2009年11月17日

「3PL Study 2009」、SCM戦略担当者は必読 (1)

「3PL Study 2009」と題するレポートが先月(2009年10月)米国で発表された。

これはサードパーティ・ロジスティクスに関する調査レポート、
3PL業界の最新動向と将来の展望を知ることができるのでグローバルSCM戦略の開発に役立ちます。

荷主はもとより物流事業者のSCM戦略開発担当者には特にお勧め。 WEBからもアクセス可能

◇ 以下簡単にご紹介

3PL Study

・ 発行は1996年に始まり今年で第14回目になる
・ 全世界のロジスティクス・エグゼキュティブ(千数百名)に調査 (WEB, ワークショップ, インタビュー)
・ 報告内容は、3PL業界の現状と課題の整理分析、そして将来の可能性に言及
・ スポンサー企業は、Oracle, Georgia Tech, Capgemini, Panalpina(2009年)

2009年版のレポートの特徴は

・ "荷主視点" の他に "3PL事業者の視点" が新規追加 (両者の比較対比でき違いがよくわかる)

トピックは次の三つ、

1.  不安定な世界経済 
2.  荷主と3PLIT能力に関するギャップ
3. サプライチェーンのオーケストレーション (全体調和)

上記の一つ一つが、荷主にとり大きな課題である!

その課題を攻略するには?

・ サプライチェーン全体最適化が鍵
・ それには、荷主3PL事業者の関係強化が求められる

具体的にどうすればよいのか?
そのヒントは 「3PL Study 2009」 に述べられています。

次回、これらの課題についてお話します。

ご参考までに、昨年のトピックは次の三つでした、
1.Integrated Logistics
2. Supply Chain Security
3. Green Supply Chain 

( 続く ) にらきよし

IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

2009年11月10日

日経ビジネス10月26日号、「カイゼンを壊せ」に学ぶ


戦後60余年、日本の製造業は「カイゼン」を武器に成長を遂げました。

しかし、今、行く手に新たな壁が出現して多くの企業経営者を悩ましている。 
"グローバリゼーション"と呼ばれる複雑怪奇な壁である。 

その壁は従来の方法では攻略出来そうにない。

■ 「カイゼンを壊せ」

グローバル時代を勝ち抜くにはどうすればよいのか?

日経ビジネス10月26日号に「カイゼンを壊せ」と題する特集が組まれている。

そのなかでも東レ社の既成概念を脱した奇抜な手法(ページ28)は大いに参考になる。 

■ 東レ社の物流改革

2006年4月、既成概念を打破すべく大胆な人事の断行。 
営業畑の優れた人材を物流部長に登用し、そのニューリーダーの下で常識を脱した改革を実施。

新物流部長、
・ 米国駐在時代に米ウオールマート、米デルなどの優れた物流部門を持つことで頭角をあらわした企業を見てこられたとのこと。  そのことからSCMの真髄を肌で理解されている方であることがうかがえる。

◇ 輸送ルートの組み換えによるコスト削減

中国工場で生産した樹脂を青森県八戸の得意先に運び込むケース
・ 日本国内の長距離トラック輸送を消滅させている
・ 結果として、全体の輸送コストは大幅減 (約3分の一へ)

旧輸送ルート: 海上輸送と国内トラック輸送の組み合わせ => 中国港ー東京港ー青森ー八戸
新輸送ルート: 海上輸送が主体. => 中国港ー釜山港ー青森港ー八戸

◇ 部門間の連携強化による物流コストの削減 

千葉工場から香港への輸出、
・ 輸送ルートは下記の二つが考えられるが、いずれのケースも一長一短あり
・ ジレンマを部門間の業務連携で見事に解決しコスト削減を実現 

A. 東京港からの船積... 船の出港頻度が多く納期遅延のリスクが少ない。 しかし コスト高
B. 千葉港からの船積... 船の出港頻度が少ないために納期遅延のリスクあり。 しかし コスト安

部門関連携による解決、
・ 船積み港     : 最寄りの千葉港
・ 納期遅延の回避 : お客様との納期の微調整 (営業部門にメリットを説明して協力を求める)
・ 輸送コストの削減: 船の出港日をベースにした受注活動、生産在庫の最大化  

