著:オラクル・コーポレーション プレジデント ジャパン&アジアパシフィック ギャレット・イルグ
多くの人が、バーチャル・リアリティ(VR)ゲーム、ジオラマ・スポーツ・ストリーミング、ホログラム・コールなど、5Gの超大容量と最小限のレイテンシを必要とする洗練されたサービスで消費者を魅了する5G無線ネットワーキングの可能性について言及しています。このような消費者向けサービスは確かに素晴らしいですが、5Gの未来は企業の双肩にかかっています。
今後数年間、企業が5Gアプリケーションのイノベーションの多くを推進するだけでなく、通信インフラストラクチャの大規模な導入によく見られるとおり、世界中の通信事業者が、企業の購買力によって、5Gの周波数帯とネットワーク・アップグレードに投じてきた数千億ドルの資金を回収することもできます。
5Gの最大の可能性は、さまざまなモノのインターネット(IoT)アプリケーションを推進することにあります。10年以上前から、さまざまな業界の企業と団体が、あらゆる機械とデバイスにセンサを取り付けて、データを収集し、有線ネットワークおよび無線ネットワーク上でセンサを接続し、分析を行って、次のステップにつなげるというIoTの可能性について言及してきました。
産業用IoTアプリケーションには、ジェットエンジンの部品、タービンのコンプレッサ、または列車の車輪が故障しそうになったら、エンジニアに交換時期を警告するもの、輸送用コンテナ、工場の在庫、人などの資産がどこにあるかを広大な地域にわたって追跡するもの、消費者の運転習慣を監視して、保険料を調整するもの、道路センサからのリアルタイムのフィードバックに基づいて、信号機の速度を変更して、渋滞を解消するもの、患者の健康監視デバイスから特定のバイタル・サインが悪化していることがわかったら、医師に警告して、対策を取らせるものがあります。
しかし、このようなアプリケーションを大規模に導入する上で大きな障害になっていることは信頼性が高くユビキタスでコスト効率の高い接続環境の不足です。特に遠隔地では、センサを搭載する機械、部品、ウェアラブル・デバイス、車両、家電製品など、すべてのモノが高速光ファイバ・ネットワークに接続できるわけではありません。
このため、5Gが到来しました。5Gネットワークは、光ファイバに匹敵する速度、前世代の無線ネットワークの10倍以上の速度、および数分の1のレイテンシを実現するだけでなく、大規模なマシン・タイプの通信をサポートします。このため、非常に多くのIoTデバイスが、相互に通信し、中央の意思決定者と通信できます。また、5Gネットワークの設置および拡張コストは光ファイバよりはるかに低いです(ただし、運用コストは光ファイバより高い)。
5Gは、クラウド・コンピューティング、人工知能(AI)など、非常に重要なテクノロジーと同様、ハイテク産業にとどまらず、経済成長を推進します。移動体通信事業者の団体であるGSMアソシエーション(GSMA)のレポートでは、2019~2034年の15年間で、5Gテクノロジーは、世界経済に2兆2,000億ドルの貢献をもたらすと推計されており、製造業者、公益事業者、金融機関、および公的機関が最も積極的に活用すると推定されています。
最近のインタビューで、クラウド・ベースの5Gコア・ネットワークおよびサービス収益化製品を通信事業者向けに開発しているOracle Communicationsのテクノロジー担当グループ・バイスプレジデントであり、私の同僚であるアンドリュー・デ・ラ・トーレは、企業向け5Gを長期的に成功させるための下記の3つのカギについて語りました。
このようなイノベーションの先頭に立っている通信事業者がシンガポールの大手通信事業者であるシングテルです。先日、シングテルはシンガポールのビジネス街、ショッピング街、および住宅地にある数百の拠点をクラウド・ネイティブな新しい5Gスタンドアローン(SA)コア・ネットワークに接続したことを発表しました。
この専用ネットワークは、非常に信頼性が高くレイテンシの低い通信を提供するだけでなく、5Gの特徴であるネットワーク・スライシング機能を近い将来に実現します。お客様は、この機能によって、特定のアプリケーションをサポートするために、ソフトウェアで独自の論理ネットワークを切り出すことができます。
「シングテルの5G SAネットワーク、特にネットワーク・スライシング機能は、お客様が、VR、IoT、およびスマート・ファクトリ・アプリケーションなど、5Gを活用する新しい革新的なサービスを市場にさらに迅速に投入するためのさまざまな刺激的な可能性を提供します。また、さまざまな業界のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現する重要な要素になります。」とシングテルの5Gエンタープライズおよびクラウド担当バイスプレジデントであるデニス・ウォン氏は述べています。
シングテルは、企業が、さまざまなユース・ケースのアイデアを生み出し、テストするための5G Garageを開設しました。また、企業が、機器とインフラストラクチャを設置せずに、5Gサービスをオンプレミスで試用できるように、スーツケース・サイズのコンテナに収められたポータブル・プラットフォームであるGENIEを導入しました。
現在、世界的なパンデミックによって、5Gネットワークの導入は世界中で遅れていますが、この第5世代の無線テクノロジーを止めることはできません。
本ブログ記事は、8月5日に公開した5G Is Arriving, and Not a Moment Too Soon for Enterprises の抄訳です。
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