株式会社第一コンピュータリソース 西尾孝之氏への紙上インタビュー、第二弾をお届けします。西尾氏はORACLE MASTER Platinum DBA 2019に一番乗りで合格され、Oracle Cloud Infrastructure Architect Professional 2022をはじめとして多くの資格を取得されています。

学生時代にOracleに出会ってから22年、Oracle一筋で業務に携わる。
取得資格
ORACLE MASTER Platinum DBA 2019 (一番乗り合格)
Oracle Cloud Infrastructure Architect Professional 2022
Oracle Cloud Infrastructure上のOracle Databaseを使用するに当たり、取得したORACLE MASTERの知識は役に立っていますか。
はい。役に立っています。Cloud環境であってもデータベースの基礎となる考え方や動き(アーキテクチャ)は変わりません。基礎を抑えておくことで、Cloudの便利な機能を、より活用できるようになると思います。
例えば、Cloud環境で作成するDB構成を考える時のことをイメージしてみてください。RACで冗長化するかDataGuard で災対環境を作るか、など構成を考える場合です。Cloud環境では構築作業は大幅に簡略化されますが、どういう構成を作るのが良いかは、DBAが業務要件をもとに考える必要があります。そこにはデータベースの基礎となる ORACLE MASTER の知識は必ず必要になります。
また、バックアップやメモリ管理、表領域といったデータベースの基礎となる部分です。Cloud環境である程度自動化される部分はありますが、どういう仕組みのバックアップにするか、どれくらいメモリを用意するか、データの特性を考えて表領域をどのように分けるかは、DBAが考えなければなりません。データ移行もDBAが行う必要がありますね。
Cloud環境では様々なサービスで設定の簡略化がされていたり、機能を簡単に使用できたりしますが、どう使うか考えるのはDBAの役割です。
AI Vector SearchをはじめとしてOracle Database 製品にもAI機能が登場してきています。AI機能をより活用するために、DBAにとってどのようなスキルが今後重要になると思いますか。
AIもBIも機械学習もデータが必要です。すべてはデータが基本となります。しかしゴミから生まれるものはゴミでしかありません。どのようなデータをどのように保存していくか、原石となりそうなデータを見極めていく力も必要になってくると思います。ORACLE MASTERで学べるデータベースの管理に加え、そのデータベースをどのように使っていくかがポイントと思います。
Oracle Database 23aiの新機能で、特に注目している機能は何ですか。
やはりまずは23aiと名にあるとおりの推し機能として『Oracle AI Vector Search』です。ベクトルデータ専用のデータベースではなく、リレーショナル・データベースにベクトルデータを保存できるという部分が魅力的で可能性を感じます。SQLでベクトルデータを検索できるということは、ORACLE MASTERを学ばれている方にも扱いやすいのではないでしょうか。
他にもORACLE MASTER Silver SQLに関連してきそうな機能もいくつかあります。
ちょっとした機能ですがスキーマレベル権限は便利だと思います。今までテーブルごとにSELECT権限を付与してテーブルが増えるごとにメンテナンスしていたものが楽になりそうです。
https://blogs.oracle.com/database/post/schemalevel-privilege-grants-with-database-23c
西尾様のスキル習得のための学習環境を教えてください。(VMを作成しているなど)
主にOracle Virtual Boxなどの仮想環境を利用しています。Oracle Virtual Boxは、ノートPC上に簡単に仮想環境を作成できるので非常に便利です。RACも、Data Guardも作れるため、ORACLE MASTERとしての学習用途には十分です。
このブログの読者には、若手の方もおられるかと思います。西尾様が新人だったころや2~3年目で苦労されたことや、その頃特に力を入れていたことなどありましたら教えてください。
Oracle Databaseを扱い始めて早い段階でORACLE MASTER Goldの資格を取得したのですが、いざ実機で操作すると正しく作業ができないことが多々あり苦労しました。その時感じたのは、知っているだけではダメだなということです。例えば勉強でエクスポート/インポートの仕方は分かっていましたが、実際に操作してみるとコマンドのオプションの1つが実際の環境にあっておらず正しくできないことがありました。そう気づいてからは、勉強するときは必ず実機操作を行うようにしています。何度もエラーを出して間違えることで、実力がついてくるようになったと感じました。
西尾様の今後の目標や、これから学びたいと思っていることを教えてください。
ラリー・エリソンと握手したい! というのは置いておいて、若手技術者の育成にも力を入れていきたいと思っています。自社に限らずOracleの魅力を伝えていきたいですね。私のOracle ACE活動はそのうちの1つかなと思います。
そこでOracle Universityには、Oracle Database 23ai対応の認定資格のリリースを期待しています。資格に限らず技術者が学びたくなるような環境をぜひ作り上げていって欲しいと思います。コミュニティなど、一段階ランクアップして欲しいと思います。何か一緒にできることがあれば是非一緒にやらせてください。
Oracle Database 23ai 対応のPlatinum実技試験がリリースされたら、一番乗り2冠を目指したいですね。
西尾様、大変興味深いコメントを有難うございました。Oracle Universityは、デジタル・ラーニングと認定資格を通して、エンジニアの皆様のスキル習得をお手伝いしていきます。
参考リンク
西尾孝之氏 インタビュー第一弾 Select AIでSQL研修の演習問題は解けたのか? 「Select AIでSQL研修の演習問題に挑む」発表者にインタビュー
西尾孝之氏 コラム Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とは?OCIの移行事例を紹介
