(本記事はDavid ShufordによるDoes a maturing market mean a move to configurable RTSM delivery?” 2023/7/7 を翻訳したものです。)

 

過去20年間、RTSMRandomization and Trial Supply Management: 無作為化及び治験薬供給管理)のベンダーは高度にカスタマイズされたツールを提供することに注力してきました。RTSM製品を選択するのに、これまでスポンサーには、ポイントソリューションプロバイダー、RTSMサービスを提供するCRORTSMを提供する配送ベンダーの3つの選択肢がありました。さらに最近では、eClinicalソリューションベンダーもEDCElectronic Data Capture)やCTMSClinical Trial Management System:治験管理システム)とともにRTSM機能を提供するようになりました。

 

市場が成熟するにつれ、RTSMはよりコンフィギュラブルなツールへと移行するようになってきました。スポンサーにとっては、コンフィギュラブルなツールにより高い品質でよりスムーズに試験を進めることが出来るという恩恵を受けることができるようになりました。また、ベンダーにとっては、カスタマイズを減らすことで規模を拡大し、よりよい利益率を得ることが出来るというメリットもあります。ただし、コンフィギュラブルなRTSMツールを開発するためには多額の投資が必要になります。

カスタマイズされたツールからコンフィギュラブルなRTSMに移行するとどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

コンフィギュラブルなRTSMへの移行

高度にカスタマイズされたRTSMツールからコンフィギュラブルなRTSMツールへの移行をプロジェクト管理の三角形である「時間、品質、コスト」を用いて評価します。

 

  • 時間

First-Patient-InFPI)が試験チームにとって重要な日付であることからRTSMの構築にかかる時間は非常に重要です。FPIまでの数週間から数ヶ月は、試験チームにとって多忙な時期であり、試験の成功に不可欠です。コンフィギュラブルなツールを使うことでRTSMの構築をクリティカルパスから外し、スポンサーの負担を軽減することが可能になります。また、FPI前にプロトコールの修正が行われることも多いため、コンフィギュラブルなツールを使用することで柔軟な対応が可能となり、タイムラインへの影響も最小限に抑えることができます。さらに、スポンサーのリソースにかかる時間も短縮されます。300ページ以上の仕様書をレビューする必要があるのでしょうか?個別の試験の受け入れテスト(UAT: User Acceptance Test) にどれだけの時間を割くべきでしょうか?コンフィギュレーション可能なツールであれば、QAチームがツールを導入した時点で受け入れテストを行っておけば、個別の試験でのテストについてはリスクベースのアプローチでUATを進めることができるのではないでしょうか?最初のスタディ構築も重要ですが、途中での修正も同様に重要です。コンフィギュレーション可能なツールを使用することで、プロトコルの修正に迅速に対応できるだけでなく、品質も確保できます。たとえば、試験中にコホートが削除された場合、どのような設定変更が必要で、それがバリデーション、リグレッションテスト、およびUATに影響するかを正確に知ることは、関係者全員にとってはるかに良いことです。

 

  • 品質

RTSMの領域では、薬剤が適切に調剤されなければ患者の安全が損なわれるため、品質が第一です。コンフィギュラブルなツールは品質にどのような影響を与えるのでしょうか?重要なのは、第一に、スタディ構築のためにプログラミングを一切行わないというコンセプトです。ツールが想定通りの動きをしない場合でも、設定を変更することで簡単に対応することができます。第二に、可視性です。ブラックボックス化したシステムではユーザはどんなカスタマイズが行われたかを知ることはできません。コンフィギュレーションが可能なツールであれば、何が変更されたかを正確に知ることができます。例えば、スタディ途中でのデザイン修正では、スタディデザインレポートやスタディバージョンデルタレポートを通じて、コンフィギュラブルなシステムで何が変更されたかを正確に知ることができます。最後に、コンフィギュアブルなツールは、アジャイル開発を可能にし、ユーザに提供されるものをよりよく理解させることを可能にし、設計自体がより速くなるため、UATに多くの時間を割くことができます。

 

  • コスト

カスタマイズからコンフィギュレーションへの移行は、コストの観点からみても意味があります。カスタマイズされたソフトウェアは、RTSM 試験を提供するためにベンダーが必要とする人員(プロジェクトマネージャー、開発者、テスターなど)が単純に高くなるため、試験あたりのコストが高くなります。コンフィギュラブルなRTSMでは、スタディ構築担当者やバリデーションチームが新しいプログラムを導入することによるバグの心配がないため、試験ごとの期間が短縮されます。当然の質問ですが、コンフィギュラブルな RTSM ツールで全ての複雑なスタディデザインをすべてサポートできるのでしょうか? 答えはYesです。よく考えてコンフィギュラブルなRTSMプラットフォームを設計し必要な投資を行った結果、それが可能になりました。

 

Takeaway

RTSMシステムから最新のコンフィギュラブル・アーキテクチャー、プラットフォームへの移行は確実に進んでいます。重要なことは、コンフィギュレーションが可能なツールは最終的にリスクの軽減を意味するということです。カスタマイズの主な議論点は、通常、スポンサーのあらゆる要件をサポートできるカスタマイズされたツールの利便性です。コンフィギュラブルなRTSMツールは急速に機能を追加しており、最も複雑な試験デザインでさえも柔軟に対応することができるようになりました。RTSMの市場が成熟するにつれ、価格競争が激化し利益率が縮小する中、多くのベンダーが生き残りに苦戦することになるでしょう。コンフィギュラブルでスケーラブルなテクノロジーを持つベンダーが勝ち残り、サービスに依存するベンダーは苦戦を強いられることになるでしょう。臨床試験プラットフォーム内で従来のRTSM機能を提供するベンダーは、高価でタイムリーな統合プロジェクトを必要とすることなく、ユーザにさらなるシナジーを提供することができるという利点があります。

Clinical One Randomization and Supplies Managementの詳細をご覧ください。

 

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