Oracle Exadata上のOracle Databaseをサービスとして使える「Oracle Database Cloud Service」の魅力──「Oracle Cloud World 2013」レポート

業務効率化や事業拡張などに伴い新たな業務アプリケーションのニーズが次々と生まれる中、運用管理の手間やコスト削減、開発や導入のスピード化などを目的にクラウド・サービスの活用を検討する企業が増えている。その際、各社のIT部門が悩むのが、既存のオンプレミス・システムとの連携/統合、開発/管理のしやすさ、コスト負担、セキュリティの確保などだ。そうした悩みをすべて解消すべくオラクルが提供を開始したクラウド・サービスが「Oracle Cloud」である。Oracle ExadataやOracle Exalogicなどの高い性能と可用性を備えたシステム基盤上で稼働し、Oracle DatabaseやWebLogic Serverなどの定番ミドルウェアと標準技術によって構成されたOracle Cloud、および同クラウドのラインアップの1つであるデータベース・サービス「Oracle Database Cloud Service」の魅力、そしてこれらを用いたアプリケーション開発の概要について、2013年4月9日に都内で開催されたイベント「Oracle Cloud World 2013」におけるセッションの内容を基に紹介する。(編集部)

Oracle CloudはOracle Exadata/Oracle Exalogic上にPaaS、SaaS、ソーシャル・サービスを提供

 「オラクルが提供するクラウドは、他社のサービスとどう違うのか? 企業にどのようなメリットをもたらすのか?」──この疑問に一挙に答える場として催されたOracle Cloud World 2013。同イベントでは、Oracle Cloudが提供するさまざまなクラウド・サービスの概要や活用例などが紹介された。その中で注目を集めたのが、Oracle Cloud上での企業アプリケーション開発/運用をテーマにしたセッション群である。

 そうしたセッションの1つ「Oracle Cloudのプラットフォームサービスを利用した、ビジネス・アプリケーション構築」では、米国オラクル・コーポレーションでプロダクト・デベロップメント担当シニアディレクターを務めるアミット・チャウドリ氏が壇上に立ち、企業アプリケーション開発/運用環境としてのOracle Cloudの魅力を紹介した。

米国オラクル・コーポレーション プロダクト・デベロップメントシニアディレクターのアミット・チャウドリ氏
 セッションの冒頭、チャウドリ氏は、今日の企業およびIT部門が直面する課題として、「扱うデータ量の爆発的な増大」や「(それらのデータも活用した)アプリケーション開発ニーズの急増」、「スマート・デバイスなどサポートすべきクライアント端末の急増と、それによるインフラ負荷の増大」、「ソーシャルのビジネス活用」、「旧式化したITシステムの段階的な近代化(モダナイゼーション)」などを挙げた。現在、これらの課題を解消する選択肢の1つとして、クラウドが大きな注目を集めているのだという。クラウドであれば、必要なコンピューティング・リソースをオンデマンドで調達しつつ、これらの課題に対応できるからだ。

 オラクルも、そうした企業の要求に応えるべく、広範なクラウド・サービスとしてOracle Cloudの提供を開始している。

 Oracle Cloudは、オラクルがこれまでに開発してきたシステム基盤や各種ミドルウェア、業務アプリケーションなど多様な要素から構成されるクラウド・サービスである。

 「Oracle Cloudでは、まず共通のインフラ・サービスとして、Oracle Exadata、Oracle Exalogicによるコンピュータ・リソース上でストレージやアイデンティティ管理、キャッシングなどの機能を提供する。これらはすべて、アプリケーション開発者が利用できる。

 また、PaaS(Platform as a Service)として、データベース・サービスやJavaサービス(Javaアプリケーション開発/運用環境)を提供する。これらを使うことで、アプリケーション開発者はインフラのことを気にすることなく、アプリケーションを開発/配備できる。

 さらに、ERP、CRM、HCMなどのアプリケーションをSaaS(Software as a Service)として提供するほか、ソーシャル・サービスも提供する。Oracle Cloud上のソーシャル・サービスを活用することで、企業はマーケティング効果を最大化することができるのだ」(チャウドリ氏)

クラウドとオンプレミスの間でデータベースを自在に移行──Oracle Database Cloud

 続いてチャウドリ氏は、Oracle Cloudが提供するデータベース・サービスとしてOracle Database Cloud Serviceの概要を説明した。

 Oracle Database Cloud Serviceは、Oracle Exadata上で稼働するOracle Database 11g Release 2 (以降、11gR2と記載) Enterprise Editionをオンデマンドで利用することのできるデータベース・サービスだ。現在Oracle Database 11gR2をオンプレミスで利用している企業は、同様の環境をクラウド上でも使うことができる。オンプレミスで利用しているのと同じデータベース、同じコードをクラウド上でそのまま動かすことができるのだ。

