国内企業調査レポート「営業DXの実態」 Vol. 2:SFA/CRMは業務プロセス効率化や勝率向上に貢献していますか

August 1, 2023 | 2 minute read
Ayuchi Takamatsu
Senior Manager, Business Development, Strategy & Planning
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日本オラクルでは、2023年4月に、国内企業を対象として、営業活動全般の課題や営業支援/顧客管理システム(以下、SFA/CRM)の導入・利用状況に関するアンケート調査を行いました。本ブログシリーズでは、数回にわたって、いくつか注目の結果をピックアップしてご紹介いたします。

第1回は、国内企業のビジネスを取り巻く環境の変化に対する懸念事項や、営業活動の課題に焦点を当てました。第2回となる今回は、営業部門の方が、SFA/CRMをどのように利用しているかについて掘り下げてみます。


<調査概要>

  • 調査テーマ: 国内企業における、営業活動の課題、およびSFA/CRMの利用・導入実態を明らかにする
  • 調査対象: 国内企業の営業部門、もしくは経営・経営企画部門にご所属の正社員
    • 年間売上100億円以上の企業
    • 営業支援/顧客管理システムの導入・運用、利用に関与している方
    • 営業部門については、ご自身が法人担当(B2B)であること
  • 調査時期:2023年4月20日~4月26日
  • 回答者: 合計 n=1,400(営業部門 n= 1,200、経営企画部門 n=200)

営業部門でのSFA/CRMの活用は、顧客や案件の「記録」と「管理」にとどまり、データ利活用に及んでいない

今回のサーベイ回答者のうち、営業部門に所属されている1,200人に対して、「SFA/CRM(営業支援/顧客管理システム)の主な利用用途」をお聞きしました。

最も多くの回答を集めたのは、「顧客管理」(回答率70%)で、「案件管理」と「営業活動の可視化」が同率で続きます(同62%)。顧客や案件、活動の記録・管理を目的としてのSFA/CRM利用は進んでいることが分かります(下図参照)。

利用用途

 

一方、5位以下の回答は、「分析や定型レポートなど営業指標の把握(回答率24%)」、「データに基づいた効果的な営業戦略の立案(同22%)」、「売上予測(同18%)」と、上位4項目に比べて大幅に回答率が低くなっています。また、情報共有については、過半数が顧客情報の共有で利用する一方で、営業ノウハウ共有で利用するケースは非常に少ないことが分かりました。SFA/CRMは案件や顧客情報の記録や管理・共有目的で利用されている一方で、営業力強化や売上向上に導くツールには十分になりえていないケースが多いようです。

 

営業部門の回答者の4割が、SFA/CRMは業務プロセス効率化や勝率向上に効果を感じていない

同じく営業部門1,200人に、その導入効果についてお聞きしした質問の結果を2つご紹介します。1つ目は、「SFA/CRMは営業プロセスが効率化に貢献しているか」という問いに対して、全体の4割の方が「SFA/CRMは営業プロセス効率化に貢献していない」と回答しています。そして2つ目は、「SFA/CRMは勝率向上に貢献しているか」という問いに対して、同様に4割の方が「SFA/CRMは勝率向上に貢献していない」と回答しています。

これら2つの結果から、業務プロセス効率化でも勝率向上でも、SFA/CRMの効果を実感できていない方が多いことが分かりました。特に、業務プロセスの効率化については、全体の約1割が「むしろ手間が増えている」と回答しており、一部の利用者ではSFA/CRMが逆効果をもたらしていることも分かりました(下図参照)。

円グラフ2個

 

<業務プロセスの効率化に貢献していないと思う理由>

SFA/CRMが業務プロセス効率化に貢献していないと回答した方に、その理由をお聞きしました。最も回答率が高かったのは、「SFA/CRMだけでは顧客の状況が把握できない」で、35%の方が選択されました。1つ置いた3位には「基幹システムとの連携ができていない(回答率28%)」、4位には「マーケティングシステムとの連携ができていない(同27%)」が続いています。ある特定の顧客と自社との様々なフェーズや接点における行動や活動状況(ニーズ、クレームなどを含む)を把握しようとすると、その都度他システムに情報を見に行く必要が発生し、そのことが効率化を阻む大きな要因となっていることが分かります(下図参照)。

効率化達成できない理由

この問いに対しては、自由回答欄にも多くの意見が寄せられました。中でも、SFA/CRMが業務プロセス効率化に貢献していない理由として、そもそものところで、「(SFA/CRMの)使い方が分からない」、「システムを使いこなせていない」という意見が多くありました。回答率の上位にも「SFA/CRMの操作性が悪い(回答率29%)」が挙がっていますが、自由回答と合わせて、「操作や使い方の課題」を示す回答が多く見られます。

また、自由回答では、「手間が増える」、「時間がない」、「管理される側は入力が面倒」など、不満に近い回答が複数寄せられたことも特徴的でした。他にも、「SFA/CRMは管理部門のためのツール」、「日報記入しても上司は見ていない」、「使用目的が明確ではない」など、SFA/CRM導入の目的が不明瞭、かつ入力者側のメリットがないことを指摘する意見も多くありました。営業担当者自身が、SFA/CRMによる業務プロセス効率化の効果をほとんど実感できていないケースは多いようです。

 

<勝率向上に貢献していないと思う理由>

SFA/CRMが勝率向上に貢献していないと回答した4割の方にも、その理由をお聞きしました。最も回答率が高かったのは、「データ分析・活用ができていないため」で、4割近くの方が選択されました。2位には「勝率向上に必要なアクションが示されない(回答率26%)」、3位には「日報・記録でしか使っていない(同25%)」が続いています。SFA/CRMに情報は記録していても、入力したデータを利活用ができていない、案件を”Win”に導くツールになっていないケースが多いことが分かりました(下図参照)。

勝率向上に貢献していない理由

この問いに対しても、多くの自由回答が寄せられました。SFA/CRMが勝率向上に貢献していない理由として、ズバリ「入力するだけで活用されていない」と指摘する意見や、「精緻に情報が取れない」、「分析や業績評価をExcelでやっており、連動していない」など、勝率向上に必要とされる各種データの取得や、その分析・利活用に至るための社内システムとの連携不足を指摘する声が多くありました。回答率の上位にも「基幹システムとの連携ができていない」が挙がっておりSFA/CRMが社内の関連システム/データと連携ができないことが、勝率向上を阻害する要因の1つであることが浮き彫りとなりました。


今回はSFA/CRMを利用している営業部門の方の意見をピックアップしました。第3回では、経営・経営管理部門の方がSFA/CRM導入・利用に何を期待しているのか、調査結果を元に見ていきたいと思います。

◆調査結果のポイントはこちらの動画(外部サイト)からもご覧いただけます◆

日本オラクル_調査結果から読み解く国内企業の営業DXの現在地

https://videohub.oracle.com/media/t/1_1d19h0nz


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