「Oracle Cloudを通して最高品質のエンタープライズ・ソリューションを届ける」──トーマス・クリアンが語るオラクルの新たなクラウド戦略

2012年9月30日から10月4日(米国時間)の5日間にわたって米国サンフランシスコで開催された開催されたオラクルの年次カンファレンス「Oracle OpenWorld 2012」では、インメモリ・マシンとして生まれ変わった「Oracle Exadata X3」や、クラウドのためのデータベースとして進化した「Oracle Database 12c」など、数々の新製品や新サービスが発表された。これらの新製品はいずれも、OpenWorld 2012でオラクルが強調したクラウドへの注力を象徴する存在である。ここでは、米国オラクルのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、トーマス・クリアン氏による基調講演で明らかにされたオラクルのクラウド戦略にフォーカスしてみたい。(五味明子)

Oracle Cloudが他に優る5つの側面

オラクルのクラウド戦略を示す基調講演を行った米国オラクルのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、トーマス・クリアン氏
 OpenWorld初日の基調講演では、CEOのラリー・エリソン氏がIaaS市場への参入を正式に表明した。これにより、オラクルはクラウド・プロバイダーとしてSaaS、PaaS、IaaSという3つの領域をカバーすることになる。クリアン氏は、これらのパブリック・クラウド・サービスを総称して「Oracle Cloud」と表現し、Oracle Cloudが次の5つの面で優れていることを強調した。

  • 完全性(Complete):広範なビジネス・アプリケーション・スイートを提供
  • オープン(Open):標準技術をベースにしており、ベンダー・ロックインを回避
  • 統合性(Integrated):PaaS、SaaS、ソーシャルを1つに統合
  • アーキテクチャ(Architecture):ダンなエンタープライズ・プライベート・クラウドと同じ使用感
  • ベネフィット(Benefits):より速く、より低価格で、さらにより低いリスクで提供

 特に注目したいのは、3つ目のPaaS、SaaS、そしてソーシャルの統合だ。オラクルは、OpenWorld 2012のテーマの1つとしてソーシャルの重要性を強く訴えており、Fusion Applicationsに関しても、すべてのアプリケーションでソーシャル機能を統合可能にしたことを発表している。加えて、クラウド・ストレージおよびメッセージング機能の提供、開発環境の拡充など、クラウド・アプリケーション開発のエコシステムの構築にも力を入れている。

Oracle Databaseをクラウドで使えるStorage Cloudも登場

 また基調講演の中で、クリアン氏は新たに次の7つのPaaSメニューを発表している。

  • Oracle Planning and Budgeting
  • Oracle Financial Reporting
  • Data and Insight
  • Social Sites
  • Developer Cloud
  • Storage Cloud
  • Messaging Cloud

 これらはまだプレビュー段階にあるが、今から注目したい環境だ。なかでもクリアン氏が開発者にメリットをもたらすサービスとして強調したのが、Storage Cloud、Developer Cloud、Messaging Cloudである。

 Storage Cloudとは、その名のとおりストレージ・サービスであり、クラウド上にデータをストアする環境が提供される。高速性と信頼性を謳うオブジェクト・ストレージ環境で、REST APIをサポートしている点が特徴だ。

 Developer Cloudは、開発者やプロジェクト・チームの活動を支援するプラットフォームで、ライフサイクル・マネジメントやアジャイル開発を推進するツールなどが提供される。

 そしてMessaging Cloudは、非同期メッセージングやキューイング、ノーティフィケーションといった機能をOracle Cloud上のアプリケーションが使えるようにするものである。

 これらのサービスは、すでに提供が開始されているOracle Cloud Platform Services 上のJavaサービスやデータベース・サービスとともに利用することができる。

 「例えば、Javaサービスでは、クラウド上でWebLogicコンソールを利用でき、開発環境もJDeveloper、Eclipse、NetBeansから選択できる。もちろん、あらゆるJavaアプリケーションを動作させることが可能だ。

 一方、Oracle Databaseをクラウド上で利用できるデータベース・サービスでは、インタフェースをAPEX、SQL、PL/SQL、Java、REST APIから選択できる。データ、スキーマ、テーブル・スペースのいずれも分離しているので、セキュリティも十分に保たれる」(クリアン氏)

 いずれのサービスもセルフマネジメント機能を備えており、使いやすさも申し分ないとクリアン氏は強調。実際にこれらのサービスを利用しているシーメンスの幹部の「まるでローカルにあるような使いやすさだ。性能も十分で、Oracle Databaseの使い勝手もオンプレミスと何ら変わらず、ライセンス単価も同じだ」というコメントを紹介した。オンプレミス環境で定評のあるデータベース環境、Java EE環境と同じものを使える点はOracle Cloudの大きな魅力の1つだろう。

ソーシャルのパワーをクラウドに統合する

 拡充されたクラウド・メニューに関して、クリアン氏が基調講演の中で特に強調したのは、ソーシャルと、それに関連するCRMの強化だ。エンタープライズ・アプリケーションの中でも、ソーシャルとの組み合わせによる効果が想像しやすいのがCRMである。ソーシャル機能をCRMにうまく組み込んで活用できれば、既存顧客への対応を手厚くするのはもちろんのこと、見込み客の獲得やブランド・イメージの向上で高い効果を上げられる可能性が高まる。クリアン氏は、「Facebookで自社サイトに“いいね!”をしてくれたユーザーは、その瞬間から見込み客に変わる」と語り、ソーシャルにおけるユーザーの細かな反応をCRMにひも付けることの重要性を説いた。

 「ソーシャル・プラットフォームは、今や単なるマーケティング・ツールではない。ビジネス・プロセスのあり方すら大きく変える力を持っている」(クリアン氏)

 またクリアン氏は、ソーシャル・マネジメントのポイントとして、「Facebook、Twitter、mixiなど複数のソーシャル・メディア・チャネルを管理できるようにプラットフォームに組み込み、顧客だけでなく見込み客、パートナー、そしてインフルエンサーの動向に注目すること」、さらには「そうしたチャネルを通して適切なインタラクションを行うこと」を挙げた。

 「ソーシャルは顧客との間をつなぐプライベート・チャネルとしても機能する。適切なインタラクションは、苦情をぶつけてきたユーザーをファンに変える力を持っている」(クリアン氏)

 アプリケーションにソーシャル機能を追加し、強化するための製品として、オラクルは今回、新たに「Social Data Insight」と「Social Site」の2製品を発表し、ポートフォリオの拡充を図っている。

オラクルのソーシャル・マネジメント製品のラインナップ


 最後にクリアン氏は、「我々のクラウド・ミッションは非常にシンプルだ。それは、データベースやミドルウェアなど、オラクルが持つ最高品質のエンタープライズ・ソリューションをOracle Cloudを通して顧客に提供することにほかならない」と語り、オンプレミスと同様、もしくはそれ以上のクラウドならではの価値を届けるべく、クラウド対応により注力していく姿勢を鮮明にした。

「Oracle CloudWorld」を世界各都市で開催。東京でも2013年4月に開催予定

 2013年4月、オラクルのクラウド・ソリューションの全容を一挙に紹介するワールド・ツアーの一環として、都内で「Oracle CloudWorld」を開催する予定です。イベントのご案内は下記サイトなどで順次掲載して参ります。続報を今しばらくお待ちください。

CloudWorldイベント・サイト


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