索しています。

 

今後の展望: 組織におけるGDSの未来

GDSの導入成功を受け、このイタリアのITサービス・プロバイダは、追加のデータベース・サービスをGDS管理グローバル・サービスに移行中です。今後6か月間で、ローカル管理からグローバル管理のデータベースサービスへの完全移行を計画しており、運用の一層の簡素化を図ります。

この公共部門のITプロバイダーにとって、GDSは、高い可用性を確保、運用の複雑さの軽減、シームレスな高可用性とディザスタ・リカバリを実現するという約束を果たしました。ITインフラストラクチャを拡張し続ける中、GDSは、市民に中断のないデジタル・サービスを提供するというミッションの重要な要素であり続けます。

同社のデータベース・サービス責任者は「Oracle GDSはデータベースの管理方法を変革しました」と述べています。

この組織はOracle GDSを導入することで、データベース戦略の刷新と最新化に成功し、デジタル時代における継続的な成長、回復力、効率の基盤を構築しました。