■ 東レ社に学ぶこと、筆者の所見
・ 人材の発掘と登用 ... 新物流部長の幅広い経験と豊富な知識、リーダーシップ
・ Win/Winの手法............. 仕組を変更して最大の効果を引き出す手法 (物流パートナーに単なる値切りはしない)
・ 部門間連携..................... 物流・営業・生産・顧客

完、 にらきよし

◇ 備考
・ IT関連製品、グローバル輸送管理システム "Oracle Transportation Management"
・ IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

2009年10月27日

3PLアウトソーシングに未来はあるか? (3)


荷主企業が  "アウトソーシングの拡大に躊躇" している!

その理由は二つに分類できる、

   一つは、   3PL企業の能力に関すること
   もう一つは、3PL企業とのパートナーシップに関すること

言い方を変えれば、
これらの課題をクリアーできる企業に大きなビジネス・チャンスが巡ってくる、

■ 荷主が懸念する 3PL企業の能力不足" とは

◇ 継続的な課題

指摘の多い順から、 

・ サービスレベル (実績がコミット値に満たない)
・ 業務改善 (継続、持続が途絶え結果が伴わない)
・ IT能力 
・ コスト削減能力
・ プロジェクト管理能力
・ 評価指標 KPI 能力
・ その他

◇ IT能力不足

3PLのIT能力は荷主の期待に対し大きなギャップがあると指摘されている。
特に次の二点に関してはアウトソーシングの拡大に大きな弊害となっている模様、

・ 注文、輸送、在庫などに関して透明度の高い情報が提供されない、
・ 3PL社内のITシステム連携が良くない (そのため、荷主とのシステム連携も良くない)

3PL企業への筆者の提案、
・ 前者に関しては、荷主が求める情報をリアルタイムで見える可し、KPI情報を提供する
・ 後者に関しては、IT投資によるインフラ整備を実施する 

手っ取り早い方法として、下記の ITパッケージ の導入をお勧めします:
・ グローバル輸送管理システム オラクルOTM
・ ビジネスインテリジェンス オラクルBusiness Intelligence Enterprise Edition

■ 3PL企業とのパートナーシップに関して

特に戦略的業務のアウトソーシング拡大に関して、荷主企業は次の様な懸念を抱いている、

・ 外部委託管理の問題
・ ビジビリティ(=可視化)の問題
・ 自社能力の低下
・ 外部依存リスク

しかしながら、
・ 荷主企業はアウトソーシングの拡大は必要と、認識していることは間違いない! 

なぜなら、
・ ビジネスは結果を出すことであり、方法は柔軟であるべき! いつの時代もそれは変わらない!

結果を出すために、既に様々なビジネスモデルが生まれている。 例えば、
・ 家電、ビール業界の販売店舗への共同配送は一般的
・ パソコンメーカーの 外部生産委託は拡大の傾向 (複数競合者のPCが同じ工場で生産されている)

関係者全員にメリットがあるからである。

努力すべきことは、
・ 荷主企業の課題(業界課題を含む)を的確に把握し
・ パートナーとして求められる能力を身につけ日々向上すること
・ 信頼関係を構築・継続する日々の努力

ではないかと思います。  (にらきよし)

* IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

2009年10月19日

3PLアウトソーシングに未来はあるか? (2)

"3rd Party Logistics (3PL) Study 2008" の調査結果は興味深い!

◇ 3PLアウトソーシングの現状、
ロジスティクス業務のアウトソーシングは、ここ6~7年、増加しているものの "金額ベース" ではさほど伸びはない。

その原因とし、 
・ 荷主は、単純な仕事 (=単価の安い仕事?)は外部委託するが、
・ "対顧客業務" やITを駆使した "戦略性の高い業務" は自社内で行う傾向 があるから

とのことである、

では、
荷主企業はアウトソーシングの拡大を望んでいないのか? (もしそうであれば3PL市場の先行きは暗い?!)

