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An Oracle blog about WebLogic Channel

NECの業務システム構築基盤「SystemDirector Enterprise V8.0」がWebLogic Server 12cをサポート。それによるメリットは?

Guest Author
複雑化が進む企業システムの開発を、高い品質を保ちながら効率化すべく、長年培ったノウハウを凝集してNECが提供する業務システム構築基盤が「SystemDirector Enterprise(SDE)」だ。そのJava EE対応版であるSDE for Javaは、実行基盤となるアプリケーション・サーバの1つにWebLogic Serverを採用しているが、2013年4月にリリースされた新版「SDE V8.0」で最新のWebLogic Server 12cをサポートし、Java EE 6への対応を果たした。新版の特徴、WebLogic Server 12cをサポートしたことのメリットについて、同社ソフトウェア生産革新部 マネージャーの橋本良太氏、同主任の小泉健氏に聞いた。(編集部)

業務システムの開発/保守で企業が抱える課題を解決すべく登場したシステム構築基盤


 システム開発に使われるテクノロジーが日進月歩で進化し、またシステム開発の複雑化や短期化が進む中、多くの企業は現在、次のような課題に直面している。


  • テクノロジーの発展が早く、それをキャッチアップして適宜、使いこなしていくのが大きな負担となってきた
  • システムを保守/運用する中で、担当者が異動/退職した、SIerが変わったなどの事情から、現状を正確に反映した設計書が存在せず、システムの全体像を把握できなくなってしまった
  • 複数のSIerにシステム構築/保守を委託してきた結果、各社が提供するさまざまなフレームワークが混在した状態となり、システムの維持/運用にかかるコストが肥大化してしまった


 さまざまなシステム構築/運用案件を手掛けてきたNECも、これらの課題に悩む企業の姿を度々目にしてきた。

NEC ソフトウェア生産革新部 マネージャーの橋本良太氏

 「そこで、NECがこれまでに培ってきた知見やノウハウを凝集し、品質の高いシステムを効率的に開発でき、変更への対応が容易で保守しやすいシステムの構築基盤を提供することで、そうしたお客様をご支援しようとの思いから生まれたのがSDEなのです」(橋本氏)


 SDEの特徴は、「周辺技術や基盤部分の作り込みをSDE側でカバーし、個々のプロジェクトの設計者や開発者がビジネス・ロジックなどの開発に専念できるようにすることで、高いシステム品質と開発生産性を両立させている点」(橋本氏)である。これにより、システム開発の短期化が進む中でも、引き続き品質の高い高機能なシステムを継続的に作り続けていくことが可能になる。そのための道具立てとして、SDEには次に説明する3つの要素が用意されている。

(1)開発方法論


 システム構築にかかわる業務設計担当者や実装設計担当者、プラットフォーム構築担当者、標準化担当者、データベース設計者などが、それぞれどのような役割を担い、システム開発のどのフェーズで、どういった作業を行い、どのような成果物を作るのかを規定したもの。


 「設計書などの成果物のサンプルも用意されており、この開発方法論に従って作業を進めれば、自ずと品質の高いシステムを効率的に作れるよう工夫を凝らしています」(橋本氏)

(2)開発環境


 上記の開発方法論に従ったシステム開発の工程を効率化/自動化するためのツール群。ビジネス・モデリング・ツール、Excelベースの機能設計ツール、Eclipseベースの統合開発環境(Java EEに対応したSDE for Javaの場合)、テスト・ツールなどから成る。機能設計ツールなどには、定義内容に従ってプログラムを自動生成するジェネレータ機能が備わる。


 「これらのツールを使用し、上流工程ではビジネス・モ���リング・ツールや機能設計ツールなどで業務フロー定義や機能設計、画面設計などを実施。それらの設計情報を基に、下位工程では統合開発環境やテスト・ツールを使用してコーディング/テストの作業を行うといった流れで開発を進めます。設計情報に基づいてジェネレータでコードを自動生成するなど、ツールによる自動化/効率化の仕組みを最大限に取り入れています」(橋本氏)

(3)サポート・サービス


 個別のプロジェクトへの上記開発方法論や開発環境の適用、およびプロジェクトの運用を支援するサポート・サービス。


 これらの構成要素から成るSDEは、Java EEに対応したSDE for Javaに加えて、.NETに対応した「SDE for .NET」、両者を組み合わせた「SDE Suite Pack」という3つの製品を提供してきた。そのSDEのメジャーバージョンアップとなるSDE V8.0では、4つ目の製品としてスマート・デバイス向けアプリケーションの開発を支援する「SDE for Smart Device」が追加された。


