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A blog about Oracle Technology Network Japan

Autonomous Data Warehouse を活用したデータの可視化 - 小売業を例に

Guest Author

※本記事は、Philip Li (Product Marketing Manager - Cloud Business Group)による"Six Retail Dashboards for Data Visualizations"を翻訳したものです。


Philip Li
Product Marketing Manager - Cloud Business Group

小売業界は急速に変革を遂げています。消費者は、世界のどこからでも買い物ができるよう、オムニチャネルのサービスを期待し、小売企業は、そうした世界的需要に応えるため、従来の実店舗販売を補完する形でeコマース・プラットフォームを開発しています。このeコマースにより、顧客の購買行動データを収集し、重要な行動を特定していく方法にも大きな変化が生まれています。


Deloitteのコラム、Beyond Marketingでも、「小売企業の分析担当者は、自社がコントロールできる環境にて幅広く膨大なデータを獲得し、これらを活用することで、顧客についても、その個々の選好や行動についても、理解を深めつつある」と指摘されています。目先の利く小売企業ならきっと、ターゲット層の好みに沿った商品開発を行うために、こうした膨大なデータを活用するはずです。しかし問題は、それをどうやって実現するかです。


データウェアハウスで分析力を強化


小売企業は、データを活用して自社の疑問に対する答えを見つけようとしています。分析担当者はそうしたデータ・インサイトを見出そうとし、また管理層は、明確でわかりやすいダッシュボードからすぐにインサイトを獲得して、事業の実情を理解できるようになることを望んでいます。そうしたなか分析的なインサイトを提供するのが、Oracle Autonomous Databaseです。ここでは、専門的なスキルがなくても世界全体の事業状況を瞬時に視覚化することが可能です。そこで本ブログでは、データに基づいた事業の理解と運営の一助となるよう、グローバル小売企業向けのセールス・ダッシュボードを作成することにしました。


リテール・ダッシュボードの分析  


リテール・ダッシュボードでは、売上、在庫回転率、返品率、顧客の獲得および維持のための費用といったKPIを追跡することが可能です。こうしたダッシュボードでは、わかりやすいグラフィックにてKPIをモニタリングでき、またそのグラフィックを経営陣に共有して事業の意思決定に役立たせることもできます。
本ブログでは、売上と利益を以下の基準にて分析できるリテール・ダッシュボードにフォーカスします。

  • 商品
  • 地域
  • 顧客セグメント

各ダッシュボードでは、注目すべきエリアを特定し、それらを抜き出していきます。また、より多くのデータをインプットすることで、ダッシュボードを継続的にアップデートし、事業の道しるべとなるデータドリブンのインサイトを獲得することができます。   


リテール・データセットの理解


小売企業が自社のセールス・ダッシュボードにデータを組み入れた場合をシミュレーションできるよう、ここではあるグローバル小売企業の売上および利益のデータを(少し手を加えて)使用しています。下のサンプル注文明細表(Excel)では、注文番号、顧客番号、顧客セグメント、商品カテゴリ、割り引き、利益、および注文追跡情報などのデータ要素を確認できます。


Autonomous Data Warehouseに無料で付与されるツールData Visualization Desktopでは、毎月の販売データを簡単にアップロードしてダッシュボードを継続的に更新することができます。そうしてより多くのデータをインプットすることで、事業の変化を理解し、その変化に適応しやすくなります。


ダッシュボードを継続的にアップデートする方法については、「Loading Data into Autonomous Data Warehouse Using Oracle Data Visualization Desktop」をご覧ください。


ここからは、以下について検討します。

  1. 商品別の売上および利益の現状
  2. 売上トップの都市
  3. 動きが活発な地域
  4. 売上に基づく、商品と地域との関係性
  5. もっとも利益性の高い市場セグメント
  6. 利益を牽引する商品


以下は、Excel上にまとめられたデータです。

以下は、上のデータをData Visualization Desktopにアップロードしたものです。

 

商品別の売上および利益の現状


このセールス・ダッシュボード・サマリーでは、さまざまな商品セグメントの売上と利益の全体像を表示しています。ここからすぐに得られるインサイトは以下のとおりです。

  • タイル(画面左上)からは、トータルの売上が850万ドル、利益が130万ドル、つまり利益率が15.3%であることがわかる。

  • 円グラフ(右上)からは、売上と利益の商品カテゴリ別の内訳がわかる。テクノロジー商品は、すべての商品カテゴリのなかで、売上でも(40.88%)、利益でも(56.15%)、トップであることから、もっとも重要な商品ラインであることがわかる。円グラフの下のピボット・テーブルには、実際の数値が示されている。