いいえ!
荷主企業はロジスティクス業務のアウトソーシングに大きなメリットを感じています。 例えば、

  • 業務全体の管理が容易になる
  • 本業に専念できる
  • 生産効率が改善された
  • 柔軟性がある
  • 在庫削減が出来る
  • 云々

◇ 荷主企業の懸念

アウトソーシングの拡大はしたいが、良き相手がいない!?

そうです!

良き相手が見つからないから、荷主企業はアウトソーシングの拡大に躊躇しています。 理由は以下の三つが考えられます、

① 外部委託の管理に不慣れ
② 外部依存によるリスク  
③ 透明度低下によるビジネスリスク  

・ 最初の二つは、パートナーシップに関する課題 
・ 残りは、3PL企業の能力、(調査結果: 3PLのIT能力は荷主の期待と大きな隔たりがある)

3PL アウトソーシングにおける課題が見えてきました、

続く

2008 3rd Party Logistics Study was sponsord by Oracle, Georgea Tech, Capgemini and DHL.

2009年10月14日

3PLアウトソーシングに未来はあるか? (1)

"3rd Party Logistics Study"と題する調査レポートをご覧になられたことはありますか?

1996年から米国で発行されているロジスティクス関連の年次調査報告書です。
特徴としては、"荷主顧客の目線で最新の3PL業界の動向を分析し、課題を発掘、荷主・3PLの関係構築に一役買っている。

昨年(2008)10月に 第13回の調査結果報告が米国で行われました、
そのなかで一点、気になる事項がありましたのでご紹介したいと思います。

気になる事項とは、

・ 3PLアウトソーシングは荷主企業の競争力改善に効果があると殆どの荷主企業は回答
・ しかし、ここ数年アウトソーシングは増加しているが金額ベースでは劇的な伸びはない 

どう言うことか?

・ 荷主はアウトソーシングに賛成 => アウトソーシング量増加 
・ しかし金額ベースでは伸びはない ... (???)

これは何を意味するのか?

ロジスティクス事業者にとっては他人事ではありません!!
- 続く -

2008 3rd Party Logistics Study was sponsord by Oracle, Georgea Tech, Capgemini and DHL.

2009年10月 4日

SCM講座のアーカイブス

 "天高く馬肥ゆる秋"

早いものでブログを開始し半年が経ちました、 新良 清の「SCM講座」はいかがでしょうか?

過去のブログに再度目を通してみたい!  
その場合は、 "ココ"  をクリックし、アーカイブスをご覧ください。  (にらきよし)

Archives
2009.09.30: 忙しいビジネスマンにはOracle Directのネットセミナー受講をお勧め!
2009.09.24: 物流部長殿、IFRS 対策は進んでいますか? 後編
2009.09.02: 物流部長殿、IFRS 対策は進んでいますか? 前編
2009.08.23: グローバルSCM、台風を見つけたらどうするか? 後編
2009.08.06: グローバルSCM、台風を見つけたらどうするか? 前篇
2009.07.30: SCMに関する公開講座のご紹介 (多摩大学 8月開始)
2009.07.27: ご報告、ロジスティクスKPI共同研究会で講演
2009.07.15: スピード経営、物流は五つのKPI で管理する (後編)
2009.07.12: スピード経営、物流は五つのKPI で管理する (前編)
2009.07.03: 製造業の課題、グローバル生産拠点を如何に統治するか!  後編 MOC
2009.06.28: 製造業の課題、グローバル生産拠点を如何に統治するか!  前篇
2009.06.17: DMS 設計・製造ソリューション展 6/24~6/26
2009.06.16: グローバル時代を勝ち抜くには、サプライチェーンの統治能力の強化
2009.06.08: 水郷潮来のアヤメが満開です!
2009.05.27: 物流も予防医学の時代、メタボの先に何がある
2009.05.12: 物流も予防医学の時代、メタボ在庫の撲滅 - 続き On-Line OUTLET
2009.04.30: 物流も予防医学の時代、メタボ在庫の撲滅
2009.04.17: Oracle OpenWorld Tokyo, 2009年4月22日~24日
2009.04.13: 製造部長殿、次の船はいつ出港するかご存知ですか?
2009.04.06: 上野公園の桜が綺麗です!
2009.03.31: 受注生産モデルを成功させる秘訣!
2009.03.23: 繁忙期の間違い発生を防ぐ方法
2009.03.18: 作ったものを売るより、需要のあるものを作る
2009.03.16: ブログ、

2009年9月30日

忙しいビジネスマンにはOracle Directのネットセミナー受講をお勧め!

