Oracle Cloud Infrastructure (OCI) 上のMySQL HeatWave Service (MHS) は、バックアップからの復元、ポイント・イン・タイム・リカバリ(PITR) の利用、またはオブジェクト・ストレージからのデータインポートなど、新しい DBシステム を作成するための複数の方法がすでに提供されています。しかし、既存の DBシステムから新しい DBシステム を作成する場合、特に別のリージョンに作成する場合は、これまで次のような操作を順番に実行する必要がありました:
- ソース DBシステムのバックアップを作成する。
- 必要に応じて、バックアップを別リージョンにコピーする。
- バックアップを新しい DBシステムで復元する。
新しい DBシステム をディザスタリカバリ(DR) 構成のレプリカとして使用する場合は、ソースとなる DB システム と新しい DBシステムの間にレプリケーション・チャネルも作成する必要があります。
これらの操作は既にMHS で利用できますが、手動でこれらを設定するには時間がかかり、ミスも起きやすくなります。特に迅速なプロビジョニングと運用上のシンプルさが重要な DR 環境においては、その影響が大きくなります。ボタンを1つ押すだけの単一操作でレプリカDBシステムを作成できれば、より便利ではないでしょうか。
この度、MHS では既存の DBシステムからシンプルな操作でレプリカDBシステムを直接作成できるようになりました。この機能により、同一リージョン内またはリージョンをまたいでDBシステムのクローンを作成でき、作成プロセス中にオプションでレプリケーションを自動的に設定することも可能です。
仕組み
この新機能は、既存の DBシステム をソースとして使用できるように、既存のDBシステム作成操作を拡張したものです。実際には、バックアップの作成、リージョン間でのバックアップコピー、バックアップからの DBシステム の復元、またはインバウンド・レプリケーション・チャネルの作成といった既存操作が裏側で使用されていますが、これらは MHS によって自動的に実行されます。
新しく作成された DBシステム は、ソース DBシステム のデータベース・データをクローンします。ただし、ソースのリソースやメタデータをすべて完全にコピーするわけではありません。新しい DBシステム は、異なるコンピュートシェイプ、ネットワーク設定、メンテナンスウィンドウ、バックアップポリシー、その他サポートされている DBシステムのプロパティを含め、個別に構成することができます。この機能では、同一リージョン内だけでなく、同じRealmに属する別リージョン間でも DBシステム のクローン作成をサポートしています。オプションで、新しい DBシステム の作成時にレプリケーション・チャネルを有効にすることで、ソース DBシステム の レプリカDBシステム として直ちに利用を開始できます。このため、この機能は別のリージョンに ウォームスタンバイのDBシステム を必要とする DR (災害対策)構成において特に有用です。
注意事項と制限
この機能により、レプリカDBシステム の作成は大幅に簡素化されますが、留意すべき重要な注意事項と制限事項がいくつかあります。
- ソース となるDBシステム は、アクティブ状態または非アクティブ状態のいずれかである必要があります。
- 新しい DBシステム とソース DBシステム は、同じ コンパートメント内に存在する必要があります。
- 新しい DBシステム のストレージ・サイズは、ソース DBシステム 以上のストレージ・サイズである必要があります。
- ソース DBシステム で クラッシュリカバリを有効にする必要があります。
- 新しい DBシステム の MySQL バージョンは、ソース DBシステム 以上のバージョンである必要があります。
- 新しい DBシステム は、ソース DBシステム と同じ管理者認証情報を使用します。
- “Always free” のDBシステム はサポートされません。
- ソース・リージョンから同時に実行できるバックアップコピーの最大数には上限があり、同じリージョンから実行できるリージョン間のDBシステムクローン数もこの上限によって制限されます。
- これはサービス制限 “MySQLリージョン間バックアップの最大パラレル・コピー数” によって定義されます。詳細は 別のリージョンへのバックアップのコピー を参照してください。
ソース DBシステム とのレプリケーション・チャネルも作成する場合にのみ適用される考慮事項と制限もあります。
- ソース DBシステム は アクティブ状態である必要があります。レプリケーション・チャネルを作成する場合、非アクティブ状態は許可されません。
- ソース DBシステム は、新しい DBシステムと同一リージョンにあるか、異なるリージョンにあるかに応じて、
binlog_expire_logs_seconds変数を最小値以上に設定する必要があります。- 同一リージョン: 259200 (72 hours)
- 異なるリージョン: 345600 (96 hours)
- インバウンド・レプリケーション・チャネルが正しく機能するためには、ソース DBシステム と新しい DBシステム 間で VCN接続が確保されている必要があります。VCN 間の接続設定方法の詳細は、VCNピアリング を参照してください。
レプリカDBシステム の作成
レプリカDBシステム を作成するには、OCIコンソール にアクセスし、目的のソース DBシステム に移動して、次の手順を実行します。
- ソース DBシステム の詳細ページで、[アクション]メニューに移動します。
- [DBシステムのクローン]を選択してクリックします。

