神奈川県にある、こども病院のお庭の再生プロジェクトをサポートしてくれる企業を探しているとお声掛けを受けたのは2022年の10月初頭のことでした。病院のボランティアセンターの方にオンラインで詳しくお話を聞かせていただいたところ、コロナの影響でお見舞いや外出制限がある子どもたちが過ごす病棟に面する小さなお庭を少しでも明るくしたいが、どこから手を付けていいのか分からなくて困っている、ゼロから一緒に考えてくれないかと相談を受けました。
オラクルのボランティアの特長は、主体性のある社員たちがそれぞれ知恵を絞り、クリエイティブにプロジェクトを推進しているところです。このプロジェクトもきっとうまくいくに違いないという確信があり、是非一緒にやりましょう、とお答えしました。そして私の想像通り、社内のコミュニケーションツールで「できることから一緒に検討してくれるボランティアを募集します!」と声をかけると、「チェーンソーあります」「ガーデニング好きです」「ガーデニングはやったことないけど、力仕事なら手伝えます」「自宅が遠いので、リモートでできることがあれば!」と、すぐに9名の社員が手を挙げてくれました。
有志で現地へ確認に行くと「このボロボロになっているバスケットゴールも新しくしたい」「子どもたちの意見を聞いて反映させたい」「子どもたちにも何かの形で参加してもらいたい」と次々に意見が出てきたため、スケジュールを分けて複数のプロジェクトとして進めることになりました。まずはすぐに取り組めるバスケットゴールの入れ替えに着手し、同時に花壇作りの計画を練ります。入院している子どもたちに「どんなお庭がいいかな」と聞くアンケートを行い、「カラフルな庭」「虫が遊びに来るお庭」「季節ごとに咲く花々」「背の高いお花、小さなお花、両方咲いてほしい」などの意見を参考に、オンラインで議論を重ねます。得意なイラストでデザイン案をいくつも提示する人、ガーデニングの動画をたくさん視聴して意見を出す人、散歩の途中で見かけた美しい花壇の写真をたくさん撮影して共有する人、それぞれのボランティアが、自分ができる最良のことを主体的に考え行動していきます。ここにもオラクルの文化「Culture Starts with You」が根付いていることを感じます。
家族の事情や居住地の関係で現地に行くことがかなわない社員たちは、お庭作りに向けて、入院している子どもたちと、オンラインで何かを作る作業を実施しました。そして、いくつかのプロトタイプを試した上で、石にアクリル絵の具でペイントするストーンアートのワークショップを主導してくれました。このときに作成してくれたストーンアートは、花壇をカラフルに彩る装飾となりました。オラクルのコンサルティング部門で働く高田良子は、家族が通院していた際に、ボランティアが病院を明るくデコレーションしてくれていたことに感謝し、自分も何か貢献したいと参加しました。 「引っ越したため、物理的に行くことはできなくなってしまったものの、リモートでも子供たちを笑顔にし、形として残るものを一緒に作り上げるということがオラクルのパワーだと感じました!そしてチームの皆さんの実現に向けたパワーとスピード感がすごい!いつかそんな社員と部門を超えて仕事をしてみたいと思いました」と語ります。
ホリデーシーズンを病室で迎える子どもたちのベッドが少しでも明るくなるようにと、ホリデーカードを手作りするワークショップを企画してくれた社員もいます。オラクルの社員食堂で2日間において実施されたプロジェクトでは、88名の社員が419通のカードを作成し、各病棟の看護師さんを経由してそのカードを子どもたちに届けることができました。また看護師さんの「子どもたちはQRコードが好きで、見つけたらいつでもすぐにスキャンしている」という話からヒントを得て、オンライン上にホリデーカードをアップロードし、QRコードで見ることができるプロジェクトも実行されました。オンラインで協力できるという利点を活かし、このプロジェクトにはシンガポールとインドの社員も協力してくれました。
また、こども病院のお庭では、土を掘り起こし、土台を作り、セメントを練り、レンガを積み上げ、ゼロから花壇を作りました。不慣れな土木作業や左官作業で何度も失敗を繰り返しましたが、失敗から学び、少しずつ改善することで、想定していた当初の案を超える素敵なお庭を作ることができました。さまざまな部門から参加した多様な社員が、それぞれの個性を活かし、お互いを尊重し、失敗すらも笑って次に活かせるチームの雰囲気を作り上げ、2カ月半後、クリスマスを前にこのプロジェクトは完成しました。
ストレージ製品のテクニカルサポートをしている江口洋樹は、「このプロジェクトを通して、分からないことへの取り組み方、失敗に対する改善策を学び、みんなで協力することの大切さを改めて実感した」と語ります。VUCAの時代、答えが用意されていない問いに対し、試行錯誤を繰り返し取り組むことが求められていますが、オラクルではボランティア活動においても、参加者が主体的に課題に取り組み、そこで経験を積み、学ぶ文化があります。そして、それぞれの社員が少しずつできることを持ち寄ることで、一人では達成できない課題に取り組み、より大きなインパクトを生み出しています。これからもオラクルでは社員が主体となって、社会に少しでも貢献できるようボランティア活動を継続していきます。