世界が大きく変化している、

           "市場の変化に対する対応、最新テクノロジーの活用, ...." 

貴方は、このようなビジネスセミナーにご興味はありますか?

  ・ 興味はあるが忙しくて参加できない
  ・ 遠方なので旅費もバカにならない
  ・ 空きの時間ができたがセミナー直前の受付はしてもらえなかった

このような人には、オラクル社が提供する "オラクル・ダイレクト・セミナー" の受講をお勧めします。

このセミナーには インターネットネット につながる PC(=パソコン)があれば、どこからでもアクセス可能。しかも受講料は無料。 年間を通じ約1000回の開催、10万人超の受講申し込みがある。 特に地方からのエントリーが多いようだ (時間移動と旅費が不要なためと思える)

内容は、ビジネスに役立つ最新情報を幅広く網羅。 例えば
  ・ 財務、人事、SCM、 。。。
  ・ いまさら聞けない〇○シリーズ
  ・ エンジニアのための〇○シリーズ
  ・ 新入社員に送る〇○シリーズ

講師陣は、
  ・ オラクル社員、オラクルパートナーの社員。 その中には元プロのアナウンサーなどもいたりします

Oracle Direct  のネットセミナーは "ライブ" (=生中継)、
  ・ 講師に直接質問できることも参加者にとっては大きな魅力となっています

詳細
  ・ オラクル・ダイレクト・セミナー
  ・ セミナースケジュール

社員教育の一環としても役立ちます。  (にらきよし)

2009年9月24日

物流部長殿、IFRS 対策は進んでいますか? 後編

"IFRS" (=国際会計基準) は 会計分野における "世界共通の物差し" である、
日本でも 2010年に任意適用、早ければ2015年に義務ずけが行われる模様。

◇ IFRS導入で何が変わるのか!?

物流に直接関係することとして、「売上の計上方法」の変更が挙げれます。

IFRSが導入されると従来の「出荷基準」は認められません。
今後は「着荷基準」が標準となり、"売上計上" のできるタイミングは「貨物の配達完了後」となります。

◇ 物流部門の課題は何か?

売上を遅延なく計上するには、次の三つの物流上の課題をクリアする必要があります:

    a. 貨物を予定日(または時間)に届けること
    b. 受領書を漏れなく回収すること
    c. 配達完了報告を物流パートナーからタイムリーに受け取ること

この場面は、荷主も物流パートナーも真剣勝負です!

◇POD能力が鍵

  POD(=Proof Of Delivery)とは"貨物の配達証明"のこと、
  POD能力とは "配達証明の回収・報告能力" を意味します。

重要なのは、如何に早く "POD" を回収し荷主に報告できるか!

それには、貨物の引き渡しと同時に報告を行う "電子的処理" が最適と言えるでしょう。
例としては、宅配便トラックドライバーのハンディーターミナル携帯電話などの活用があります。

しかしながら、全国津々浦々の全ての運送会社がそのようなシステムを駆使できているでしょうか?

荷主企業としては、

自社の "POD能力" を知る必要があります。
それには次の三つの "KPI" を調査対象とします:

  1.配達日順守率  2.POD回収率  3.POD報告率

もし、能力キャップが見つかれば改善を行います。

◇POD能力の改善

では、上述の "KPI" に関して分析を行いましょう、

  1番に関して、(ア)配達が一回で完了した率 (イ)配達が複数回行われて完了した率
  2番に関して、(ア)電子的回収率 (イ)紙ベースの回収率  (ウ)無回収率
  3番に関して、(ア)リアルタイム率  (イ)当日率  (ウ)翌日率  (エ)それ以降率

