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  • September 16, 2020

ブロックチェーンと自律型テクノロジによって「フェア・ファッション」の流行を維持

Jyoti - Fair Works、Oracle Cloud上でretracedのブロックチェーン・アプリケーションを稼働し、顧客が人道的なサプライチェーンを把握できるよう支援

著者:サーシャ・バンクス-ルーイ

南インドの町チタプールにある縫製工房では、ハリマさんという裁縫師が一日中、染められた綿織物から新しいブラウスの型を切り出し、手作業で袖に刺繍を施し、縫い目を縫い合わせ、ベルリンの小売店に夏物コレクションを出荷しています。

ハリマさんは、ドイツの小規模な「フェア・ファッション(公正なファッション)」レーベルであるJyoti - Fair Worksで働く20人の女性裁縫師の1人です。Jyoti - Fair Worksは南インドの非政府団体Jyothi Seva Kendra TrustおよびNava Chetana Kendraと協力して、不利な境遇にある地域内の女性たちを正規雇用していま

写真:Jyoti-Fair Worksに創業から務めているハリマさん

工房のシフトは午前10時に始まるため、子どものいる女性は子どもたちを学校に送り届けることができます。午後5時にはまた子どもたちを迎えに行く必要があるので、その時間に終業になります。1時間のお昼休みには、近所に住んでいる女性は家まで歩いて帰ることができ、あるいは工房の前庭に集まって座り、お手製の茄子カレーやジャガイモのビンディ、マンゴーのピクルスを分け合うこともできます。

インド全土にわたるロックダウン中は工房のシフトも中断していますが、Jyoti - Fair Worksは裁縫師に給与の全額支給を継続し、持続的な雇用を保証しています。裁縫師は全員、自宅にミシンと刺しゅう道具を所有しているため、「この機会を生かして、通常の生産スケジュールでは時間がかかりすぎて製作できない、新しいパッチワーク・ブランケットの製品ラインを始めることに決めました」と、2014年のJyoti - Fair Works設立にも一役買ったカロリン・ホッファー(Carolin Hofer)氏は語っています。

同社はまた従業員に対し、女性や労働者の権利に関するセミナー、英語講座、各生産フェーズにわたるプロフェッショナル・トレーニング(端切れをアップサイクルしてバッグや蝶ネクタイ、宝飾品、その他の装飾品を作る方法など)を提供しています。

可視性が必要

こうした職場環境は、数百万人の衣料品工場労働者が医療保険もなく、教育機会もほとんどない状態で長時間労働を強いられる地域においては、例外的です。このような地域でのプロフェッショナル・トレーニングは、大半が袖の裁断やボタン付けなど、衣料品生産の単一段階に関するものです。賃金が時給わずか15セントという場合も多々あります。

インドの一次工場に労働条件の改善を義務付ける、一部アパレル・ブランドの取り組みにも関わらず、増え続ける下請業務に対しては十分な可視性がありません。

ホッファー氏によると、サプライチェーンの透明性は「常にJyoti - Fair Worksブランドの不可欠な要素」である一方、ここ数年で同社のフェア・ファッションへの需要が高まるにつれて、下流のサプライヤ・ネットワークの追跡が困難になっていました。「私は現地の織工と常に連絡を取り合っていますが、織工が綿花を購入している人々をすべて管理することはできません」とホッファー氏は語ります。

写真:ホッファー氏は、新しいデザイン・コンセプトについて話し合ったり、裁縫師からフィードバックをもらったりすることを楽しんでいます。

この透明性を維持し、顧客への説明を向上させるために、Jyoti - Fair Worksはretracedのブロックチェーン・ソフトウェアを使い始めました。retracedはOracle for Startupsプログラムの参加企業であり、そのプラットフォームはOracle Blockchain Platformで稼働しています。

綿花栽培者、織物製造業者、織物染色業者、デザイナー、裁縫師の認定済み情報を含むサプライチェーンのデータを、retracedのアプリケーションに紐づけることで、Jyoti - Fair Worksは注文、配送、生産スケジュールをアップデートし、QRコードを作成および印刷して、衣料品の物理タグとデジタル・タグの双方に添付できます。

