新世代の情報処理基盤が企業にもたらすケタ外れの性能が今、ビジネスのルール/仕組み/常識を変える

「これまでは不可能だった“膨大なデータのリアルタイム処理”が可能になったとき、新たにどのようなビジネスが可能になるのか? 既存のビジネスにどのような変化が起こりうるのか?」──企業での本格的な活用が始まって以来、いつの時代にも、ITは業務のあり方やビジネスの仕組みに大きな影響/変化をもたらしてきた。そして今、また1つ大きな変化が起こりつつある。その原動力となるのは、圧倒的なスピードとスケールによるデータ処理を実現する次世代のシステム基盤だ。この基盤が可能にする“膨大なデータのリアルタイム処理”は、果たしてビジネスにどのような変化をもたらすのだろうか。日本オラクルで長年テクノロジー・コンサルタント組織を率いてきた小守雅年氏(執行役員 テクノロジーソリューションコンサルティング統括本部長)に聞いた。(編集部)

いつの時代も、ITはビジネスの仕組みを変えてきた

 企業が情報処理の用途でコンピュータの本格的な活用を開始したのは1960年代半ば。以来、今日に至るまで、情報処理技術(IT)の進化は、企業における業務のあり方、さらにはビジネスの仕組みそのものに大きな影響/変化をもたらしてきた。

 例えば1960年代、国内では多くの企業が大型汎用機を導入し、計算処理の合理化を図る。これにより、それまでは人手に頼る部分の多かった事務/電算処理の多くが自動化/高速化され、例えば銀行のオンライン・システムとして金流を司るなど、経済活動のインフラとしてITが大きな役割を果たすようになる。

 また、1980年代にPCが登場し、より安価かつ小型のコンピュータが手に入るようになると、業務の現場へのコンピュータの導入はさらに加速し、個々の従業員が行う文書作成や計算処理など、さまざまなオフィス業務がコンピュータ上で行われるようになる。その後、ノートPCが登場してモバイルでのPC利用が可能になると、業務へのITの浸透はさらに加速する。

 さらに、専用ネットワークの利用に始まり、広域ネットワーク網としてインターネットが登場すると、コンピュータ・ネットワーク上で地理的な制約を超えた社会/経済活動が活発化していく。

 ITの進化がビジネスに大きな変化をもたらした例としては、データ・ウェアハウス(DWH)も挙げられる。データベースに格納したデータの中から、事前に定めたルールに合致するデータを抽出/加工し、それらに対してさまざまな視点から分析を行うDWHは、ビジネスにおける情報の利活用を大きく前進させた。DWHの功績を、小守氏は次のように説明する。

日本オラクルでテクノロジー・コンサルタント組織を率いる小守雅年氏(執行役員 テクノロジーソリューションコンサルティング統括本部長)
 「DWHにより、企業は自社の業績や売り上げなどの経営管理情報を、週次や月次などのサイクルで確認し、経営層や現場部門などが適切な判断を下せるようになった。また、データをさまざまな角度から検討/分析することにより、売り上げの動向などに関して、それまでは明確に認識していなかった規則性などを、数値的な裏付けの下に発見し、それに応じた計画を立てることも可能になった」

 DWHは、ビジネスにおける高度な意思決定にITを活用した例だと言えよう。

 加えて、近年はスマートフォンに代表されるスマート・デバイスや各種センサー・デバイスの普及、そしてモバイル・ブロードバンドなど通信環境の拡充により、社会活動の大半がIT上で営まれるようになった。ITがビジネスに変化をもたらす可能性はますます拡大しているのだ。

ビジネスのルールを変える、圧倒的な性能の次世代システム基盤

 そして今、新たに登場してきたシステム基盤により、企業の情報活用、さらにはビジネスが大きく変わろうとしている。

 この動きを牽引しているのが、オラクルのデータベース・マシン「Oracle Exadata」に代表されるEngineered Systemsと呼ばれる次世代のシステム基盤である。

 オラクルが2008年に提供を開始したOracle Exadataは、先進のハードウェア技術で構成されたIAサーバ・マシン上にOracle Databaseを事前にインストールし、最大の性能が得られるよう最適化されて顧客の下に届けられる。

 「Oracle Exadataは、DRAMのほかに大容量のフラッシュ・メモリを搭載し、超高速なアクセスが可能な膨大なメモリ領域を実現している。これにデータベース圧縮技術を併用することで、実に260TB規模のデータベース・キャッシュを利用することが可能となっている。それによって実現される圧倒的な処理性能と処理スケールにより、従来とはケタ違いのスピード/規模のデータ処理を実現している点がOracle Exadataの最大の特徴だ」(小守氏)

小守氏はさらに、「Oracle Exadataはソフトウェアの観点でも、ストレージ・サーバへの処理のオフロードによるI/O量の削減、高速ネットワーク技術InfiniBand によるストレージI/Oにおけるボトルネックの解消、"X3 Heuristic Hierarchical Mass Memory"に よる、データのDRAM、フラッシュ、ディスク間での最適な配置、"Smart Flash Cache" 技術による書き込みの高速化など、最新のハードウェアだけでは実現できないデータベースの高速化や信頼性向上につながる技術を随所に盛り込んでいる。」と語る。


 オラクルは、このOracle ExadataをはじめとするEngineered Systemsのシステム基盤群を核に、企業における情報活用をさらに高度化するミドルウェア/アプリケーション群を取りそろえ、ビジネスの世界に大きな変化を引き起こそうとしているのである。

