その後、台風8号「モーラコット」 は 台湾海峡 をゆっくりと横断し、8月10日未明に中国沿岸部の 福建省 に上陸。
辺りは暴風圏となりエアポートは終日閉鎖、 そのため 当日の貨物機は全て運航中止となりました。
A社 輸送部門の責任者 " ミスター・ロジ " はその事態を想定し、すでに別のアクションを実施していました。
A社チームが取り組んだ ロジスティクス作戦" "モーラコット対策" をご紹介します。
(A社のビジネスモデルは、BTO と呼ばれる 受注生産方式です)。

■ 全体戦略
1.納期が第一優先
チームの任務は、納期に遅延なく、お客さまにご注文の品をお届けすることです。 作戦の概要は次の如くです:
◇既存の注文は、
・ "納期指定あり"と "納期指定なし" に大別し、更にその中で取扱いの優先順位を付ける
・ 第一優先(P1)の注文は台風が上陸する前に生産を終えて輸送を開始、その為に生産工場はフル稼働とする
・ 第二優先(P2)の注文分については、台風の通過後、直ちに 工場出荷をする
・ 第三優先(P3)に関しては 平常時のシフト で対応する
◇新規の注文は、
・ 平常時と変わらずに受け付けをし、その取り扱いに関しては優先順位付けをする - 緊急注文はP1, その他はP3
* 優先順位の考え方、
・ 納期の指定あり: 納期切迫(P1)、納期余裕あり(P2)、納期十分余裕あり(P3)
・ 納期の指定なし: 標準リードタイムを、大幅超過(P1)、多少超過(P2)、余裕あり(P3)
2.顧客への状況連絡
・ 顧客にも予定があるので、納期遅延のリスクがあれば、その旨を事前連絡する。更にフォローアップも行う。
以上が、今回の基本戦略です。
次に 輸送責任者、ミスター・ロジの働きについてお話しをしましょう。
■ ミスター・ロジの第一アクション
ミスター・ロジは台風8号"モーラコット"の第一発見者です。彼は常日頃から台風の動きに注意しています。
今回も "モーラコット"の発見とともに、その進路や規模など、貨物輸送に及ぼす影響度を直ちに分析。 危険度が "高"であると判断し、添付図の如くオペレーションのリーダー "オーダー・フルフィルメント・マネージャー (= OFマネージャー)"に事態をエスカレーションしました。 同時に、物流関係者と輸送の手順について協議・調整を行っています。 (今回もミスター・ロジのアクションは素早く抜け目がありません)。
■オーダー・フルフィルメント・マネージャー (= OFマネージャー) の働きについて
A社は昨年末の組織改革でこのポジションを新設しました。
OFマネージャーの任務は、受注から納品に至る全体プロセスを横串監視し、注文の品がお客さまに遅延なく届くように、全体をリードすることです。 OFマネージャーが受け持つ最も重要な評価指標(=KPI)は、受注から納品に至る "トータルリードタイム"と "納期の遵守率"となります。
今回、ミスター・ロジ からの緊急通報を受け、OFマネージャーは次のアクションをとりました、、
1. 緊急時メンバー(図参照)を召集し対策を協議 (テレビ会議)
2. チームメンバーと台風直撃による課題を整理、被害を想定し対策を立案、そして、メンバーの役割分担を確認
3. その後、進捗状況をチーム内で共有するとともに全体の舵取りを続けました
その結果、A社はこの非常事態を無事に乗りきることができました。 数値的には 納期遵守率 98%の実績 (目標95%)。 チームに及第点をあげて良いと思います。
なお、どの企業も変わらないと思いますが、販売予測の変動は経営層にとり大きな関心事です。 特に、緊急事態の発生が期末であれば決算の数字に影響するかもしれません。 図の如く、A社の経営層は最新の販売予測レポートを見て状況を把握しておりました。
■今後の課題も見つかりました、
いずれも、顧客満足度に影響する項目です、
・ 顧客からの納期問い合わせに即答できなかった
・ 生産状況、輸送状況など、最新情報を調べるに膨大な時間を要した
・ 夜間は担当者が不在のため全く対応ができなかった
このことにより、A社は "全自動による納期回答サービス" の提供を始めることになりました。 (関連情報)
◇ まとめ
今回のテーマ、 「グローバルSCM, 台風を見つけたらどうするか?」 。。。 は、如何でしたでしょうか?
【備えあれば憂いなし】との ことわざ があります。
辞書を引くとその意味は "日ごろから用意万端整っていれば、何事も心配することはない"と書かれています。
緊急時を想定した組織体制とプロセスの構築は いざという時に大いに役立つことと思います。
さて最後に、もう一度 「最新の台風情報」 を見てみましょう。 ミスター・ロジの出動があるかもしれません。
(にらきよし)
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