 Oracle Database Cloud Serviceでは、データベース・アプリケーション開発ツール「Oracle Application Express(APEX)」などを利用して、Webブラウザ上、またはデスクトップでSQL開発やWebアプリケーション開発が行える。

 また、「Oracle Database Cloud Serviceとオンプレミスのシステム間でデータベースを移行したり、Oracle CloudのJavaサービス上に開発したJavaアプリケーションからOracle Database Cloud Service上のデータベースをJDBCによって利用したりすることもできる」(チャウドリ氏)

 セキュリティに関しても万全の配慮が図られている。Oracle Database Cloud Serviceはマルチテナントに対応しており、各テナントはデータベース・スキーマの単位で隔離される。これにより、データのセキュリティを担保している。

 使い勝手についても、オンプレミスとの遜色はない。Oracle Database Cloud Serviceでは、専用のセルフサービスの管理機能が用意されており、それを使ってサービスのモニタリングや管理が行える。

クラウドのWebLogic Server上でJavaアプリケーションを開発/運用──Oracle Java Cloud Service

 一方、Javaサービスとして提供されるのは「Oracle Java Cloud Service」である。同サービスは、Oracle Exalogic上で稼働するWebLogic Serverをオンデマンドで提供する。

 「Oracle Java Cloud Serviceを使えば、クラウド上でオンプレミスと同様のJavaアプリケーション開発/運用が行える。オンプレミス上のJavaアプリケーションをクラウド上に移行して稼働させたり、その逆のことを行ったりといった具合に、オンプレミス/クラウド間を自在に移行することもできる」(チャウドリ氏)

 Oracle Java Cloud Serviceでは、Javaアプリケーションの開発環境として、無償で提供されるJDeveloperやEclipse、NetBeansなど、主要な統合開発環境を利用できる。ボタンを1クリックすることでアプリケーションをデプロイし、SOAPやRESTなどのプロトコルによってクラウド内外のサービスを連携させることも可能だ。

 また、Oracle Java Cloud Service上のアプリケーションは、それぞれが1つのJVM(Java仮想マシン)で動作し、アプリケーションのレベルと(Oracle Database Cloud Serviceにより)データベースのレベルでセキュリティが確保されるため、企業は安心してJavaアプリケーションの開発から運用までが行える。

 さらに、サービスのモニタリングや管理を行うための機能も用意されている。

 こうした特徴を備えるOracle Java Cloudの大きな優位性の1つは、ユーザー・インタフェース開発フレームワーク「Oracle Application Development Foundation(ADF)」を用いてアプリケーション開発が行える点である。

 Oracle ADFは現在、オラクルのアプリケーション製品やミドルウェア製品でユーザー・インタフェース開発などの共通基盤として利用されているフレームワークだ。Webアプリケーションのみならず、AndroidやiOSを搭載したスマート・デバイスなど、さまざまなクライアント・プラットフォームに対応しており、共通のプログラム・コードでそれら複数のプラットフォームに対応したアプリケーションを実現できる点を強みとする。WebLogic Serverユーザーは無償で利用できるため、オンプレミスとクラウドの両方でアプリケーション開発基盤として利用することも可能だ。

 Oracle Cloudでは、以上のOracle Database Cloud ServiceおよびOracle Java Cloud Serviceのほか、プレビュー版としてストレージ・サービスや各種開発者向けサービス(チーム管理サービスや開発ライフサイクル管理サービス、アジャイル開発支援サービスなど)、メッセージング・サービス(非同期、キューイングに対応)を公開しているほか、近くコラボレーション・サービス(ワークスペースやドキュメントの共有サービス)、レポーティング・サービス、アプリケーション・ストアなどが公開される予定だという。

Oracle Database Cloud Serviceは中小企業や部門/部署レベルでの利用に最適

米国オラクル・コーポレーション プリンシパルメンバー・オブ・テクニカルスタッフのシャキーブ・ラーマン氏
 チャウドリ氏に続いては、米国オラクル・コーポレーションのシャキーブ・ラーマン氏(プリンシパルメンバー・オブ・テクニカルスタッフ)が「クラウドサービスを利用したOracleデータベース・アプリケーション開発」と題したセッションの中で、Oracle Database Cloud Serviceの詳細について語った。