バッチからリアルタイムへ──次世代システム基盤で情報処理のスピードがここまで変わる

 それでは、Engineered Systemsと周辺ソフトウェア群により、企業における情報活用のあり方がどう変わる可能性があるのか? 情報(データ)が発生してから、それを処理するまでのプロセスが従来とどう変わるのかを見てみよう。

 まず、従来は次のような流れでデータの処理を行っていた。

図1:従来のデータ処理の流れ

 「このデータ処理の流れにおいて課題となっていたのは、①でデータが発生した後、それが④で利用可能となるまでに多くの時間がかかっていたことだ。特にボトルネックとなっていたのは、多くの時間がかかる③のデータ・クレンジング処理だった」(小守氏)

 これに対して、Oracle Exadataや周辺ソフトウェアを活用した場合の情報処理の流れは、次のようになる。

図2:Oracle Exadataや周辺ソフトウェアの活用で可能になる処理の流れ

 ご覧のとおり、データが発生した直後にクレンジングを行い、必要なデータだけをRDBMSに格納してすぐに利用可能な状態とするため、「データの発生から間を置かずして、選別の済んだデータを使ってリアルタイムに意思決定を行えるようになる」(小守氏)。この「リアルタイム性」が今、ビジネスの仕組み、あるいは常識に大きな変化をもたらそうとしているのだ。

圧倒的な情報処理スピードは、ビジネスをどう変えるのか?

 それでは、リアルタイムなデータ処理により、今後、ビジネスはどう変わる可能性があるのだろうか? 流通小売業における活用を例にとって考えてみよう。

 流通小売業では、季節などに応じて一時的に需要が高まる商品が多数存在する。例えば、春先になればお花見関連商品の需要が高まり、5月初旬になれば子供の日に関連した商品の需要が高まるといった具合だ。

 ここで、あるスーパーにおける在庫補充業務について考えてみたい。このスーパーでは従来、欠品に伴う在庫補充に際して、在庫確認を行うためのDWH処理に2時間、その後に追加発注の判断を下すために1時間、続く製造/流通の過程で2時間の計5時間を要していた。

 「一般に、スーパーにおいて需要の高い商品は、午後3時に売り切れてしまう。この時間帯は、主婦層の買い物による第1次ピークに当たるためだ。従来のデータ処理では、午後3時に商品が完売し、そのことを把握して商品を追加発注しても、それが店頭に到着するのは午後8時ごろとなり、会社帰りの顧客で賑わう夕方の買い物ラッシュ(第2次ピークの午後6時前後)には間に合わない。つまり、当日の追加販売の機会を逃してしまうわけだ」(小守氏)

 前述した花見関連商品などのように、まさに需要当日に必要とされる商品に関して、この機会損失の代償は少なくないだろう。

 これに対し、前掲の図2のようなデータ処理の仕組みを導入するとどうなるだろうか。

 「この場合、在庫状況をリアルタイムに把握できるため、DWH処理に要していた2時間分が圧縮され、追加発注分を店頭に並べるまでに要する時間は3時間となり、午後6時の第2次ピークにギリギリ間に合わせることができる」(小守氏)

 なお、POSと連携したデータが使える場合、「Oracle Event Processing(OEP)」のようなリアルタイムなイベント処理機構を利用することで、欠品が生じたら即座にアラートを出させて、速やかに追加発注につなげるといったことも可能になる。

 さらに、小売業であれば次のような活用も考えられる。

 小売業において、自社の売り上げに大きな影響を及ぼす優良顧客の重要性が指摘されるようになって久しい。

 「ある企業の統計によれば、その企業が扱う各商品の売り上げの実に8割が、全体の5~10%の優良顧客によって支えられていたという。そうであれば、これら優良顧客に最大限のサービスを提供し、彼らが他店に流れないように工夫しながら、同時に小売価格を適正にコントロールできれば、売り上げを最大化できるはずだ」(小守氏)

 例えば、優良顧客のつなぎ止め策のベースとして、まず個々の顧客を識別するためのポイント・カードを導入する。これを使って優良顧客を見つけ、彼らに対して特別な割引サービスを提供するためだ。

 「そのようにして優良顧客をつなぎとめたうえで、さらに個々の商品の需要傾向を分析し、需要が高まるタイミング、つまり商品が必ず売れるタイミングでは割引率を低くすることにより、利益率を高めるといったコントロールができるようになる」(小守氏)

 先の図2の仕組みを使えば、この割引率の変更、つまり価格変更は、それこそリアルタイムに行える。「この商品の売り上げがふるわず、在庫がだぶつくおそれがある」と判断したら、タイムセールなどによって即時に商品の割引率を高め、需要を刺激するといった施策もとれるわけだ。

 圧倒的な性能と処理スケールを備える次世代のシステム基盤が可能にするリアルタイムの情報処理は、このようにさまざまな業種でビジネスの仕組みを根本から変える可能性を秘めている。

 ただし、こうした先進的なデータ活用を行うためには、その基礎となるデータ・アーキテクチャの整備が不可欠となる。本シリーズでは次回、ビッグデータやアナリティクスなどの次世代情報活用において大前提となるデータ・アーキテクチャに焦点を当ててみたい。

Comments:

Post a Comment:
Comments are closed for this entry.
About

Twitter
Facebook

Search

Recent Posts
Archives
« 4月 2014
  
1
2
3
4
5
6
7
9
10
11
12
13
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
   
       
Today