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JavaFXなら、Raspberry Piの上でもグラフィカルなアプリケーションが動かせる!──Java Day Tokyo 2013レポート

Guest Author
ARMプロセッサを搭載し、Linuxで動作する“手のひらサイズ”のシングルボード・コンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」。今、密かに人気を集めるこのRaspberry Piの上でも、実はJavaFXアプリケーションを動かすことができる。日本オラクルが2013年5月に開催した「Java Day Tokyo 2013」において、米国オラクル・コーポレーション Javaテクノロジー・アンバサダーのステファン・チン氏らが、Raspberry Pi上によって広がるJavaFXの可能性をデモを交えて紹介した。(編集部)

幅広い産業分野で浸透が進む組み込みJava


 Javaテクノロジーのアンバサダー(親善大使)として、またユーザー・インタフェース(UI)技術のスペシャリストとして、JavaOneをはじめ世界各国のJava関連イベントでJavaFXの普及拡大に向けた啓蒙活動を行うチン氏。Java Day Tokyo 2013では、立ち見が出るほどの盛況を博したセッション会場おいて、JavaFXで開発した既存のアプリケーションをRaspberry Pi上で動かすデモンストレーションを披露した。

米国オラクル・コーポレーション Javaテクノロジー・アンバサダーのステファン・チン氏

 講演の冒頭、チン氏は「現在、組み込みデバイスから情報家電、IT機器、さらに基幹システムまで、1つのテクノロジーでプログラムを実装することのできるJavaは、すでに30億を超えるデバイス上で稼働している」とJavaのカバー範囲の広さと普及度合いを強調。Javaが搭載されているデバイスについて次のように説明した。


 「RFIDリーダーやパーキング・メーター、インテリジェント・パワー・モジュール、スマート・メーターなどの小さなデバイスから、ルータ/スイッチ、ストレージ・アプライアンス、ネットワーク管理、FA制御、セキュリティ・システムなどの中規模デバイス、そしてデジタル複合機(MFP)や現金自動受払機(ATM)、POSシステム、航空機内のエンターテインメント・システム、電子投票システム、医療画像システムなどの大規模システムまで、Javaは非常に幅広い分野で利用されている」

 また、組み込み用途のJavaプラットフォームとしては現在、「Java ME Embedded」と「Java SE Embedded」が利用されているが、チン氏はJava ME Embedded 3.2を採用した最新のM2M(Machine to Machine)通信モジュールである「Cinterion EHS5」についても言及した。Cinterion EHS5は、幅広い産業用アプリケーションに安全な無線接続機能を提供する超小型の高速M2M通信モジュールだ。27.6ミリ×18.8ミリという小さなサイズでありながらJVM(Java仮想マシン)を搭載。既存の開発リソースを利用してM2Mアプリケーションの設計から開発、実行までを行い、開発期間を短縮できる点を特徴とする。


 チン氏は、Cinterion EHS5の実物を持参しており、来場者1人ひとりに回して見せながら、「最後の人まで回ったら、最後は私のところに帰ってくると信じている」(チン氏)と会場の笑いを誘った。

Java SE/JavaFXを実行可能なパワフルな性能を備えたRaspberry Pi


 さて、本題のRaspberry Piである。Raspberry Piは、英国のラズベリーパイ財団が開発したシングルボード・コンピュータだ。現在は25ドルの「Model A」と35ドルの「Model B」の2種類のバージョンが提供されている。


 85.60ミリ×53.96ミリのボード上に、700MHzのARM11プロセッサと256MB(Model A)、または512MB(Model B)のメモリを搭載。OSとしてLinuxを採用し、USB 2.0、映像出力、音声出力、ネットワーク(Model Bのみ)などのポートを実装している。HDDは搭載していないが、SDメモリ・カードをストレージとして利用できる。また、ディスプレイ用のコネクタとカメラ用のコネクタも用意されている。


 「Raspberry Piを利用するのに必要なのは、わずか3つのステップだ」とチン氏。まずステップ1では、Raspberry PiにLinuxをインストールする。次にステップ2では、Java 8 for ARM EAをダウンロードし、Raspberry Piにコピーする。最後にステップ3では、JavaFXで書いたアプリケーションをRaspberry Piにデプロイして実行する。この3つのステップは、講師であるチン氏のブログ「Steve On Java」の記事を翻訳した「Raspberry Pi で JavaFX - かんたん3ステップ」で詳しく紹介されている。


 Raspberry Piにアプリケーションを実装するためには、まずJavaFXを入手する必要がある。JavaFXは、Java SE 7から標準で搭載されており、Windows環境、Mac環境、Linux環境で利用可能だ。また、統合開発環境(IDE)としてNetBeansやEclipse、IntelliJ IDEA、Oracle JDeveloperなどを使うことができる。使い慣れたIDEとJavaFX Scene Builderを連携させることにより、ビジュアルな環境でアプリケーションを容易に、なおかつ短期間で開発することが可能なのだ。


 デモンストレーションは、米国オラクル・コーポレーションのJavaエバンジェリストであるアンジェラ・カイセド氏が担当。カイセド氏は、「Raspberry Piにタッチ・ディスプレイや9軸センサー・デバイスなどを接続してJavaFXで作ったアプリケーションをデプロイすることにより、タッチ・ディスプレイを傾けたり、回転させたりしながらキャラクターの居場所を変えたり、タッチ・パネルを指で操作してアイテムを使ったりする宝探しゲームのようなアプリケーションを容易かつ短時間で実現することができる」と話し、実際にそのアプリケーションをRaspberry Pi上で動かして見せた。

JavaFXのデモを披露するカイセド氏(写真中央)



 なお、紹介されたデモ環境では、Raspberry PiとJavaを連携させるためのライブラリを提供するプロジェクト「Pi4J」をベースに、GPIO(General Purpose Input/Output)とI2C(Inter-Integrated Circuit)に準拠したタッチ・ディスプレイ「Chalkboard Electronics Touchscreen」や9軸(ジャイロ、加速度、コンパス)センサー・デバイス「MPU-9150」などをRaspberry Piに接続し、JavaFXで開発したアプリケーションをデプロイしている。

参加者からの質問に答えるチン氏とカイセド氏

 最後にチン氏は、「JavaFXは、リッチでグラフィカルなインタフェースにより、高速にアプリケーションを開発することができる。また、JavaFX Scene Builderを利用することで、アプリケーションをビジュアルかつ容易に開発することも可能だ。さらに、GPIOとI2Cを使用することで、さまざまなハードウェアを容易に統合することもできる。ぜひ今日からRaspberry Piを使ってJavaFXによるアプリケーション開発を楽しんでほしい」と語り、講演を締めくくった。

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