(本記事は、William Landerによる“Oracle and Cerner – what does this mean for clinical research?” 2023/4/25 を翻訳したものです。)

業界関係者が現場で疑問に思ったことを取り上げるブログシリーズ

Oracle Health and AIは、Cerner Corporationの買収によって生まれた統一されたグローバルデータによって、人間中心のヘルスケア体験を実現するというミッションを持つ新しい戦略的な組織です。

 

 

Cernerは、事業の中核として、ヘルスケアプロバイダー(病院、診療所など)に対するITソリューションの提供に注力しています。これらのアプリケーションには、スタッフ管理、在庫管理、患者のスケジューリングと請求、電子カルテなどが含まれます(ただし、これらに限定されません)。さらに、Cerner2021年にKantar Healthを買収し(その後、Cerner Envizaに改名)、世界最大かつ最も豊富なReal-World Evidenceデータの集合体の1つを所有することになりました。

 

オラクルは、25年以上にわたってライフサイエンス研究に重点を置き、オラクルのテクノロジーの上に業界固有のアプリケーションを構築してきました。例えば、Clinical OneOracle Cloud InfrastructureOCIの上に構築され、Oracle AnalyticsOACを活用しています。その結果、データ収集(EDCから無作為化、治験薬供給管理(RTSMに至るまでの業界固有のアプリケーションが、高性能なビジネスインテリジェンスを組み込んだ独自のクラウドインフラ上に構築されました。

 

Cernerの買収は、ライフサイエンス業界にどのような影響を与えるのでしょうか?
これは、患者のために融合した世界を創造することを目標に診療と臨床研究という観点でオラクルが非常に重視している問題です。ここでは、短・中期的に大きな可能性があると思われる分野をいくつか紹介します:

 

  • 直接データ収集 (Direct Data Capture):臨床研究専用のデータ収集の概念を減らす(なくす可能性もある)。この場合、Clinical OneEHRが機能面で融合し、その結果、現場で一度収集したデータを研究目的で利用できるようになります。その結果、紙を使わず、データの確認も不要になります。このアプローチがCernerのソリューションを利用している施設に限定されないことを確実にするため、私たちはFHIR標準を活用して他の電子カルテソリューションで収集したデータを含めることにも積極的に投資しています。

 

  • デザインによるより良い試験:RWDの深いデータソースにアクセスし、それらをAIや機械学習と組み合わせます。これまでは臨床試験の実現可能性は推測に過ぎなかったものが高い確率で予測できるようになります。例えば、試験の選択/除外基準のシミュレーションを実行することで、投資を最大化するための試験の運用方法を示唆する結果が得られることになります。

 

  • 患者へのアクセス:膨大な量の匿名化されたデータにアクセスし、被験者募集のためにどこの治験実施施設をターゲットにするかを提案できるようになります。さらに、患者のカルテにある情報をもとに、候補となりそうな臨床試験を通知することもできます。

 

このような可能性は、数え切れないほどありその可能性は計り知れません。オラクルは、診療と臨床研究の間のサイロを取り払い、患者をエコシステムの中心に据えることに尽力しています。私たちはオラクルのテクノロジーとCernerの専門知識を組み合わせ、この非常に野心的で価値のある目標に取り組み、真の患者中心を実現させます。患者は診療と臨床研究のどちらか一方を選択するのではなく、全ての選択肢が選択可能であるべきです。

 

 

今後もオラクルとCernerの取り組みについてご紹介していきます。