新しいブラウスがJyoti - Fair WorksのWebサイトに掲載されたり、ベルリンのフェア・ファッション小売店に出荷されたりすると、消費者は自分のモバイル・デバイスを用いてQRコードをスキャンし、「その綿が地元の農家によって有機農法で栽培され、有害化学物質を用いることなく近隣の織物工場で加工され、環境に優しい植物由来の抽出物を用いて染色され、生分解性の生地へと織り込まれ、フェア・トレードの職人によって裁断、縫製、装飾が行われていることを、即座に確認できます」と、retracedのセールス/マーケティング責任者であるタイ・フォード(Tai Ford)氏は語っています。

こうした生産物流管理の詳細情報がブロックチェーンに入力され、紐づけられると、サプライヤはretracedのアプリケーションをダウンロードし、ユーザー・アカウントを作成するよう促されます。例えば女性用ブラウス10点というオーダーが入ると、アプリケーションはJyotiのブラウスの製造に必要な材料の詳細情報を自動入力し、各サプライヤに受注リクエストを送信します。リクエストを受け付けたサプライヤはチェーンに追加され、その活動が注文ライフサイクル全体を通じて追跡可能になります。

フォード氏は次のように語ります。「アプリケーションはサプライチェーンをずっと下って栽培者まで、そして再び上って織工まで追跡できるため、Jyoti - Fair Worksは、いつ農場から綿花が出荷され、綿繰り機で糸に加工され、その糸が染められ、布地へと織り込まれ、縫製工房に送られて最終製品になるかを正確に把握できます。」

大規模な透明性

retracedのアプリケーションにより、Jyoti - Fair Worksは、Oracle Cloud Infrastructureで稼働するOracle Autonomous Databaseでサプライヤの活動の信頼性を保存、紐づけ、検証できます。

retracedの共同創設者兼CTOであるピーター・マーケルト(Peter Merkert)氏は、次のように語っています。「インフラストラクチャ、データベース、ブロックチェーン・アプリケーションを単一のプラットフォームで稼働させることで、当社のプラットフォームの迅速かつ大規模な拡張がはるかに容易になっています。」

アプリケーションのマイクロサービス・アーキテクチャは、速やかに生地の画像を取り込み、新しいサプライヤを登録し、注文をブロックチェーンに追加できます。retracedはOracle Container Engine for Kubernetesによって、「一度に数千のリクエストがアプリケーションに押し寄せても、複数のインスタンスを同時に実行できます」とマーケルト氏は述べています。

Oracle Autonomous Databaseにより、「プロセスをいくつ実行しているかは、重要ではありません。クリックするだけで瞬時にストレージを拡張し、CPUパワーを強化できます。」とマーケルトは述べています。マイクロサービス・アーキテクチャの拡張性については数多く取り上げられていますが、それは「実際にはボトルネックになる可能性もあります」とマルケルト氏は述べています。「マイクロサービス・アーキテクチャの拡張性は、その背後で稼働するデータベースとリソースがどれだけ提供できるかにかかっています」

完全な透明性を備えたサプライチェーンを維持しつつ拡張する能力は、まさにJyoti - Fair Worksが計画している成長の方法です。ホッファー氏は次のように語ります。「私たちがretracedとともに行っていることは、さらに透明なサプライチェーンを構築し、お客様をその一部に組み込むことです。また、従来型の生産業者もいつか自社製品のストーリーを語ってくれるよう、透明性の標準を確立することも目指しています。」

Jyoti - Fair Worksのようなフェア・ファッション企業にとって、透明性はすべてです。「自分が着ているドレスを何人の女性が縫い、何時間の労働が行われたのかなど、当社のバリューチェーンについて知れば知るほど、衣服に対する関心や当社ブランドへの信頼が高まるように思われます。そして可能であれば、繊維業界について疑問を投げかけ、隠れた搾取的慣行の受け入れを拒否するようになってほしいと願っています。」

本記事は、2020年8月に掲載されたBlockchain, autonomous tech help keep ‘fair fashion’ in styleを抄訳しています。

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