SAPをもっと速く! “SAP on Exadata”の比類なきパフォーマンスが、企業にコスト削減と新たなイノベーションの機会をもたらす

多くの企業がSAP ERPのデータベース基盤としてOracle Databaseを活用する中、ここ最近増えているのが“SAP on Exadata”、すなわちオラクルの高速データベース・マシンであるOracle Exadata上にSAP環境を移行するというケースだ。ハードウェアとソフトウェアを融合したEngineered Systemsの“顔”とも言えるExadataだが、この超高速データベース基盤でSAPを稼働させることにより、企業はどのようなメリットが得られるのか? 2012年9月に開催されたセミナー「SAP on Oracle Exadata 活用事例セミナー」の内容を基に、Exadataがユーザーにもたらす価値を、海外事例も交えて紹介する。(五味明子)

データをビジネス価値に変えるスピードの速さがExadataの真骨頂

日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括の三澤智光氏
 セミナーでは、まず企業の基幹業務を支えるデータベース基盤としてのExadataの強みを、日本オラクルの三澤智光氏(専務執行役員 製品事業統括)が「超高速データベース統合基盤によるデータセントリック時代の競争力強化」と題したセッションの中で説明した。

 Exadataの最大の特徴は、そのパフォーマンスの高さにあるが、そもそも、なぜパフォーマンスが重要なのか? これについて、三澤氏は次のように説明する。

 「10年前と比較して、今日では企業が扱うデータの量がケタ違いに増えている。我々ITベンダーの仕事は、それらのデータをいち早くビジネス価値に変えることだ。データが増えればその分、価値に変えるまでの時間がかかるが、時間がかかればかかるほど、データのビジネス価値は損なわれていく」

 そうした中、企業にとってのExadataの存在価値は、「どんなにデータが増えても、価値に変えるまでの時間を最短にできる高速性にある」と断言する。

 Exadataはハードウェアとソフトウェアをデータベース処理に最適化したかたちで提供するため、しばしば“アプライアンス”と表現されるが、三澤氏は「Exadataは一般的なアプライアンスとは違う」と強調する。米国オラクルのラリー・エリソンCEOが課した「最も速くて、最も安いコンピュータを開発せよ」という要求に沿って、最高のパフォーマンスを得られるように最適化を図ったデータベース・マシンがExadataであり、単にハードウェアとソフトウェアを一体化させただけのアプライアンスとは似て非なるものだからだ。また、Exadataはオープンなアーキテクチャで構成されており、その点でもブラック・ボックスなイメージの強いアプライアンス製品とは一線を画している。

 三澤氏は、このExadataに代表されるオラクルのEngineered Systemsを支えるコンセプトとして、「シンプル」と「イノベーション」の2つを挙げる。

 「データベースを動かすだけなのに、複雑でいびつな構成のシステムが多すぎる。サーバ、ストレージ、スイッチ、ネットワークなど、すべてがバラバラに作られたコンポーネントを組み合わせるだけでは、今日の企業が求める高速性は実現できない」(三澤氏)

 この複雑性は、ユーザーに対して余計なチューニングの手間や運用の負担も強いている。現在のコンピュータには、「キーをひねればエンジンがかかるクルマのように、箱から出してスイッチを押せばすぐに使えるシンプルさが必要」(三澤氏)であり、それを体現したものがEngineered Systemsだというわけだ。

 ただし、シンプルさを追求するだけのITでは、今日の企業経営に貢献することはできない。三澤氏は、「イノベーションを生み出すITとは、人体に例えれば、頭の回転に手足の動きがピタリと付いてくるようなシステムを指す。現在のコンピュータは、CPUは10年前の100倍以上の速さに進化しているのに、ハードディスクの回転数は1.2倍程度。サーバとストレージをつなぐネットワークも遅いままであり、これがデータベースのパフォーマンスにおいて重大なボトルネックになっている」と指摘する。