  • 折れ線グラフ(左下)からは、どの商品カテゴリも成長していること、およびテクノロジー商品の成長がもっとも速いことがわかる。テクノロジー商品の売上の急成長は2018年8月に始まり、11月にピークに達している。

  • 売上の商品別および顧客セグメント別の内訳(右下)が示されており、顧客セグメント別の購買傾向についてより深く理解できる。

下の図は、セグメント別の分析を進めるため、ビジネス全体の状況(上図)から大企業顧客セグメントだけを抜き出したものです。

 
 
売上トップの都市


 この図では、各地域のオフィスごとのパフォーマンスと、全体の傾向を見ることができます。また積み上げ横棒グラフとドーナツ・グラフも表示されています。この散布図では、利益(横軸)と売上(縦軸)を指標とし、そこに各都市を表す円を置いています。また円の大きさは各都市の顧客規模を示しています。


たとえば黄色の円(一番右)はブラジルのサンパウロで、127の顧客にて、200,193ドルの売上と、44,169ドルの利益を計上しています。サンパウロは利益率が22%ともっとも高く、顧客当たりの購入総額は1,576ドルとなっています。この散布図で点線の右側に示されるのは、利益額が10,000ドル以上の都市です。


積み上げ横棒グラフ(左上)には、売上が大陸ごとに示されているため、売上の高い地域を確認することができます。ドーナツ・グラフ(右下)には、全地域の総売上(900万ドル)と地域別のパーセンテージが示されています。これにより、以下の地域で売上が高いことがわかります。

  • 米州(38.64%)
  • 欧州(28.81%)
  • アジア(18.05%)

さらに分析を進めるには、「keep selected」オプションを使用します。これにより欧州などの特定の地域にフォーカスすることができます(下図)。欧州の売上は250万ドル足らずで、そのなかでも欧州北側の都市の割合がもっとも高いことがわかります。このように散布図は、欧州の都市だけを表示するように変更できるため、欧州でもっとも利益額の高い都市がアイルランド島のベルファスト(27,729ドル)で、売上額がもっとも高い都市がロシアのサンクトペテルブルク(127,521ドル)であることもわかります。こうして成功している都市を特定することで、その成功例を他の地域に広げることも可能になります。 


動きが活発な地域 

分析担当者は、迅速に注力すべき市場を特定する必要もあります。この場合、ヒートマップを使用すると、売上の高い地域(色で表示)および売上のない地域(灰色)が一目でわかります。この例では、以下のように先進国市場での売上が特に高くなっています。

  1.  米国(150万ドル超)
  2. 英国(88.7万ドル)
  3. オーストラリア(69.5万ドル)

さらに分析を進めて、英国の都市別の状況を確認することもできます(下図)。以下を含む複数の都市で売上があることがわかります。

  • ベルファスト
  • リーズ
  • マンチェスター
  • シェフィールド

ヒートマップを使用すると、店頭へのアクセスのしやすさだけでなく、需要に基づいて事業を拡大すべき都市も一目でわかります。


売上に基づく、商品と地域との関係性


 
売上や商品、地域といった異なる要素がどのように関連しあっているかを理解することは、往々にして難しいものです。しかしネットワーク・マップを活用すれば、商品カテゴリ(テクノロジー、家具、オフィス用品)と大陸(さらに各国にリンク)との関係を把握することができます。点と点を結ぶ線の太さは売上を示し、色の濃さは利益を示しています。アフリカとアフリカ南部を結ぶ線にマウスポインタを合わせると(上)、アフリカ南部の売上(24.2万ドル)と利益(3.4万ドル)がわかります。


特定の地域にフォーカスする方法は他にもあります。特定の点にマウスポインタを合わせて、「keep selected」オプションを使用する方法です(下図)。この例では、欧州にリンクされる点のみが示されています。これにより、欧州の売上および利益の大半は、テクノロジー商品(売上103万ドル、利益21.3万ドル)によってもたらされ、地域としては欧州北部(売上97.4万ドル、利益16.2万ドル)、特に英国(売上88万ドル、利益16.2万ドル)が主力であることがわかります。このように売上および利益に貢献している地域がわかるだけでなく、商品と地域との関係性をマクロな視点で捉えることができるのです。


