ビッグデータ時代を支えるオラクルのBIソリューション──その戦略とロードマップ

「今日、企業幹部の3分の2は、自社内にあるデータからインテリジェンスを引き出すことが極めて重要だと考えている。しかし、10人中9人はそれがうまくできているとは思っておらず、情報を活用できていないことが売り上げの損失にもつながっていると考えている」と説明するのは、米国オラクルでビジネス・インテリジェンス プロダクトマネジメント担当バイス・プレジデントを務めるポール・ロドウィック氏だ。2012年10月に都内で開催された「Oracle Days Tokyo 2012」における氏のセッションから、オラクルのビジネス・アナリティクス製品の戦略とロードマップを紹介しよう。(沙倉芽生)

オラクルはどのようなデータにも対応できるBI/EPMソリューションを提供する

米国オラクル ビジネス・インテリジェンス プロダクトマネジメント担当バイス・プレジデントのポール・ロドウィック氏
 セッションの中でロドウィック氏がまず明らかにしたのは、2007年のハイペリオン・ソリューションズ買収以降のオラクルのBusiness Intelligence(BI)およびEnterprise Performance Management(EPM)戦略である。その戦略とは、「BIやEPMに関するすべてのニーズを満たすために、単一で統合されたテクノロジー・レイヤを持ち、さらにそれを統合された最善の技術と組み合わせていくこと」(ロドウィック氏)であった。

 また、昨今の企業は分析対象とすべきさまざまなデータを多様なかたちで抱えているため、どのようなタイプのデータにも対応できること、さらに企業が自らソリューションを構築するための技術を提供していくだけでなく、事前に構築された価値の高いBIアプリケーションの提供も行っていく。

 こうした戦略に基づいてオラクルが投資を進めてきた分野は、4つの柱にまとめることができる。

 「1つ目の投資分野は、『すべてのデータ、すべてのソース』という言葉で表すことができる。オラクルの製品は、すでに構造化データを幅広くカバーしてるが、近年は非構造化/準構造化データなどのビッグデータの重要性が増しているので、今後はその領域もカバーすべく製品を拡充する。

 2つ目は、さまざまな種類の分析機能を持つことだ。過去5、6年にわたり、オラクルはOracle Business Intelligence 11gにビジュアル分析などさまざまな新機能を追加してきたが、今後は非構造化/準構造化データの分析機能も追加していく。

 3つ目は統合型の分析アプリケーションであり、BI/EPMアプリケーションのポートフォリオを継続的に拡大していく。今後は、より幅広い機能と、深く価値のあるビジネス分析機能を提供していきたい。

 4つ目は、ユーザーがいかにして情報を展開し、どのような方法で情報を消費するのかを考えることだ。つまり、オンプレミスだけでなくクラウドにも対応し、さまざまなデバイスで情報にアクセスできる仕組みが大切になる」(ロドウィック氏)

 なお、ロドウィック氏によれば、分析用ソフトウェアに関するこうした戦略は、すでに同社のEngineered Systemsではサポートされているという。

BI統合製品「Oracle BI Foundation Suite」ではモバイル対応、Office連携を強化

 それでは、実際にオラクルのビジネス・アナリティクス戦略を支えるソリューションやテクノロジーにはどのようなものがあるのか? ロドウィック氏が最初に取り上げたのは、「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」だ。このスイート製品には、レポーティングやダッシュボード、アドホック分析、多次元OLAP、スコアカード、予測分析などの多様な機能が統合されている。

 同製品の今後のロードマップについてロドウィック氏は、「最近強化しているのは、ユーザー・エクスペリエンスやビジュアライゼーションの改善で、これは今後も継続していく。また、モバイル向けの『Oracle BI Mobile』の開発も強化する。さらに、単にエンドユーザーに向けた機能だけでなく、開発者の生産性向上も視野に入れ、クラウド経由での実装も実現して、さらなるTCOの改善を図りたい」と語る。

 加えて、Microsoft Office製品への対応も強化するという。現在はOracle BI Officeプラグインを使ってOffice製品とOracle BI間を連携させているが、次期Oracle BIでは「Smart View」と呼ばれるHyperion EPMと共通のOffice用アドインがプレミア・オプションとして提供される予定であり、Officeドキュメントのネーティブ書式がサポートされる。