 このゆがみを解決し、圧倒的な高速性を実現すれば、データがビジネス価値に変わるスピードが速まり、それがイノベーションを生み出す力となる。そのためには、最小限のリソースから高い処理性能を引き出すアーキテクチャが必須であり、ハードウェアだけでなくソフトウェアも同時に最適化する必要がある。「イノベーションを阻害するいびつなシステムを正しい姿に戻す」――これがEngineered Systemsの目指すところなのだ。

 それでは、Exadataにはデータベース高速化のためにどのようなアーキテクチャが実装されているのか。三澤氏はそのいくつかを紹介した。

●Smart Scan + InfiniBand:ストレージ層にソフトウェアを組み込み、不必要なデータ読み取りを最小化してディスクI/OやCPU負荷の軽減するとともに、ネットワーク帯域幅を節約。サーバとストレージの接続には高速なInfiniBandを採用し、ボトルネックを解消する。汎用のRDBが苦手とする大量のバッチ処理や全件ソートも高速に行う

●Smart Flash Log:フラッシュ・メモリとハードディスクの両方に同時に書き込みを行い、早く終了したほうを採用することによってOLTP処理を常に高速実行

●Hybrid Columnar Compression:Oracle Database 10gR2以降に搭載されているデータ圧縮機能であり、OLTP処理なら約3分の1、DWH処理なら約10分の1にまでストレージ使用量を圧縮可能。アーカイブ機能を使えば50倍以上の圧縮も可能であり、業務のトレーサビリティ向上やコンプライアンス対応のためのデータ保管に有効

●AES-NI + Advanced Security Option:シリコン・チップ内で高速にデータの暗号化/復号化を行う。これまで非現実的とされたきたデータベースの暗号化を可能にする

 最初のリリースから約3年が経過したExadataだが、国内における導入実績も順調に増えている。三澤氏は講演の最後に、直近の主な導入例として、みずほフィナンシャルグループ、アサヒグループホールディングス、ファンケルの事例を紹介した。いずれの企業も、Exadataの高いパフォーマンスにより、データをいち早くビジネス価値に変えることに成功している。

“SAP on Exadata”の高速性と可用性がユーザーにもたらすメリットとは?

日本オラクル テクノロジー製品推進本部 シニアプロダクトラインマネジャーの岩崎護氏氏
 三澤氏に続いては、日本オラクル 製品戦略統括本部の岩崎護氏(テクノロジー製品推進本部 シニアプロダクトラインマネジャー)が、「SAP on Oracle Exadata - 最新情報と顧客事例のご紹介」と題して講演を行った。岩崎氏はExadataが登場する以前からSAPとのアライアンスを担当してきており、「Oracle Database+SAP ERP」に関しては国内屈指のエキスパートでもある。

 岩崎氏は、「SAPをExadata上で動かしたいというお客様は日に日に増えている」と明かす。現在、SAPユーザーの約6割がデータベースとしてOracle Databaseを採用しているが、Exadataの高速性についての評判が高まるにつれ、Exadataへの移行を検討する企業が増えているのだという。

 SAPユーザーも高い関心を寄せるExadataの高速性は、サーバ、ストレージ、ネットワークという3つの要素がオープンでコモデティな技術を使いながらも、高いレベルで統合されていることに大きな理由がある。特にサーバとストレージをInfiniBandで接続することにより、Ethernetよりもはるかに高速な40Gb/秒を実現している点がポイントだ。

 

 また、「ハードウェアとソフトウェアの徹底した並列化」も挙げられる。Exadataの高いパフォーマンスは、この並列処理によるところが大きい。例えば、ストレージでの並列処理を可能にするSmartScanや、ランダムI/Oを最大で約30倍まで高速化するSmartPCI Flash Casheなどがそれである。

 もう1つ、SAPのような基幹業務を担うシステムで重要となるのが「可用性」である。岩崎氏は、「Exadataはすべてのコンポーネントで冗長構成をとっており、“止まらないデータベース”を文字どおり実現できる」と強調する。また、Exadataをオラクルの他の製品と組み合わせることにより、オラクルが提唱する高可用システムのためのアーキテクチャ「Oracle Maximum Availability Architecture(Oracle MAA) for Exadata」に沿った可用性向上も実現できる。