 
もっとも利益性の高い市場セグメント


 
拡大のスピードがもっとも速く、売上および利益にもっとも貢献している顧客グループを把握することも重要です。この例では、積み上げ棒グラフ(左)と散布図(右)を使用して、2018年度の市場セグメント別の利益性を確認しています。顧客セグメントは以下のとおりです。

  • 個人消費者
  • 大企業
  • 個人事業者
  • 中小企業

積み上げ棒グラフでは、第2四半期から第4四半期にかけて売上が拡大し、主に大企業(第1四半期から61%成長)と中小企業(同じく53%成長)が全体の売上拡大を後押していることがわかります。大企業と中小企業を合わせると、第1四半期から売上が19.1万ドル拡大しています。これら2つのセグメントが2018年第4四半期の売上の63%を占めているわけですが、このグラフからは、個人事業者の売上が第3四半期から第4四半期にかけて2倍以上に拡大していることもわかります。


散布図(右)からは、各市場セグメントの利益率の推移がわかります。利益率は、同一四半期の純利益を純売上で除することで求められます。その結果、2018年度の成長スピードがもっとも速いセグメントおよび利益率のもっとも高いセグメントが以下のとおりであることもわかりました(4分割した右上)。

  • 大企業
  • 中小企業

大企業セグメントの利益性のみを抜き出すこともできます(下図)。ターゲット・セグメントに関するインサイトを獲得することで、的を絞った商品開発およびマーケティング活動が可能になります。


利益を牽引する商品


 
小売企業では、数千とはいかないまでも、数百もの商品を抱えていることも珍しくありません。このように商品数が多いと、個々の商品の利益性を特定および追跡することも難しくなります。しかし利益性の経時的変化を簡単にビジュアル化し、それを特定の商品と比較することは、実は可能なのです。ここでは複合グラフ(左上)を使用して、売上と利益率の経時的変化を確認します。


このグラフからは、毎年総じて売上(および利益)が第1四半期から第4四半期にかけて増加し、翌年の第1四半期に減少していることがわかります。利益の経時的変化については、滝グラフで確認できます(左下)。2013年から2018年の末にかけて利益が16.7万ドル純増していることがわかります。


注力すべき利益性の高い商品と、削減すべき利益性の低い商品の特定も必要でしょう。画面右側では、商品ごとの売上と利益率を確認することができます。これらのグラフからは、以下の商品の売上がもっとも高いことがわかります。

  1. 電話/通信ツール(138万ドル)
  2. オフィス・マシン(107.7万ドル)
  3. 椅子(104.6万ドル)

また以下の商品の利益率がもっとも高いことがわかります。

  1. バインダ(35%)
  2. 封筒(32.4%)
  3. ラベル(31.6%)

これは、バインダが1つ売れるごとに、売上の35%が利益となることを意味します。また、書棚(-5.2%)、タブレット(-5.3%)、はさみ/定規(-8.3%)などは利益率がマイナス、つまり販売するたびに損失が発生する商品であることがわかります。さらに下図のように、上位5商品の売上だけを抜き出すことも可能です。


まとめ

Autonomous Data Warehouseを活用したデータ・ビジュアル化ダッシュボードでは、規模の大きなグローバル小売企業でも、事業の現状を簡単に把握し、流動的な市場環境にどのように適用していくかを決定していくことが可能になります。


Oracle Autonomous Databaseなら、専門的なスキルがなくてもクラウドにセキュアなデータ・マートを簡単に作成し、有益なビジネス・インサイトを創出することができます。データベースをプロビジョニングし、分析用にデータをアップロードするまでの時間も、わずか5分足らずです。


クラウドのトライアル・サービスにてAutonomous Data Warehouseを活用していただくことも可能になりました。

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以下のブログには、クラウドの無償トライアルのスタートに関するステップ・バイ・ステップの説明が掲載されています。どうぞ、OCI Object Storeへのデータのアップロード方法、Object Store Authentication Tokenの作成方法、Database Credentialの作成方法、SQL DeveloperのData Import Wizardを使用したデータの読み込み方法などをご確認ください。

 


フィードバックやご質問もお待ちしています。皆さんが作成されたダッシュボードについても、どうぞお知らせください。

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