 さらに、WebLogic Channel読者にとって見逃せないポイントは、SDE for JavaがWebLogic Server 12cをサポートしたことだ。これにより、どのようなメリットが得られるのかを以下に見ていこう。

WebLogic Server 12cのサポートで、標準フレームワークによる開発が可能に


 SDE for Java V8.0の目玉は、上述したように最新プラットフォームへの対応の一環として、Java SE <7、Java EE 6に準拠したWebLogic Server 12cをサポートしたこと、ジェネレータを中心とする開発環境の基盤がEclipse 4.2になったことなどだ。


 SDE for Java でWebLogic Server 12cをサポートしたことのメリットを、小泉氏は次のように説明する。

NECソフトウェア生産革新部 主任の小泉健氏

 「これまでも、SDE for JavaではNECが独自にオープンソースのフレームワークなどを組み合わせて用意した環境を使ってJSFアプリケーションなどを開発することが可能でしたが、新版では、WebLogic Server 12cをサポートしたことにより、アプリケーション・サーバ側に用意された標準フレームワークを利用して、JSF2やJPA2を使ったアプリケーションを開発することが可能になりました


 これにより、お客様にとっては、Java EE 6という最新の業界標準フレームワーク上で、安定してシステムの開発/保守が行えるようになるというメリットがあります」


 WebLogic Server 12cのサポートは、NECのようなシステム基盤の提供側にも恩恵をもたらす。


 「従来は私たちがオープンソースなどを組み合わせて行っていたフレームワークの整備をWebLogic Serverに任せられるようになるため、SDE自体を開発/保守する際の負担が大きく減ります。各オープンソース・フレームワークが同じライブラリの異なるバージョンを使っているために生じる互換性の問題や、ライブラリ間の依存関係の解決、個々のオープンソース・フレームワークのバージョンアップへの追随といった問題に悩まされることがなくなるからです。それに、標準フレームワークであれば、開発者の調達や教育も容易になります」(小泉氏)


 なお、NECは昨今ニーズが高まるSaaSアプリケーションの実行基盤としてもSDE for Javaの機能強化を図ってきた。そこで肝となるマルチテナント対応においても、Java EE 6のサポートが大きなメリットをもたらす。


 具体的には、これまでテナントごとに内容が異なる画面やメッセージを表示するためにNECが独自に用意したJSF環境を利用していたが、SDE for Java V8.0から、その表示切り替えをJSF2によってシングル・インスタンスで行えるようになった。これにより、リソースの使用効率が大幅に向上する。この仕組みは、NECが提供するSaaSアプリケーションなどでも活用されているという。


 また、SDE for Javaには、NEC独自のフレームワークを一切使わず、標準のJava EEテクノロジーだけでシステムを構築できる「Express Edition」も用意されている。同エディションは、ソース・コード納品が求められる案件や、ベンダー固有技術の使用を厳格に禁じた案件での利用を想定したものだ。SDE V8.0がJava EE 6に対応したことにより、このExpress Editionを使った開発でもシステムごとに作り込む部分が大幅に減り、開発効率が高まっている。


 加えて、新たに追加されたSDE for Smart Deviceによるスマートフォンやタブレット、スレートPC向けのアプリケーション開発(OSはAndroid、iOS、Windowsをサポート)でも、今後はSDE for JavaのJava EE 6対応が効果を発揮すると見られる。


 SDE for Smart Deviceでは、Ajaxアプリケーションなどにおけるクライアント/サーバ間の通信にJSONを利用する。現状、Java EEで構築されたシステムについては、プレゼンテーション層の制御にStrutsやJSFを使用しているが、小泉氏は「今後はJava EE 6で追加されたJAX-RSをクライアント/サーバ間の通信に利用していきたい」と展望を語る。


 このように、NECはJava EE 6など最新の標準テクノロジーの利点を生かしながら、SDEの拡張を精力的に進めている。


 「WebLogic Server 12cのサポートによって得た余力は、私たちが本来、注力したい開発方法論の拡充やジェネレータの整備、新たに追加したSDE for Smart Deviceの機能拡充などに振り向けることで、お客様に対して、より付加価値の高いシステム基盤を提供していけると期待しています」(小泉氏)


 WebLogic Chanelでは、Java EEテクノロジーの発展に伴って進化し続けるSDEの動向に、今後も注目していきたい。

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