 モバイル対応については、Oracle BI MobileでiPadをサポートしたことをアピールしたうえで、「Oracle BI Foundation上に構築したアプリケーションは、追加の開発作業を行うことなくiPad上にも展開できるようになる」と説明。将来的には、機能別、目的別に構築されたモバイル・アプリケーションが導入される予定であり、さまざまなフォーム・ファクターにも対応するという。

iPad上に表示されたOracle BI Mobileの画面

データ分析用Engineered Systems「Oracle Exalytics」でインメモリによる高速な分析処理を実現

 次にロドウィック氏が紹介したのは、インメモリ型データ分析アプライアンスの「Oracle Exalytics In-Memory Machine」である。「BIで大量の分析を行おうとするとき、これまではメモリがボトルネックになっていた。インメモリ技術を使えば高速な分析が可能であり、密度の高いデータ可視化を実現できる」とロドウィック氏。

 先ごろ米国サンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2012」で発表されたばかりのOracle Exalyticsだが、「他のEngineered Systemsよりも早いペースで採用が進んでいる」とロドウィック氏は語る。例えば、メディア企業のトムソン・ロイターがExalyticsを導入し、最大100倍のパフォーマンス改善を果たしたことや、13万人以上の生徒を抱えるカリフォルニア州の教育機関がExalyticsを導入し、生徒の出席状況などのトラッキングを行って出席率を向上、年間225万ドルもの基金増収に成功した事例などを紹介した。

 オラクルは今後もOracle Exalyticsへの積極的な投資を行う予定であり、データ・ディスカバリやシナリオ・モデリングなど、より幅広い分析機能の追加のほか、インメモリで各種オペレーション・データをリアルタイムに活用できるようにすること、インメモリ能力をさらに強化し、パフォーマンスを高めることなどが計画されている。

データ分析ツール「Oracle Endeca Information Discovery」で構造化データと非構造化/準構造化データを組み合わせた多様なデータ分析を可能に

 一方、「Oracle Endeca Information Discovery」は、オラクルが2011年10月に買収を発表したエンデカ・テクノロジーズ社の製品をベースにしたビッグデータ分析ツールだ。構造化されたデータだけでなく、準構造化データや非構造化データにも対応しており、「RDBに格納された顧客情報などの非構造化データを、ソーシャル・メディアなどの準構造化データと組み合わせて活用することができる」(ロドウィック氏)という。

 「例えば、製品のリコールを避けるために、データ・ウェアハウス内にある売り上げや部品コストなどの構造化データと、これまでは分析対象にしていなかったERP内の各種テキスト情報や、FacebookやTwitterといったソーシャル・メディア上のデータを組み合わせて分析したいとする。Endeca Information Discoveryは、データソースを問わず、高速かつ直感的にデータ検索や分析が行えるので、それらの情報をすべて統合し、リコールを避けたい特定の製品が顧客にどう思われているのか、どうすればリコールを回避できるのかを分析することができる」(ロドウィック氏)

 なお、Endeca Information Discoveryでは今後、Oracle E-Business Suite向けの新製品が登場する予定だ。同製品を使うことにより、「例えば、Oracle iProcurementで新たな検索体験ができるようになる」(ロドウィック氏)という。


包括的なBIソリューション「Oracle Business Intelligence Applications」

 ロドウィック氏が最後に紹介したのは、事前に構築された包括的なBIソリューション「Oracle Business Intelligence Applications」だ。Oracle BI Applicationsには、Oracle E-Business SuiteやPeopleSoft、JD Edwardsなどのオラクル製品のみならず、SAPなどのサードパーティ製品にも対応した分析ソリューションが用意されている。

 また、「事前構築型のため、TCOの削減やリスク低減にもつながる。このタイプの分析アプリケーションを導入する傾向は高まってきており、将来的には主要な位置づけを占めるだろう」とロドウィック氏は説明する。

 Oracle BI Applicationsの今後のロードマップについてロドウィック氏は次のように語った。

 「これまではポートフォリオを拡大することに重きを置いていたが、今後は製品が生み出すビジネス価値をより高めることにも力を入れる。例えば、非構造化/準構造化データなどの新たなデータを扱う機能や、予測分析機能などの強化を予定している」(ロドウィック氏)

 また、現在はOracle BI Applicationsのユーザー・エクスペリエンスの改善に取り組んでいるという。先ごろ、同社が「Oracle Project Analytics」を使って検証を行った結果、多くのユーザーはモデルが包括的で、操作が自然に流れ、対話型であることを好む傾向があることが判明した。こうした要素をまずはProject Analyticsで導入し、その後は他のBI Applicationsにも取り入れていく計画だ。

 このように、オラクルは現在、企業が多様なデータを有効に活用し、的確な意思決定を行っていくための基盤/応用製品として、BI/EPM製品の拡充を急ピッチで進めている。今後も次々に登場するソリューションの動向に注目していただきたい。

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