企業のクラウド導入、理想のロードマップは? すべての形態に対応したオラクルの包括的クラウド・ソリューション群

「企業がクラウドの導入を検討する際には、単純にパブリックかプライベートかで判断するのではなく、『事業環境の変化に柔軟に対応しながら継続的に使い続けられるかどうか』という視点で考えるべきだ」――こう説くのは、米国オラクル・コーポレーション プロダクト・マーケティング担当グループでバイスプレジデントを務めるロバート・シンプ氏だ。2012年4月に開催されたOracle OpenWorld Tokyo 2012のセッション「Roadmap to Enterprise Cloud Computing - エンタープライズ・クラウドの実現に向けて」においてシンプ氏は、企業にとって理想的かつ現実的なクラウド導入のロードマップを語った。同セッションの内容を基に、その要旨と、エンタープライズ・クラウドの実現を支えるオラクルのソリューション群を紹介しよう。

■まずはコンソリデーションから始め、さらにクラウドへ

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Oracle OpenWorld Tokyo 2012で講演を行った米国オラクル・コーポレーション プロダクト・マーケティング担当グループ バイスプレジデントのロバート・シンプ氏
ご存じのとおり、クラウドには、その導入の仕方やサービスの種類、利用スタイルのそれぞれに関して複数の形態がある。また、それらの形態を組み合わせた選択肢もさまざまなものが存在する。

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 例えば、導入の仕方については、自社で専有するプライベート・クラウド、複数企業で共同利用するパブリック・クラウドのほかに、両者の混合となるハイブリッド・クラウドが存在する。

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 利用スタイルに関しても、主にインフラ系のITプロフェッショナルが使うIaaS、開発者が利用するPaaS、ビジネス・ユーザーが利用するSaaSといった具合に、さまざまな形態がある。

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 こうしたクラウドの多様な形態をすべてカバーし、包括的なクラウド・サービス・プロバイダーとして無二のポジションを築いているのがオラクルだ。シンプ氏は、オラクルが提供するクラウド・ソリューションのメリットとして「あらゆる運用形態で、企業が望むどのようなサービス・レベルでも提供できる」ことを強調し、「現在、ここまで包括的なメニューを取り揃えているのはオラクルだけだ」と断言する。

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 それでは、そうした豊富なメニューの中から、企業は何を選び、どのようにして自社に導入していけばよいのだろうか?

 現在、多くの企業では“業務システムのサイロ化”が進行しており、これがIT担当者を悩ませている。大抵の業務システムではサーバ単位でビジネス・プロセスを管理しており、例えば顧客管理サーバ、人事管理サーバ、経理サーバといった具合に「ビジネス・プロセスの数だけサーバが存在する」(シンプ氏)という状況に陥っている。

 サイロ化による最大の問題点は、サーバの数が増えれば増えるほど企業システム全体としての複雑性が増し、それが運用負荷やコストに大きく跳ね返ってくることだ。社内に乱立する業務サーバの数が1,000台を超える企業も珍しくなく、その状態を放置すればサーバの統合はさらに難しくなるだろう。

 こうした状況に置かれた企業に対し、オラクルではまずアセスメントを実施し、最初はリソースの共通基盤化を軸にしてシステム・コンソリデーションを行うことを推奨している。

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 「アプリケーション・インスタンスの数を極力減らし、リソースの一元化を図ることで、セルフサービス・モデルを利用することが可能になる」とシンプ氏。コストを考慮して最初からパブリック・クラウドの導入を検討する企業も少なくないが、まずはコンソリデーションを進め、プライベート・クラウドとパブリック・クラウドに置くデータの分類を行うべしというのがオラクルの見解である。

 「財務データやビジネスのコアとなるようなデータ、例えば製造プロセスに関するデータなどは、プライベート・クラウド上に置くべきだろう。一方で、CRMや営業情報など、重要ではあるが損失の影響が必ずしも致命的ではないデータはパブリック・クラウド上に置いてコストを抑えるのが効果的だ」(シンプ氏)

 それでは、エンタープライズ・クラウドへの第一歩となるコンソリデーションは、どのレベル(OSレベル、サーバ・レベル、アプリケーション・レベルなど)で行うのが効果的だろうか。シンプ氏は、「コンソリデーションにおけるアーキテクチャの選択は非常に重要だ」と前置きしたうえで、「インフラ・レベルのコンソリデーションでは不十分だ。プラットフォーム(PaaS)レベルで統合を図るべきだろう」と主張する。インフラ・レベルのコンソリデーションではサイロ状態を完全に解消するのは難しく、それに伴う弊害も残ったままとなってしまうからである。

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 このフェーズで次に重要となるステップは、サーバ仮想化とクラスタリングである。どちらもクラウドのリソース・プールを有効に活用し、スケーラブルなクラウド環境を実現するうえで不可欠な技術だ。シンプ氏はここで、「クラウド環境の構築に際しては、サーバ仮想化とクラスタリングの両方を行えるソリューションを選ぶべきだ。ここで妥協してしまうと、クラウド環境の柔軟性が損なわれてしまう」と注意を喚起する。こうした考えの下、オラクルはサーバ仮想化に関して下図に示すように幅広いオプションを用意している。