 ラーマン氏によれば、Oracle Database Cloud Serviceの大きな特徴/利点としては、次の4つが挙げられる。

  • 簡単:セルフサービスでプロビジョニングが行える。30日間の無料トライアルが可能なため、まずは試用したうえで採否を判断できる

  • 業界標準を採用:SQLやJava、REST、HTML5などの業界標準技術を使ってアプリケーション開発が行える

  • エンタープライズ・グレード:エンタープライズでの利用に堪えるハードウェア/ソフトウェアを採用しており、企業ユースで求められる365日24時間体制の管理/サポート体制を提供する

  • シンプルな価格設定:データベースの利用量に応じて、3つの価格プラン(月175ドル~2000ドル)が用意される

 これらの特徴を備えたOracle Database Cloud Serviceは、次のような用途に特に適しているとラーマン氏は語る。

  • クラウド・ベースでの新規アプリケーション開発/運用:Oracle Java Cloud Serviceと併せて利用し、新規にJavaアプリケーションを開発/運用。アプリケーションの更新は随時行える。研究開発での利用にも適する

  • 既存アプリケーションの移行:オンプレミスで稼働するOracle DatabaseやWebLogic Server上のアプリケーションのクラウドへの移行。これにより、クラウドのスケーラビリティや可用性などのメリットを手軽に享受できる

 また、利用組織としては、「中小規模の企業のほか、企業の部門/部署レベル、IT部門、そしてオラクルのパートナー企業などでの活用を主に想定している」(ラーマン氏)という。

 充実したアプリケーション開発環境が用意されている点は、アプリケーション開発者にとっては大きな魅力である。Oracle Database Cloud Serviceは現在、アプリケーション開発支援のために次の6つのコンポーネントを提供している。

  • APEX SQL Workshop:SQL開発のためのツール。SQLコマンドを使い、Webブラウザ上で開発が行える。オブジェクトの参照も可能

  • SQL Developer:SQL開発/データ・ローディングのためのデスクトップ・ツール。これを使い、クラウド上にデータのローディングが行える。他社製データベースからのデータ移行用ツールとしても利用可能

  • APEX Application Builder:HTML5アプリケーション開発のためのツール。Webブラウザ上でウィザード形式によりHTML5アプリケーションを開発する。モバイルからアプリケーションを作成することもできる。「APEX Application Builderは、すでに30万人以上の開発者が利用している」(ラーマン氏)

  • RESTful Webサービス:RESTによるデータ・アクセスを可能にする機能(サービス定義はOracle APEXまたは SQL Developerで行う)。これを使うことにより、Webブラウザ上でRESTful Webサービスの開発が行える


  • パッケージ・アプリケーション:Oracle Cloud上に用意された、特定機能に特化した小規模なアプリケーション。1クリックでOracle Cloud上に作成したアプリケーションに追加インストールできる。バグ・トラッキングやレポート作成など、現在は約20のアプリケーションが用意されている

  • My Servicesポータル:Oracle Database Cloud Service上のアプリケーションの管理を行うためのツール。Oracle Database Cloud ServiceにログインしてWebブラウザ上で利用する

 これらのツールを利用して開発したアプリケーションから、HTTP/HTTPS、REST、そしてOracle Java Cloud Service上のアプリケーションからはJDBCによってOracle Database Cloud Service上のデータベース・サービスにアクセスすることができる。

 ラーマン氏はこの後、APEX Application Builderなどを用いたOracle Database Cloud Service上でのアプリーション開発のデモを披露。Oracle Database Cloud Serviceにログインしてから、わずか数分でHTML5によるモバイル対応アプリケーションを作る様子を紹介した。このアプリケーションはレスポンシブルWebデザインによるユーザー・インタフェースを備えており、デスクトップやスマート・デバイスなど端末の画面サイズに応じて最適な画面表示を行うことができる。

 最後にラーマン氏は、「パブリック・クラウドとプライベート・クラウドの利点を併せ持ったOracle Cloud、そして一度書いたアプリケーションをクラウドでもオンプレミスでも動かせるOracle Database Cloud Serviceを、ぜひ一度無料トライアルでお試しいただきたい」と呼びかけて講演を締めくくった。

 以上、ここではOracle Cloud World 2013におけるセッションから、企業のアプリケーション開発/運用環境としてのOracle CloudおよびOracle Database Cloud Serviceの魅力を紹介した。サービスの詳細や使い勝手は、Oracle Cloudのサイトでいつでも読者自身で確認することができる。Oracle DatabaseやWebLogic Serverをお使いの企業は、まず無料トライアルでその実力を評価してみていただきたい。


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