 Oracle MAAを構成する要素の中でも、SAPユーザーにとって特に興味深いものとして、データ・バックアップのための「Exadata Storage Expansion Rack」、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースを常に同期させながら運用できる「Oracle Active Data Guard」が挙げられる。

 Exapansion Rackは、Exadataのストレージ領域を拡張する製品だ。データベース・サーバは搭載せず、ストレージ・サーバだけを搭載しており、Oracle Databaseの追加ライセンスを取得することなく利用できる。データベース・バックアップやアーカイブ・データ、画像/映像など非構造化データの保存に最適だと言える。圧縮を効果的に行えば最大で10PBまでのデータを格納可能だ。

 一方、Active Data Guardは、遊休リソースになりがちなスタンバイ・サイトを常にプライマリ・サイトと同期させ、文字どおりアクティブに利用する機能を提供する。岩崎氏がSAPユーザーに特に推奨するのが、破損データ・ブロックの自動修復機能である。これはプライマリ・サイトでデータ・ブロックの破損が検知された際、自動的にスタンバイ・サイトに正常なブロックの転送をリクエストしてリカバリするという機能で、現在は金融機関を中心に採用が進んでいるという。

 ここで岩崎氏は、改めてSAPユーザーがデータベースに求める要件として次の6つを挙げ、「現在、これらを完璧なかたちで満たせるものは、Exadataのほかにはない」と強調した。

●パフォーマンス/拡張性
●柔軟なプラットフォーム選択
●高可用性/高信頼性
●大規模データベース
●データベースセキュリティ
●データベース管理/自働化

 Exadataは2011年6月にSAPより正式に認定を受けており、1つのプラットフォーム上で「SAP ERP 6.0」、「SAP BW 7.0」、「データベース統合」という異なるワークロードを同時にこなし、なおかつ開発環境も担うことができる。

 このようにExadataがSAPユーザーにもたらすメリットを紹介した岩崎氏は、最後に海外の4件の“SAP on Exadata”事例を紹介した。

 欧州を中心に30カ国以上で文房具/オフィス用品ビジネスを展開するB2B企業、フランスのリレコは、ハードウェア更新のタイミングでExadataに移行。OLTPで6,000同時ユーザー時に0.9秒以下のレスポンスを実現し、バッチ処理は11時間30分から3時間45分にまで短縮した。これにより、従来はシステムの制約から2週間に1度しか行えなかった請求書の発行を毎日行えるようになるなど、業務を大幅に改善することに成功した。

 世界最大の商品取引商社であるスイスのグレンコアは、半年あまりで既存のSAPシステムをExadata上に移行。従来は一晩かかっていたレポーティング処理を1時間にまで短縮したほか、IT運用のシンプル化によってIT要員配置の最適化も実現したという。

 自動車部品メーカーのフエニックス・コンタクトの場合、Exadata納品後、1カ月あまりでデータベース基盤が稼働を開始、その1か月後にはSAP BIおよびSAP CRMの本稼働が始まった。また、SAP BWを移行する際には特別なチューニングをまったく行わなかったが、従来37分間かかっていたクエリ処理が2分間に短縮するなど、劇的なパフォーマンス向上に成功している。

 そして、ブラジルのある電力会社では、SAP BWの高速化を図るために、SAP HANAと比較した結果、Exadataを選択。当時約13TBのデータを抱えていた同社は、ストレージ・コストの削減を切望していた。Exadata導入後は、クエリ処理が約25倍、データのロード処理が約10倍に高速化し、バックアップ・サイズは5分の1に圧縮。バックアップ時間も10分の1に短縮し、ストレージ使用量もHybrid Columnar機能によって4分の1にまで削減できたという。

 これらの事例に共通しているのは、Exadataの導入によって想定以上のパフォーマンスが得られ、ビジネスにも大きな変化が起きたということである。“SAP on Exadata”がもたらすシンプルさと圧倒的なパフォーマンスは今、世界中の企業に新たなイノベーションのチャンスをもたらしているのだ。


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