さらに詳細分析(地域、顧客タイプ、製品、物流パートナー)を行い改善を加えてゆきます。
(ア)の比率が高ければPOD能力は優れていると言えます。

◇荷主・物流パートナーの業務連携

IFRSが導入されると "売上計上の遅れ" が懸念されます。
 
そのリスクを最小化するには、荷主としては "物流パートナーとの業務連携" および "物流パートナーの選定" が重要な課題となるでしょう。

IFRSは日本でも2010年に任意適用、早ければ2015年に義務ずけの模様、

急ぎ対策が必要ですね! (にらきよし)

・IFARSの関連ブログ、"たかが会計、されど会計"
・IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

2009年9月 2日

物流部長殿、IFRS 対策は進んでいますか? 前編

ビジネス誌をめくると"IFRS"と言う文字を最近よく見かける。

◇"IFRS"とは何か?

いろいろ目を通してみると、それは

・ 英語のInternational Financial Reporting Standardsの頭文字を取ったもの、
・ 日本語では一般的に「国際会計基準」、「国際財務報告基準」などと訳され、「アイファース」と呼ばれている、
・ 会計分野における世界共通の物差しで、欧米が中心となり開発中
・ 日本でも2010年に任意適用、早ければ2015年に義務ずけ開始、対象は上場企業

のようである。

"IFARS"が適用されると何がどう変わるのか?
ビジネスにおけるインパクトは何か?
"IFARS"の詳細は?

その答えと説明は"IFARS"の専門家に任すとして、
以下に物流業界に直接関連するであろう事項についてをお話をします。

◇ 売上計上は出荷基準から着荷基準へ

日本では製品を出荷した時点で売り上げに計上する「出荷基準」が広く用いられています。
それが、納品完了時の「着荷基準」、あるいは、買主による内容チェック後の「検収基準」に変更になるかもしれません。

もし、"着荷"あるいは"検収"の確認に手間取れば、荷主企業は売上計上のタイミングがその分だけ遅れることになります。
とくに、年度末の遅れは決算への影響があり軽視できませんね!

では、どうすればそのリスクの軽減ができるのか?
どの様な対策が必要か?

自動化は可能か?
関連するオペレーションKPIは何か?

貴方は、A社の物流開発部門の責任者、ミスター・ロジです。

貴方ならどうしますか?  (にらきよし)


(続く)

・IFARSの関連ブログ、"たかが会計、されど会計"
・IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

2009年8月23日

グローバルSCM、台風を見つけたらどうするか? 後編

その後、台風8号「モーラコット」 は 台湾海峡 をゆっくりと横断し、8月10日未明に中国沿岸部の 福建省 に上陸。
辺りは暴風圏となりエアポートは終日閉鎖、 そのため 当日の貨物機は全て運航中止となりました。

A社 輸送部門の責任者 " ミスター・ロジ " はその事態を想定し、すでに別のアクションを実施していました。 
 
A社チームが取り組んだ ロジスティクス作戦" "モーラコット対策" をご紹介します。 
(A社のビジネスモデルは、BTO と呼ばれる 受注生産方式です)。

typhoon8-s.JPG

■ 全体戦略

1.納期が第一優先

チームの任務は、納期に遅延なく、お客さまにご注文の品をお届けすることです。 作戦の概要は次の如くです:

◇既存の注文は、
・ "納期指定あり"と "納期指定なし" に大別し、更にその中で取扱いの優先順位を付ける  
・ 第一優先(P1)の注文は台風が上陸する前に生産を終えて輸送を開始、その為に生産工場はフル稼働とする
・ 第二優先(P2)の注文分については、台風の通過後、直ちに 工場出荷をする 
・ 第三優先(P3)に関しては 平常時のシフト で対応する

◇新規の注文は、
・ 平常時と変わらずに受け付けをし、その取り扱いに関しては優先順位付けをする - 緊急注文はP1, その他はP3

* 優先順位の考え方、
   ・ 納期の指定あり: 納期切迫(P1)、納期余裕あり(P2)、納期十分余裕あり(P3)
   ・ 納期の指定なし: 標準リードタイムを、大幅超過(P1)、多少超過(P2)、余裕あり(P3)