表示されたDBシステム情報のページで、以下を設定します:
- [ターゲット・リージョンの選択]ドロップダウンリストから、新しい DBシステムのリージョンを選択します。

- [レプリケーション・チャネル] セクションで、[レプリケーションの有効化]トグルを使用して、ソース DBシステム とのレプリケーションを有効にするかどうかを選択します。

レプリケーションを有効にする場合は、[レプリケーション・チャネルの構成]ボタンをクリックします。
- [レプリケーション・チャネル構成] ページで以下の設定を行います。
- チャネルで使用するレプリケーション・ユーザーの ユーザー名 を入力します。
- チャネルで使用するレプリケーション・ユーザーの パスワード を入力します。
- SSLモード を選択します。
- 必要に応じて、新しい DBシステム で使用するレプリケーション・アプライヤ・ユーザーの Applier username を入力します。
注意: デフォルト設定は、残りのすべてのインバウンド・レプリケーションチャネルの設定に反映されます。異なる設定を使用するには、新しい DB システムの作成後にチャネルを更新するか、レプリケーションを有効にせずに、新しい DB システムの作成完了後にインバウンド・レプリケーションチャネルを作成してください。 - [更新] ボタンをクリックします。

- 新しい DBシステム の残りのプロパティと構成を設定します。
- [拡張オプション] では、デフォルトでは新しくクローンされる DBシステム の [データベース・モード] は “読取り専用”、[アクセス・モード] は “管理者のみ” に設定されます。これはレプリカとして使用する DBシステム に推奨される設定です。必要に応じて変更するには、[管理]サブセクションで変更します。
- [クローン]ボタンをクリックして、新しい DBシステム を作成します。
まとめ
MySQL HeatWave Service で レプリカDBシステム を作成する新機能により、OCIにおいて最も一般的な運用プロセスおよび 災害対策プロセスのが簡素化されます。バックアップ、リージョン間バックアップ・コピー、リストア、レプリケーション・チャネルの作成を手動で構築する代わりに、ひとつの操作でレプリカDBシステム をプロビジョニングできるようになりました。この機能は、運用上の複雑さを軽減し、基盤となる手順を自動化することで、災害復旧や既存の DB システムのクローンを必要とするその他のユースケースにおけるリージョン間データベース プロビジョニングを簡素化します。災害復旧戦略の構築、隔離されたテスト環境の準備、運用ニーズに応じたレプリカのプロビジョニングなど、どのような場合でも、この新機能はより高速でシンプル、かつ安全に実行できます。
今すぐ DBシステム のクローンを作成する新機能を試して、MHS で レプリカDBシステム をより効率的にプロビジョニングする方法をご活用ください。
MySQL HeatWave Service を試し、その機能を確認するには、oracle.com/heatwave/free をご覧ください。
MySQL HeatWave Service の詳細は、oracle.com/mysql をご覧ください。