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 これらのうち、ゾーン・モデルではOSのコピーが1つだけとなり、アプリケーションは単一のプラットフォーム上で動作させることが可能だ。仮想化によるオーバーヘッドも小さくて済む。また、セキュリティを厳格にしたい場合には「ダイナミック・ドメインが適している」(シンプ氏)という。さらに、ハイパーバイザ・モデルでは、x86でもSPARCでも、1つのハードウェア上で複数のOSインスタンスを動作させることが可能になる。これらのうち、どれを選択するかは、「アーキテクチャにどこまで柔軟性を持たせるかによって決めればよい」とシンプ氏は説明する。

 クラスタリングに関しても、スケールアウトに必要なオプションを幅広く提供している。「Oracle Real Application Clusters(RAC)」がその代表例だ。

 「システムの各スタック間で何も共有しないというアプローチもあるが、Oracle Databaseはどのスタックでも必ず必要になる。それらのスタック全般で共有可能なクラスタリング・オプションを提供できることもオラクルの大きな特徴だ」(シンプ氏)

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■クラウド基盤としてのエンジニアド・システム

 クラウドの物理的な環境はどうすればよいだろうか? オラクルはこの課題に対し、「物理インフラはできるだけシンプルであるべき」という考えの下、ソフトウェアとハードウェアを融合した「エンジニアド・システム(Engineered Systems)」の導入を推奨している。その代表的ソリューションが「Oracle Exadata」、「Oracle Exalogic」、「Oracle SPARC SuperCluster」などである。いずれも導入が簡単で管理が容易であり、スケールアウトしやすく、高い処理性能を備えている点を特徴とする。ソフトウェアとハードウェアがデータベース処理やアプリケーション処理に最適化されているので、それぞれの領域で比類のない性能とコスト・パフォーマンスを発揮する。

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 ただし、こうした垂直統合的のエンジニアド・システムを推奨する一方で、オラクルは企業が自ら設計/インテグレーションを行い、ベスト・オブ・ブリードなシステムを構築するための選択肢も用意している。そのうえで、各社がどのようなクラウド・インフラを構築した場合でも、それらを一元的に管理することのできる統合管理ツールとして「Oracle Enterprise Manager 12c」を提供する(「12c」の「c」は「Cloud」を意味する)。

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 実はオラクル自身も、このOracle Enterprise Managerを用いて大規模なクラウド環境の管理を実践している。その一例が、各種ソフトウェア製品を開発/テストするために同社が利用しているセルフサービス型のプライベート・クラウド(IaaS)である。これは世界中に分散する約4,000名の開発者が開発/テストに利用しているもので、2,600台以上の物理サーバ、1万以上の仮想サーバで構成される。それぞれの開発チームの要求に応じ、Oracle Enterprise Managerで動的にリソースを割り振ることで、従来は数週間を要していた開発/テスト環境の準備を1時間程度で完了させられるようになった。クラウド環境の管理も、以前は12名で行っていたが、現在はわずか1名で行っているという。

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■企業の成長に応じてあらゆるクラウド環境を提供

 以上に見てきたように、オラクルは現在、さまざまなクラウド・ソリューションを用意しており、それらを企業のニーズに応じて自在に組み合わせて使うことを可能にしている。

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 それらの中で、シンプ氏が改めて強調したのが「Oracle Fusion Applications」の存在だ。Oracle Fusion Applicationsは初めからオンプレミスでもSaaSでも利用できるように設計されており、どう使うかは各企業が自由に決めることができる。

 「すべてのアプリケーションが業界標準であり、オンプレミスだけでなく、プライベートでもパブリックでも、あるいはハイブリッドでも、どのようなクラウド環境でも利用できる。拡張性も高く、事業の成長に合わせて柔軟にスケールさせられる点も特徴だ」(シンプ氏)

 また、オラクルは今後、従来から提供している「Oracle OnDemandサービス」に加えて、オラクル自身が提供するパブリック・クラウド・サービス「Oracle Public Cloud」にも注力していく。特に「Oracle Javaクラウドサービス」や「Oracle Databaseクラウドサービス」といったPaaSへの取り組みは、すでに多くの企業の関心を集めているようだ。

 なお、オラクルでは、個々の企業の事情に応じたロードマップの策定から標準化、コンソリデーション、自動化、最適化といったクラウドのライフサイクルに応じたコンサルティング・サービスも実施している。

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 セッションの中で度々「オラクルのクラウドはユニーク」と強調したシンプ氏。単純にパブリックかプライベートかでクラウドを選ぶのではなく、ビジネスの成長に合わせて最適なソリューションに乗り換えていく、あるいはビジネス環境が変化したら、それに応じてクラウド環境も変える。企業の事情に応じて最適なソリューションを選べる豊富な選択肢を提供していることがオラクルの最大の強みであり、ユーザー企業が最も必要とする価値でもあるのだ。

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