2.顧客への状況連絡

・ 顧客にも予定があるので、納期遅延のリスクがあれば、その旨を事前連絡する。更にフォローアップも行う。

以上が、今回の基本戦略です。
次に 輸送責任者、ミスター・ロジの働きについてお話しをしましょう。

■ ミスター・ロジの第一アクション

ミスター・ロジは台風8号"モーラコット"の第一発見者です。彼は常日頃から台風の動きに注意しています。

今回も "モーラコット"の発見とともに、その進路や規模など、貨物輸送に及ぼす影響度を直ちに分析。 危険度が "高"であると判断し、添付図の如くオペレーションのリーダー "オーダー・フルフィルメント・マネージャー (= OFマネージャー)"に事態をエスカレーションしました。 同時に、物流関係者と輸送の手順について協議・調整を行っています。 (今回もミスター・ロジのアクションは素早く抜け目がありません)。

■オーダー・フルフィルメント・マネージャー (= OFマネージャー) の働きについて

A社は昨年末の組織改革でこのポジションを新設しました。

OFマネージャーの任務は、受注から納品に至る全体プロセスを横串監視し、注文の品がお客さまに遅延なく届くように、全体をリードすることです。 OFマネージャーが受け持つ最も重要な評価指標(=KPI)は、受注から納品に至る "トータルリードタイム"と "納期の遵守率"となります。

今回、ミスター・ロジ からの緊急通報を受け、OFマネージャーは次のアクションをとりました、、

1. 緊急時メンバー(図参照)を召集し対策を協議 (テレビ会議
2. チームメンバーと台風直撃による課題を整理被害を想定対策を立案、そして、メンバーの役割分担を確認
3. その後、進捗状況をチーム内で共有するとともに全体の舵取りを続けました

その結果、A社はこの非常事態を無事に乗りきることができました。 数値的には 納期遵守率 98%の実績 (目標95%)。  チームに及第点をあげて良いと思います。

なお、どの企業も変わらないと思いますが、販売予測の変動は経営層にとり大きな関心事です。 特に、緊急事態の発生が期末であれば決算の数字に影響するかもしれません。 図の如く、A社の経営層は最新の販売予測レポートを見て状況を把握しておりました。

■今後の課題も見つかりました、

いずれも、顧客満足度に影響する項目です、

・ 顧客からの納期問い合わせに即答できなかった
・ 生産状況、輸送状況など、最新情報を調べるに膨大な時間を要した
・ 夜間は担当者が不在のため全く対応ができなかった

このことにより、A社は "全自動による納期回答サービス" の提供を始めることになりました。 (関連情報)

◇ まとめ

今回のテーマ、 「グローバルSCM, 台風を見つけたらどうするか?」 。。。 は、如何でしたでしょうか?

【備えあれば憂いなし】との ことわざ があります。
辞書を引くとその意味は "日ごろから用意万端整っていれば、何事も心配することはない"と書かれています。

緊急時を想定した組織体制とプロセスの構築は いざという時に大いに役立つことと思います。

さて最後に、もう一度 「最新の台風情報」 を見てみましょう。 ミスター・ロジの出動があるかもしれません。

  (にらきよし)

* IT製品のお問い合わせは オラクルダイレクト

About

新良 清.jpg

新良 清 (にら きよし)

SCM戦略コンサルタント

早稲田大学ロジスティクス研究所 客員研究員

多摩大学SNM研究所 上席リサーチアソシエート

日本オラクル株式会社 ライセンス事業BDE

1970年独協大学外国語学部卒。 日系通信機器メーカーの海外駐在員などを経て、1987年米系ハイテク企業に移籍。 ロジスティクスを含むグローバルサプライチェーンの企画、構築、運営など四社のオペレーション部門の要職を歴任。 2006年9月、日本オラクル株式会社ライセンス事業ビジネス・ディベロプメント・エグゼキュティブ就任。寄稿、講演多数。理論と実践のオペレーションで定評

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